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-side N
拉致されたのが数十分前のこと。
俺は視界を塞がれ
どこかへ連れてこられた。
この犯人達は
俺が能力者だと知っている、
寧ろ能力者だから拉致ったと
考えた方がいいのかもしれない。
大野さんの家を出てすぐに
誰かに後をつけられてると気づいた。
緊急事態発生を意味するメモと
手袋を雅紀さんにしか分からない
裏ポストへ
バレないように入れ
撒けるまで歩いていた。
手袋を入れたのは
嫌な予感がしたから。
雅紀さんなら
この意味を推測してくれるはずだし。
「?」
後ろに気配が無くなる。
「!!」
安心した俺の前に
こいつらは現れた。
『犠牲、だしたくないだろ?
指示通りにしろ』
両腕は身体の前で拘束され
いつの間にか取られていたスマホは
思いっきり壊された。
どうにかして逃げなきゃな・・・
俺に関わってまた誰かが
死 ぬのは嫌だ。
「〜〜〜〜?」
連れてこられた場所の奥の方で声がする。
ヒールの音。
近づいてくる。
香水の匂い。
「っ!」
頬に手を添えられる。
女性向けな香水、ヒールで
てっきり女性かと思ったけど
この人
「アンタ男か。余裕そうだしボスってとこ?」
「へぇ・・・さすがあの方の弟」
「弟・・・?」
兄を知っている、かつ、
あの方と呼んでいる。
兄の部下か、ただの崇拝者か。
どちらにせよ、
拉致する時点で嫌な予感しかしない。
「ッ」
視界を塞いでいた布が取られる。
「ほんとにそっくり♪
双子だって噂はホントだった・・・」
うっとりと俺を見てくる。
ゾクッとした。
続