前回


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side N







チャイムの音で目が覚めた。



「ん〜・・・ふぁ・・・」



久しぶりに良く眠れた気がする。



「おはようございま~す」



玄関の方で担当編集の櫻井翔の声がする。


(あ、ヤバ。服・・・)


バッと自分を見た。

大きめのパーカーを着ていて安心した。

どうやら大野さんが着せてくれたみたいだ。



「・・・ほんとカッコいいんだから」



口元に手をやると大野さんの匂いがする。


(そっかこれ大野さんの・・・)


昨日の夜のことを思い出して顔が熱い。

冷ますように手をパタパタとさせる。



「せんせー?ニノせんせー?」



翔ちゃんの声で冷静になる。



「んー。今行く」





リビングに行くと

翔ちゃんがコーヒーを

入れてくれてるところだった。



「朝まだでしょ?」


「うん。顔洗ってくる。」


「今日14時から打ち合わせだけど、

それまで原稿?」


「いや、上がってるから見て。」



そう言って洗面所に向う。




鏡に映る自分を見て焦った。


(あの人の大きいから、

痕 見えちゃってるじゃん・・・)


顔を洗いながら、

さて何を着ようかと考える。


今年は11月なのにめちゃくちゃ寒い。

元々寒がりだから余計にツラい。


(一応打ち合わせだから、

パーカーって訳にもいかないし・・・

でも

今日の打ち合わせはあの人来ないよな・・・)



なんて思いながら

スマホで天気と気温を確認して、

白いニットに黒のジャケット、

黒の細身のパンツに決めた。





リビングに戻ると

パンとスープ、コーヒーが

出来ていた。



「ありがと」


そう言うと翔ちゃんが「いいえ。」と

原稿から目を離して返してくれる。




翔ちゃんは俺の 処 女 作からの担当で、

もう7年の付き合いになる。

気配りができて、

言うことは言ってくれるから

翔ちゃんが担当でほんと良かったと思う。


今回の本も

ドラマ化出来ると思ってなかったし、

少し前に出したのは

今度舞台化が決定してる。


ドラマより舞台の方が良いと思ってたから、

話を進めてくれた翔ちゃんには

感謝してる。





食べ終わり、

手直しをしていたら

あっという間に時間は経ち

俺達は打ち合わせへ向かった。