中2の第2話 いじめ・・・《4.海はみんなから・・・》 | あまめま*じゅんのスパンキング・ブログ                        

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第1弾 『海の中のアタシ・空の中のアイツ』
双子の海と空のハラハラ・ドキドキの物語♪
第2弾 『星と月美のいい関係』
星と家庭教師の月美&トレーニングの日々!

    愛情たっぷりのおしおき満載(*'▽')

4.海はみんなから・・・

 
恒は学校を後にして病院に戻った。土曜日の診療は午前中で終了するのだが、午後は予約診療になっているので、今日も何人かの患者さんが訪れた。夕菜もそのうちの1人でpm4:00ごろに来院した。ねんざした足は昨日より腫れも治まり、痛みも和らいでいると言うので、本来ならば「明日から部活OK!」と指示するところだが、恒はその言葉を飲み込んだ。
 
「夕菜ちゃん、今日の昼休みに学校に行って藤重先生と話をしてきたよ。その後ミーティングが開かれて、先生も参加してきたけど、2年生も3年生もちゃんと反省していたから安心して大丈夫だよ。」
 
「先生、ありがとうございます。私も明日、お母さんと学校に行くことになっていて、本当のことを全部話してすっきりして来ようと思ってます。」
明るく答える夕菜に、
「また辛いこととか困ったことがあったら、いつでも話においで。」
恒は入り口のドアを開けて、夕菜を見送った。
 
病院の中に戻ろうとすると、恒の視界に小走りに駆けて行く女の子の後ろ姿が映った。
“ん?海ちゃんか?そろそろ帰って来る時間だよな?もしかして、オレと話をしようと思って様子を伺っていたのかな?昨日今日と少し・・・いや、かなり冷たく当たってしまったから、そろそろ薬が効いてきたころだよな。でも、もう一晩だけじっくりと考えさせて、明日、何とかするか。”
 
いつもの恒ならきっと今すぐに海を呼び止めて、診察の合間を利用して、きれいさっぱり問題を解決したはずである。しかし今回は、事が事だけにじっくりと時間をかけて、海の気持ちを整理させようとしていた。海にとって辛い試練であることは充分に承知しているし、恒自身にとっても、まさに『心を鬼にして』の対応だった。
 
 
翌日、日曜日の昼前、海はコンコンと悠一の部屋をノックして、
「お兄ちゃん、入っていい?」
と尋ねると、
「ああ。」
素っ気ない返事が返ってきた。悠一はベッドに寝転んで、携帯をいじっていた。
“いつもなら休みの日はリビングのソファでゴロゴロしているのに、まだ海のこと怒ってるから、自分の部屋にいるんだよね・・・。”
 
「お兄ちゃん、あのね・・・いろいろとごめんなさい。海、すごく反省してるから、許してください。」
 
昨日の夜、何て言えばいいんだろう・・・って、ずっとずっと考えていた。お兄ちゃんの反応とか、もし許してもらえなかったらどうしようとか、このまま今みたいにぎこちない状態が続いたら悲し過ぎるとか、悪いことばかりが頭の中に浮かんできて、なかなか寝付くことができなかった。
 
悠一は携帯に目を向けたまま「ああ。」と言っただけで、海の方を見向きもしなかった。
「お兄ちゃん・・・もう怒るのやめて、いつものお兄ちゃんに戻ってほしいの・・・。」
「オレ、怒ってないよ。」
「怒ってるもん・・・。」
 
海は今回の件で、悠一から何も叱られていない。
あのときに言われた『ひとこと』だけ。その言葉が海の頭からずっと離れない。
このままじゃ何も変わらない・・・。
 
海は意を決して、
「お兄ちゃん、海、本当にすごくすごく反省したから・・・・・おしおきしてください。」
恥ずかしくて小さな声で言ったから聞こえなかったのか、悠一は何も答えない。
「いっぱいお尻叩かれても、ちゃんと我慢するから・・・。暴れないで、ちゃんと最後までおしおき受けるから・・・。」
少しの間、沈黙が続いた。
 
悠一は初めて海の方を振り向いて、海の瞳が涙でいっぱいになっているのに気がついた。
“海が自分からこんな風に言ってくるなんて、想定外で驚いた。恒にあれだけ厳しく怒られ、オレに冷たく当たられ、おそらく昨日は高也先輩からもケツ叩かれてきたんだろう。もう充分に反省できたはずだから、そろそろ勘弁してやらないとな。”
 
