あまめま*じゅんのスパンキング・ブログ                         -3ページ目

あまめま*じゅんのスパンキング・ブログ                        

第1弾 『海の中のアタシ・空の中のアイツ』
双子の海と空のハラハラ・ドキドキの物語♪
第2弾 『星と月美のいい関係』
星と家庭教師の月美&トレーニングの日々!

    愛情たっぷりのおしおき満載(*'▽')

4.おしおきの共有

 

お風呂から上がった空がリビングのドアを開けると、ソファに座った悠一のひざの間にうなだれて立っている海の姿が目に映った。それが叱られている状況だということを空はすぐに理解し、その原因が今日の学校での出来事だろうと察した。関わらずに自分の部屋に避難しようとしたけれど、シュンとしている海がかわいそうに思えて、しばらくの間その場で2人のやりとりを聞いていた。

 

どうやら海はへそを曲げてしまったようで、一方的に悠一が海を問い詰めていたので、見兼ねて空が口を挟んだ。

「兄ちゃん、海今日学校でおしおきされたらしいぜ。」

「えっ、誰に?」

「誰に?って担任に決まってるだろ。」

「ぐんじょう高校にもお尻叩く先生がいるのか?」

悠一は嬉しそうな顔をしたが、すぐに不安げな表情に変わり空に尋ねた。

「海、何したんだ?」

 

「うちの学校ペナルティー制度があって、規則破ったり忘れ物したり何かあるごとにチェックされて、その数によって罰則が与えられるんだ。」

「それでケツ叩かれたのか?」

「それはクラスごとに違って、海のクラスは✕が5回溜まるとおしおきされるんだって。」

「じゃあ海はさっそく5回も何かやらかしたってことか?まだ1か月しか経ってないのに、たるんでるんじゃないか?」

悠一は海をにらみつけた。

 

「それで『クラス第1号だ』って担任にみんなの前で発表されて、落ち込んでるんだと思う。」

「海そうなのか?だから明日学校休みたいって言ってるのか?」

今まで黙っていた海は「うん」と小さい声で答えた。

「かわいそうに」とか「ひどい担任だな」とかそういう優しい言葉を期待していたのに、

「そういうことなら学校行かなくていいぞ、とオレが言うとでも思ったか?甘ったれるな。元はと言えば自分でまいた種だろ?休みたいは却下だ。いいな。」

 

こうやってきっぱりと言う悠一は決して意見を変えないだろう。海だって自分が悪いことぐらい充分に分かっていたし、悠一が了承してくれるとは思っていなかったけれど、こんなに気が滅入っているのだからもう少し優しい対応をしてくれてもいいのに・・・。

 

海は諦めて

「分かった。」

とだけ答えた。追い打ちをかけるように

「オレからもおしおきが必要か?」

と聞かれたので、

「大丈夫。」

と静かに答えて悠一のひざの間から抜け出して2階に上がった。

 

海の姿が見えなくなると、

「海、かなり参ってたな。担任からケツ叩かれたのがショックだったのか?それともみんなの前で名指しにされたのが恥ずかしかったのか?」

悠一は空に尋ねた。

「どっちもじゃん。」

「中学卒業と同時に学校でお尻叩かれるのも卒業できるってあんなに喜んでたのに。やっぱりお尻を叩く先生っていうのはどこにでもいるんだな。しかも海のクラス担任なんて、世の中うまくいってるよな。」

悠一はホッとした表情を浮かべた。自分と同じ教育方針で海を監視…いや見守ってくれる先生が高校にも存在することに安堵した。

 

「空のクラスはどんなペナルティーなんだ?優しそうな女の先生だから効力なさそうだよな。」

「✕20で即停学。」

「まじか?」

「まじ。」

「それはきついな。」

「みんなビビってる。でも過去にそうなった生徒はいないっていうから脅しだと思う。」

「双子そろって第1号は勘弁してくれよ。」

「オレはそんなヘマしないから。」

「停学に比べたら、ケツ叩かれる方がよっぽどマシだな。」

「女の先生からは嫌だ。」

「恥ずかしいのか?」

「そりゃあ。」

「そうだよな。高校生男子が女の先生のひざの上でお尻丸出しでペンペンされるなんて・・・。考えただけでムズムズするよな。」

「ムズムズって・・・兄ちゃん変態か?」

「健全な男なら普通そうなるだろ。」

悠一は空と2人きりになるとたまに変なことを言い出すが、空は相手にしなかった。

 

