バスバスバスバス

 

・「舟を編む」(未読)で本屋大賞を受賞した三浦しをんさんは、「まほろ」の話で直木三十五賞をもらっているんだけど・・その続編です。映画になったのにまだ見てないや。たぶんこれは三作目、四作目と続いていくような感じなんだけど、その、それぞれの登場人物の骨格を明らかにする短編集というトコロなのかなあと思った。違うのかな。

 

 

 

・まほろ駅前で便利屋に勤しむ主人公・多田とその居候・行天(ぎょうてん)の掛け合いで流れる物語。映画では瑛太クンと松田龍平クンが演じてますが(アヒルと鴨のコインロッカーのコンビ!)、何かピッタリだ。今度同じキャストでドラマも作られるそうですが、テレビ東京系というのが良くも悪くも楽しみだ(笑)。

 

 

 

 

・便利軒・多田クンの引き受ける仕事は、復讐だったりなりすましだったり遺品整理だったりと、その生業の自由度がモチーフの幅を広げているんですが、そこで意外にも陳腐な話とならないのは予定調和をわざと避けているようなオチが何かいい余韻を残しているからかなあと思います。ところでボクも星サンに電話かけてみたいです。

 

 

 

 

 
 
まほろ駅前番外地/文藝春秋
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ひらめき電球ひらめき電球ひらめき電球

 

・小野不由美サンは初めて。同僚の方からオススメということで借りました。「十二国記」で著名な作家さんとは聞いていましたので、そのお試し版ということになります。ノスタルジーよりはるか昔の明治中期の帝都のお話。火炎魔人や辻斬りや首遣いが登場するちょっぴり背筋の凍る伝奇ミステリーでした。

 

 

 

 

・端的に言って申し訳ないけど・・ちょっと難しかった。この作家さんの馴染みのボキャとかプロットがあるのだろうけど、それは何冊か読む中で共通言語として楽しめるのかもしれませんね。この作品では題名の「東京」じゃなくて「東亰(とうけい)」というアタリから既に作者の実験があって(それはパラレルワールドということらしいですが)、その東亰を文明が席巻する前の漆黒の闇で物語は綴られていくワケですね。

 

 

 

 

 

・折しも東京駅の丸の内口駅舎が復活しましたが、往事の「高い建物がほとんど無い頃の東京」の景色って実際に見てみたいですよね。これは明治の東京の地図も参照しながら読ませてもらってテーブルトリップを堪能しました。

 

 

 

 
 
東亰異聞 (新潮文庫)/新潮社
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クローバークローバークローバー

・涙涙で読ませてもらった一作目。「いい会社」ってどんな会社か、「働きがい」ってどんな感覚か人生の先輩がクドクド言うよりこの一冊で足りるキャリア教育(言わば職業観教育)の必携とも言える書です。実用書というよりはドキュメンタリーに近い。脳裏には「プロジェクトX」「プロフェッショナル」のテーマが流れますぜ。




・でも何だろう、一作目は何か著者の方もピュアに感動を伝えていてこっちも素直に共感できたのだけれど、本作は「ほうら大切にしたいでしょ(キリッ)」みたいな雰囲気をひしひしと感じちゃって淡々と読んでしまったな。聞きたいのは当事者の武勇伝じゃないんだ。一期一会のユーザーの心が揺らぐ出来事なんじゃないかと思う。



・先日2chで「一番本来の使われ方をされていないもの」という謎かけがあって、その答えにみんなが納得したというスレがあったんですけど(答えは下にスクロール)、「日本でいちばん大切にしたいお役所」って出ないですかね?出ないですよね、やっぱり(悲)。でもね、ボクの業界は3年に一回社長が替わるので意外に社風も変わります。これが楽しみでもあり悲しいところでもある。


日本でいちばん大切にしたい会社2/あさ出版
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「政府」だそうです。面白いですね。

パンダパンダパンダ

 