「よし、分かった。こっち来い。」
ベッドの上に座ると、伸ばした足の上に海を導いた。
海はベッドに上がる前に自らズボンとパンツを脱いで、悠一の足の上に横たわった。
海のお尻を見た瞬間、悠一は、
「おまえ、これじゃあお尻痛いだろ?」
小さくうなずく海を見て、
「これ、治ってからの方がいいんじゃないか?」
「でも、それまでずっとお兄ちゃんがしゃべってくれないの、海、耐えられないから・・・。」
 
悠一は少し考えてから、
「よし。じゃあちゃんとケジメつけような。」
真っ赤に腫れているお尻に手を置いて、2~3回優しくさすると、お尻と太ももの境目あたりをビシッ!と叩いた。いつもと違う場所に痛みが走ると、海は「いったぁー。」と叫び声をあげた。
 
悠一は何も言わずに、ビシッ!ビシッ!ビシッ!ビシッ!・・・と左右打ち分けて3発ずつ叩いた。
「海、もういいぞ。ちゃんと我慢できたからおしまいな。お尻冷やすから、寝っ転がって待ってろ。」
と言って階段を下りて行った。
 
いつもの優しい悠一に戻っていてホッとしたのと、痛いのとで涙が止まらない。小さい子が母親からおしおきをされた後で、抱っこされて安心して泣くように、海も枕にしがみつきワーワーと声を上げて泣き続けた。
悠一が戻って来て、
「あーあオレの枕、海の鼻水でグチャグチャだ・・・。」
「違うもん。涙だもん。」
布団を太ももの途中までかけて、お尻だけポコッと丸出しにして、ほっぺたを膨らませている海を見て、
“まだまだガキんちょだもんなー。手がかかるのはしょうがないか・・・。”
心の中でつぶやいた。
 
お尻に冷たいタオルを乗せると、悠一もベッドに寝転がり海の隣で添い寝をしながら、
「いい子いい子」と言って頭をなでた。
「やめてぇ、もう中2なんだから!」
海は嬉しかったが、意地を張って悠一の手を払いのけようとすると、
「中2でお尻ペンペンっていうのも、どうかと思うけどなぁ。」
意地悪そうに言われて、海のほっぺは無意識のうちに膨らんだ。
 
悠一は膨らんだほっぺを突きながら、
「海は今回、恒と高也先輩とオレと、3人からおしおきされて、もう充分懲りただろ。人を傷つけることは絶対にしてはいけないことだ。海だってそんなこと、分かってるはずだよな?」
 
「うん。夕菜にはちゃんと謝る。これからはまわりの人がやってても、それに流されないで、自分でしっかり考えて責任を持って行動する。」
「そうだよな。海は人の気持ちを分かってあげられる優しい子なんだから、弱い子や助けを求めている人を守ってあげなきゃいけないんだぞ。」
「うん。」
 
「兄ちゃん、海の面倒見るの無理だ、なんて言ってごめんな。これからも悪い子にはお尻いっぱいペンペンして、たっぷり叱ってやるからな。」
「えー、やだぁ。お尻は叩かなくていいから、面倒はみて。」
悠一は笑いながらタオルをひっくり返した。
 
「あっ、それから、恒にもちゃんと謝っとけよ。」
「うーん・・・。」
「あのままなんだろ?」
「うん。昨日、部活のミーティングに一緒にいて、みんなは恒先生からお尻叩かれてたんだけど、海の番になったら仕事だからって帰っちゃて・・・。」
「恒、今回は相当怒ってたからな。」
「うちで怒られたとき、今までで一番怖かった。もう海のこと嫌いになっちゃって、許してくれないかもしれない・・・。」
 
「恒、おまえのこと小さいころから知っていて、保護者みたいなもんだからな。本気で叱ってくれるっていうのは、すごくありがたいことなんだぞ。」
「うん、分かってる。」
「じゃあ、今から謝りに行って来い。悪い子だったから、もっともっとお尻ペンペンしてくださいって、恒にも頼んでみろ。」
「お兄ちゃんの意地悪!海、そんなこと、お兄ちゃんにしか言えないよ・・・。もう、恥ずかしいってば・・・。」
 
 
pm2:00、海は恒の家に向かった。
“何て言えばいいのかな?会ってくれるかな?まだ怒ってるかな?許してくれなかったらどうしよう?”
海の頭の中は、疑問符と不安でいっぱいだった。
 
病院の前まで来ると、待合室に人影が見えた。今日は休診日なのに、と思ってチラッと中をのぞくと、普段着の恒と夕菜が楽しそうに話していた。夕菜は母親と学校に行って来た帰りに、報告がてら恒にお礼を言いに寄ったところだった。
 