「もう寝る。」

話を中断して自分の部屋に行こうとすると、

「海のこと頼むな。」

と心配性の母親のように言うので、

「分かってる。でも教室が離れてるから分からないことも多いけど。」

「オレが一度学校に行って、海の担任と話した方がいいんじゃないか?」

「高校生でそんな親はいない。」

「過保護か?」

「うん。」

「そうだよな。しばらく様子をみるか。」

「その方がいいと思う。」

「空、ありがとな。」

 

“兄ちゃんは海のこととなると心配で心配でたまらないんだな。海には厳しいこと言うくせに。愛情の裏返しってやつか?海ももっと素直になればいいのに。まったく面倒くさい2人だよな”

 

空は2階に上がると海の部屋をノックした。返事がないのでそっとドアを開けると、海は布団にくるまってイヤホンで音楽を聴いていた。空は近くまで行って布団を軽く引っ張り、

「大丈夫か?」

と声をかけた。海はイヤホンを外して、

「お兄ちゃんに言ってくれてありがとう。」

「告げ口するなって文句言われると思った。」

「自分からは言えなかったから。あっ、でも何で全部知ってたの?」

「陸上部の友達に聞いた。」

「うちのクラスの?」

「ああ。」

「そうやってどんどん他のクラスにも広がっちゃうんだ・・・。」

「まあいいじゃん。どうせそのうちみんな同じ運命をたどるんだろ。」

「そうだよね。海だけじゃないもんね。」

「第1号だから注目されるのはしょうがないけどな。」

「・・・」

 

海が黙り込んでしまったので空は取り繕うように、

「でも9組は何だかゲーム感覚で楽しそうじゃん。担任も変に隠したりこっそりおしおきするんじゃなくて、そうやってオープンにしてくれるからクラス全員で共有できそうだし。」

「そうなのかな?おしおきの共有なんて嬉しくないけどね。」

「明日休んだら試合放棄になるから絶対に行けよ。」

「でもさぁ、全然話したことがない男子たちがコソコソ悪口言ってたし、女子だって陰で何言ってるか分かんないし・・・。」

「おまえそのくらいのこと、今までだって吹っ飛ばしてきただろ。」

「・・・うん。」

「負けず嫌いなんだから泣き寝入りなんて似合わないぜ。」

「・・・うん。」

空は「じゃあな。」と言って部屋から出て行った。

 

 

翌日まだ気が重かったが、海は普段通りに支度をして

「行って来ます。」

とあいさつをして家を出た。悠一も昨日の話題には触れずにいつもと同じように接していたが、

「頑張れ!」と心の中でエールを送った。

 

学校では海のことをコソコソと話す声も聞こえなかったし、✕が増えることもなく無事に帰りのホームルームを迎えた。そこでまたもや担任が、

「今日は達也と雅がおしおきを受けました。」

と発表した。教室のあちこちから「わー!」とか「また?」とか声が上がり、パチパチと拍手をする者まで現れた。海は“自分だけじゃなかった”とホッとしたが、このままでは帰りのホームルームがおしおき報告会になってしまうのではと不安を感じた。

 

雅は数日前に海と一緒にリーチを宣告されていた。昼休みに担任に呼び出されて生徒指導室でおしおきを受けたようだが、海も他のクラスメイトもそれにはまったく気づいていなかった。みんなの前で名前を告げられたとき、ずっとうつむいて耳まで真っ赤になっている様子を見て、

“きっと昨日の自分もあんな感じだったのだろう”

海は雅に同情した。

 