・三国志ヲタにとっては「それから」だろうが「その前」だろうが「知っとるわい!」と唾棄しながらそれでも手に取ってしまう本というトコロでしょうか。諸葛亮が亡くなり、蜀は姜維が支え、魏は司馬兄弟が跋扈するあたりの話。姜維なんて人気者でしょうから意外にニーズはあるんだろうなこの切り口は。

 

 

 

・この設定は昔柴田錬三郎氏が試みていて、残念なお知らせですがそちらの方が文芸としてのクオリティは高いと思う。ただ本作は魏の衰微にけっこう筆を費やしていて、そこが面白い。何だって吉川英治が基準ってわけじゃないので、「孔明没後」をテーマにするのは天晴れなことだと思います。

 

 

・ありし日ボクは高校の図書委員長で、横山光輝の「三国志」を購入するよう掛け合って配架させた思い出があります。そして現在は「蒼天航路」を大人買いしようか検討中。しかし今の高校の図書館ってどんな本が置いてあるんだろ。

 

 

 
【文庫】 それからの三国志 上 烈風の巻 (文芸社文庫)/文芸社
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ラブラブラブラブラブラブラブラブ

 

・今野敏氏の作品はシリーズ物がそこここにあるようなのですが、順番が分からず図書館で途方に暮れる羽目になる(笑)。で、これは樋口顕サンのシリーズ第1作目ということになります。題名は4年後の五輪開催地とは全く関係なく、主人公はヒーローとは程遠い地味で地道なサラリーマン的刑事です。

 

 

 

・で、この樋口顕チャン自分の勘や閃きはとりあえず後回しにしてチームの関係調整に走ってしまうタイプなんですが、その中性的な働きぶりが上に下にもウケて「アイツに任しておきゃ問題ない」と言われるポジションを知らず知らずに確保してしまう。面白い造形だ。そういう警察小説もまた、味わいがある。

 

 

 

 

・彼は事件の役割分担にヘコんでみたり、容疑者の美少女に心を奪われたりと、読みながらつい「頑張れよ」と言いたくなる読書でした。また、警察物の常道らしく「相棒」も出てくるのでその辺も楽しみの一つかも。その相棒クンもなかなか含蓄に富んだことを言いますよん。
 

 

 

 
 
リオ―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)/今野 敏
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しし座しし座しし座しし座

・ボクは村上春樹作品が好きですし、新刊が出ればムーヴメントとは関係なしに購入します。だからと言って人に勧めるワケではないんですよね。だってその作品の良さを的確に伝える自信が無いから。一体どう言えば村上作品の良さや面白さを伝えられるのでしょうね?風の歌に聴いてみますか。



・そんな中でエッセイは万人向けというか、比較的にオススメし易い。そうだよな、ananに連載してるぐらいだもの。何かこう、ボク達は気づかない、でも目の端っこで見てるはずの物に視点を当てて話すのが巧いと思う。野菜と音楽と猫が好きな村上さんの話。今作(3作目)も堪能できます。



・そんなワケで本作でも色々な題材を取り上げて村上論を展開しています。DQNネームへの見解や極度乾燥(しなさい)への評価などもあったりして面白い。取り上げる題材の軸の外し方が村上春樹氏によるものか、マガジンハウスによるものか分からないけど、この歳になってもけっこう好きだな。POPEYEはもう読まんけどさ(笑)。

サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3/マガジンハウス
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ロケットロケットロケットロケット



・直木賞熱も冷めたらしく図書館の書架に並んでた。で、借りました。この作品に会う前に池井戸さんの芸風にかなり触れたせいか予定調和で読めた安心感はありましたが、この作品で池井戸デビューをしたらどれほどのカタルシスを味わえただろうかと覆水盆に返らぬ気分です。間違いなくオススメします。



・中小企業の苦難や闘争、葛藤と矜持。その描きぶりに「ああ、こんな人達が日本の成長を支えてきたんだ」と分かります。大企業やメインバンクの嫌がらせにも負けずに戦う姿がいいですね。多くの池井戸作品でこれが一際ウケたのは産業が空洞化しかかっているJAPANのプライドをくすぐっているからでしょうね。



