『ロスジェネのすべて 格差、貧困、「戦争論」』出版!! | 雨宮処凛オフィシャルブログ Powered by Ameba

『ロスジェネのすべて 格差、貧困、「戦争論」』出版!!

2月20日、あけび書房より『ロスジェネのすべて 格差、貧困、「戦争論」』が出版されました。

私が熱烈に対談したかった倉橋耕平さん、貴戸理恵さん、木下光生さん、松本哉さんという4人のロスジェネと語り合った、あまりにも濃密な一冊です。自分で言うのもなんですが、メチャクチャ面白い本となりました。

 

以下に目次とまえがきを。

目次を読んで頂くだけでもこの本が伝えたいことがおわかり頂けると思います。

ということで、手にとって頂けましたらとっても嬉しいです!!

 

 

まえがき

 

序章 ロスジェネをめぐるこの十数年

 宝塚市の求人に1800人 

 ロスジェネは何を失ったのか

 私もロスジェネの一人

 出産のタイムリミットも

 政治から見捨てられるなんて

 あと10年早ければ

 ロスジェネと右傾化

 

第1章   ロスジェネと『戦争論』、そして歴史修正主義

はじめに

 私の「黒歴史」。なぜ、右翼に入ったのか

 とにかく死にたかった

 「生きづらい奴は革命家になるしかない!」

 何もないから「国家」

 『戦争論』からの20年以上

 『歴史修正主義とサブカルチャー』があぶりだしたもの

対談 倉橋耕平×雨宮処凛

 「新しい歴史教科書をつくる会」「日本会議ができるまで」

 求めているのは戦前回帰?

  『戦争論』をどう読んだか

 「自己啓発」としての特攻隊

 『戦争論』批判がなかった理由

 冷戦崩壊までさかのぼっておさらいします

 男性特権の喪失

 親がネトウヨ問題

 なぜ与党ではなく野党がバッシングされるのか問題

 「見たいものしか見たくない」に抗う方法

 

第2章   ロスジェネ女性、私たちの身に起きたこと

はじめに

 過去形のロスジェネ

対談 貴戸理恵×雨宮処凛

 ロスジェネの苦悩

 不登校と格差論をめぐって

 ポスドクの貧困問題

 生きづらさと当事者研究

 ロスジェネが奪われたものと「負けたら死ぬ」感

 共働き子育てという無理ゲー

 出産しようと思える条件とは

 「なぜ産まないのか」への回答

 孤立する母親

 不寛容な社会とマジョリティの生きづらさ

 社会の分断と同調圧力

 オーストラリアでの子育て

 ロスジェネのこれから

 

第3章   「自己責任」と江戸時代

はじめに

 日本的「自己責任の呪縛」

 江戸時代の自己責任論とは

 洞窟救出劇に見たタイ社会の寛容さ

対談 木下光生×雨宮処凛

 18世紀後半から出てきた被差別民への「自己責任論」

 新自由主義だけでは説明できない

 ヨーロッパの救貧の歴史

 江戸時代の「施し」と「制裁」

 「村に迷惑をかけた」という言い分

 国への迷惑、納税者への迷惑

 画期的だった(新)生活保護法

 江戸時代も今も変わらない「貧困イメージ」

 数百年続く自己責任論を超えるために

 

第4章   貧乏だけど世界中に友達がいるロスジェネ

はじめに

 「貧乏を楽しむ」達人、登場!!

 アジアの人々との連帯も

対談 松本哉×雨宮処凛

 中国人にQRコード決済の刺青を彫られる

 「法政の貧乏くささを守る会」

 大卒後に「貧乏人第反乱集団」を結成

 高円寺で「素人の乱」を始める

 伝説の「俺の自転車を返せデモ」と「3人デモ」

 高円寺に1万5000人が集まった「原発やめろデモ」

 3・11以降、アジアの人達との連帯を

 韓国に入国できずに強制送還される

 アジア反戦大作戦

 「NO LIMIT 東京自治区」で一週間アジア人たちと大宴会

 韓国、インドネシアでも「NO LIMIT」開催

 もう開き直るしかない

 

 

 

 

まえがき

 

 今から10年以上前、私たちは「ロスジェネ」と名付けられた。

 現在の30代なかばから40代なかばを指す。

 失われた世代。就職氷河期の影響をもろに食らった世代。貧乏くじ世代。非正規第一世代。呼び方はいろいろあるがどれも嬉しくないものばかりだ。

 ちなみに75年生まれの私は2020年1月、45歳になった。四捨五入したら50歳。同じ四捨五入をしたら50歳という枠には「サザエさん」の「磯野波平」(54歳)がいる。

 波平は正社員として勤めて世田谷に家まで建てて子も孫もいるというのに、私は独り身。当然子もなく孫もいない。

 そうして周りを見渡せば、いまだ正社員の職がなく、結婚もせず子どももいないという同世代が山ほどいる。一軒家を建てるどころか六畳一間の安アパート住まいという者もいれば、ネットカフェ暮らしの者もいる。低賃金ゆえ実家から出られず親と同居するものの、「このままでは数年以内に介護離職かも」と怯える者もいる。

 19年、こんな私たちの世代が「人生再設計第一世代」と名付けられた。

 はっきり言って、40代なかばになってまで自分たちに「就職氷河期」という言葉がついて回るなんて、誰も予想してなかった。20年以上も苦境が続くなんて、思ってもみなかった。バブル崩壊後の景気悪化は一時的なもので、すぐに自分たちは企業社会に吸収されていくものだと思っていた。そして自分も親世代のように、就職して結婚して子どもを産んで、という人生を歩んでいくものだと思っていた。

 だけど、中年になった今、そのすべてを手に入れていない。私も、周りの人々の多くも。

 

そんなロスジェネだが、「失われた20年」の中、厳しさを増す雇用環境の中を生きてきた私たちは、一億総中流が崩れた社会を走るトップランナーとも言える。

 ロスジェネと「今」について、存分に語った。

 

ロスジェネのすべて 格差、貧困、「戦争論」 あけび書房 1600円 2020年2月20日発売