放課後、雅は海のところにやって来て、

「海ちゃん、話聞いて。」

と元気なく言うので、2人で購買でジュースを買ってあまり人目につかない外のベンチに座った。

「雅ちゃん、大丈夫?」

「結構きつい・・・。」

「だよね。」

「海ちゃんもオリオンに同じことされたんだよね?」

「うん。たぶん。」

「生徒指導室で?」

「うん。」

「よつんばいになれって言われて?」

「うん、そうそう。スカートの上からだったけど、あれ絶対パンツ見えちゃったよね?」

「うわー恥ずかしい・・・。パンツ見えなかったとしても、太ももとか際どいところまで見られてるよね。」

「そうだよ、あんな体勢で叩くことないのにね。普通に立ったままでいいじゃんね。」

「うん。よつんばいでも立ったままでも痛さは変わらないのにね。」

「オリオン、きっと恥ずかしそうにしてる私たちを見て楽しんでたんだよ。」

「キャー変態教師だぁ!今度おしおきされるときはジャージ履いていこうかな。まさかジャージ脱げとは言わないよね。」

「そうだよね。」

 

海は同意したものの、今までの経験上おしおきはそんなに甘くないことを知っていた。おしおきされる側は悪いことをしたという自負の念があるため、あまり強く出れないという絶対的に不利な状況なのだ。でもオリオンは今までの人たちとは少し違う気がするから、自分たちの主張を聞き入れてくれるかもしれない。オリオンという人物像については経験値が不足しているため、まだまだ未確定な部分が多かった。

 

2人はお互いの状況を確認し合ってまったく同じだったことに安心感を抱き、それと同時に親近感がアップした。

「次のおしおきは少しレベルアップするってオリオン言ってたよね。」

雅が不安そうに言うのを聞いて、

「えっ、それ初耳。レベルアップってどうなるの?」

「それは恥ずかしくて聞けなかった。」

「回数増えるとか?もっと痛くするとか?」

「レベルアップだからそういうことだよね。」

「もしかして毎回レベルアップ?」

「今回のはそんなに痛くなかったもんね。」

「うそ、私結構痛かったけど。」

 

海はあのときの痛みを思い出し首をかしげた。今までに受けてきたおしおきとは比べものにならないくらい軽いものだったが、それは5発という少ない回数だからであって、もし100、200と数を重ねていたら相当な衝撃を受けていたに違いない。

 

「私は大丈夫だったよ。でもお尻叩かれたのなんて生まれて初めてだったから恥ずかしすぎて泣きそうになっちゃった。」

「雅ちゃん初めてだったんだ!だからオリオン手加減してくれたのかもね。」

「ってことは、海ちゃんは経験あるの?」

「・・・うん。実はね中学のときお尻叩く先生が2人もいて。」

「えーっ!そうだったの?すごーい!」

 

それから1時間近く『たかやん』と『よわし』の話で盛り上がった。部活の鬼顧問の前では自らお尻を突き出さなければならないこと、竹刀で叩かれたあとは歩くのもぎこちなくなるほどの痛みでミミズ腫れが何日も残ること、よわしって見た目は頼りない感じだったけど、おしおきされるとなぜか素直に反省させられてしまうこと、などなど。

 

クラス全員の前でおしおきを公表されたのはあんなに嫌だったのに、こうして友達に経験談を話して聞かせるのはまったく抵抗がなかった。むしろそれを武勇伝のように自慢げに話している自分に驚いた。当時はそうは思わなかったが、今となってはいい思い出になっているのかもしれない。

 

それでも、悠一と恒からもおしおきされているということは話せなかった。時間が足りなかったからではなく、海がそれほどまでに問題児、あるいは捉えようによっては構ってちゃんなのかと思われてしまったら、せっかく仲良くなれたのにさすがに引かれてしまうかなと思ったから。

 

「次は1号、2号にならないように気をつけようね!」

「うん、✕10にならないように細心の注意を払おうね!」

2人は互いに励まし合った。

“これが空が言っていたおしおきの共有ってことなのかな”

昨日はあんなに落ち込んでいたのに、雅との友情が深まったようで嬉しく感じた。

 

 

つづく