・「このミステリーがすごい!」大賞に「屋上ミサイル」という作品があります。屋上と下町。ミサイルとロケット。字面が似とる・・。でも、設定も主題もロジックも全く違います。ま、読後の清涼感というのは甲乙つけがたいけれど。

下町ロケット/小学館
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サッカーサッカーサッカーサッカー

・サッカーのワールドカップに関わるNumberの評論を一冊にまとめたものです。懐かしい。ボクだってご多分に漏れずオフトジャパンからしか知りませんが、この20年紆余曲折があったものだね~としみじみ読ませます。あの時代にタイムスリップして「2012年のマンUのトップ下は日本人だよ」と教えてあげたい。誰も信じないでしょうね。



・98年のフランス大会に関しては、金子達仁氏の「決戦前夜」という秀作がありかつ何度も読み返したので予選の道のりは今でも諳んじている。あの日韓戦の敗北は正直ショックだったし、「代理監督でフランスに行くのかよ」という困惑も覚えてる。関係ないけどこの大会のユーゴ代表が大好きでユニフォームを買って今でも持っている。



・2002年日韓大会。「地元開催なのにトルシエって何者よ」って感じでしたが、彼の采配云々は置いといて五輪代表まで総合的にサッカー界を率いていたのは立派だったと思う。でもさ、この大会は韓国の素敵な八百長っぷりがあまりにもインパクトありすぎて・・。で、どこが優勝したんだっけ?


ワールドカップ戦記: 飛翔編 1994-2002 (文春文庫)/文藝春秋
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将棋将棋将棋将棋将棋

・この作品は一回レビューしたんですが、その後続けて読んであまりにもイイ話だったので全巻揃えてしまいました。(^-^)v この漫画家サンのコマ割りって独特でしかも引き込まれますよね、経験値が少年ジャンプ程度のボクのレディネスには驚きの連続でした。実は何度も読んで反芻してる(笑)。



・桐山零クンが将棋界で煩悶しながら強くなっていく様も熱く引き込まれます。実は7巻の最後に描かれていた、名人との対局が行われたホテルは以前ボクも泊まったことがありまして。お風呂はサイコーでしたが駐車場においてた車が軒並みギザ十攻撃に遭っていて悲しかった、ということもありました。



・ひなちゃんを取り巻く現実も、よくここまで描いたな~と思うほど深淵を突いている(心から感心した)。他のキャラ・・例えば二海堂クンも愛して余りあるいい人間だ。あとは、食べ物が美味しそう。今夏仙台ではこの漫画家サンの原画展もあったらしいけど、スルーしてしまった。残念。


3月のライオン 7 (ジェッツコミックス)/白泉社
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雪雪雪雪

 

・うだるような暑さの中で「冷える小説ってないかな」と手に取ったお話。昔昔油断と過信の兵隊サン達が冬山を雪中行軍しその殆どが凍死したという、割と簡潔な要点だけで認識されている話なんですが詳しく知りたいなと思い読んでみました。結果、不可抗力ではありながら人災だという理解に落ち着きました。

 

 

 

・行軍隊は2隊あって、その片方はほぼ全滅、もう片方は全員が踏破に成功し帰還するのですが、その明暗を分けたのは周到な準備とリーダーの資質でした(ちなみに映画ではそのリーダー、健サンが演じています)。ちなみにボクの座右の銘は「備えはなくてもそんなに憂いはない」でしたので、心から反省ですっ!

 

 

 

 

・ちなみに八甲田山麓には十和田湖という有名な湖があり、作品にも湖岸の大吹雪が描かれています。この夏急に思い立って家族で出かけてきました。キレイに整備された道路から当時の面影は感じませんでしたが、閉じた旅館や土産物屋が点々としていてその鈍色な寂寥感に正直訪れたことを後悔してしまいました。シクシク。

 

 

 

 
 
八甲田山死の彷徨 (新潮文庫)/新潮社
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