「何で・・・?」
海はポツンとつぶやくと、一気に目の奥の方が熱くなり、涙で潤んだ目の前の景色が不透明な膜に覆われたような感覚に陥った。
“昨日も今日も、どうして恒先生、夕菜と仲良くしてるの・・・。海にはあんなに怖くて冷たい顔しかしてくれないのに・・・。夕菜と話してる先生、ニコニコしててすごく嬉しそう・・・。”
体の力がスーッと抜けて、よろよろしながら病院の前を通り過ぎた。
 
恒は少し前に、
「海が謝りに行ったから、よろしく頼む。」
と悠一から電話をもらっていたので、海が外にいることには気づいていた。
夕菜を見送って手を振った後、まわりを見渡して海の姿を探したが、どこにも見当たらない。
“ひょっとして、やきもち焼かれちゃったかな?”
プレイボーイと噂される恒は、そういう女子の感覚を敏感に感じ取る。
 
数分後、チャイムが鳴った。ドアを開けると、切羽詰まった顔をした海が立っていた。
「先生、この間は・・・。」
その場で話し出そうとするのを遮って、
「海ちゃん、ちょっと待って。家の方に行こうか。」
恒は海を落ち着かせてから、じっくりと話をしたかった。
 
リビングに通され、
“わぁ、恒先生の家、初めて入ったぁ。”
さっきまでの不安だった気分がいくらか楽になり、
「どうぞ。」
と言われてソファに座ると、紅茶とクッキーを持って来てくれた。
 
海は立ち上がって、恒の目の前に行くと、
「先生、この間は本当にごめんなさい。」
と言って、頭を下げた。
「海ちゃん、ちゃんと反省できた?」
「はい。すごく反省しました。」
 
「先生、まだ今回のこと、きちんと海ちゃんと話してないよね。この前は先生だいぶ怒ってたから、お説教もしないでいきなりお尻バシバシ叩いちゃったもんなぁ。いつもならしっかりと話をして、納得してもらった上でおしおきするんだけど、あのときは先生も気持ちの余裕がなくて・・・。
 
これじゃあ海ちゃん、“お尻いっぱい叩かれて痛かった”っていう印象しか残らなくて、何が悪かったのか考えないまま終わっちゃうだろうな・・・って思ってたんだよ。」
 
「あのとき、恒先生、本当に怖かった・・・。」
「うん、そうだね。先生が何でそんなに怒っていたのか分かるよね?」
「夕菜のこと、傷つけちゃったから。」
 
「海ちゃんは優しい子なんだから、もしそうやっていじめられてる子がいたら、守ってあげなきゃいけないんだよ。あと、あのとき先生が一番怒ったの、何だったか覚えてる?」
「だってみんなやってるから、って言ったとき。」
「そうだよね。みんながやってるから、っていうのは理由にはならないよね。たとえ1人だけだったとしても、悪いことは悪い、夕菜ちゃんをいじめるのはやめようって言える勇気を持つことは、とっても大事なことなんだよ。」
 
「もし海が夕菜みたいにみんなからいじめられていたら、学校も部活も行けなくなって、部屋に閉じこもっていたと思う。それなのに夕菜は毎日ちゃんと学校に来て、部活にも出て、すごく我慢して頑張ってたんだなって。夕菜、本当に偉いなって。」
 
「夕菜ちゃん、すごく辛かったと思うけど、誰かさんと違って強い子だからね。」
「えっ、海?海も強い子だよ。」
「ちょっと怒鳴られたり、お尻叩かれただけでビービー泣いたり、すぐにふてくされちゃう子は、強いって言わないんだよ。」
「でも、今回のは厳しかったから・・・。」
 
「ところで海ちゃん。先生のこと、バカ、大嫌い!って叫んだのは、もちろん覚えてるよね?」
「あっ・・・はい。」
「先生、あれ、かなりショックだったなぁ。」
「えっ、うん・・・。お尻が痛すぎて、頭の中が真っ白になっちゃって、つい言っちゃったの・・・。本音じゃないから、許して先生。」
「でも海ちゃんが言ったように、他の子も同じことをしているのに、海ちゃんだけあんなに怒られたら納得いかないよな。先生、海ちゃんのお兄ちゃんでも親戚でもないのに、特別扱いして厳しくおしおきするのってどうなのかなって考えたんだ。」
 
海は首を横に振って、
「恒先生・・・これからも海が悪いことしたり、わがまま言ったりしたら、いっぱい叱ってほしい・・・。友達と同じじゃなくて、海だけ特別にしてほしい・・・。」
 
「いいのか、そんなこと言って。先生、優しそうに見えて、実はものすごく厳しいんだぞ。」
「そんなの知ってるもん。」
 
「そうだな。海ちゃんはみんなに見守られて、みんなに可愛がられて、それから、みんなにお尻叩かれて成長していけばいいんだよな。甘えん坊で、わがままで、とっても手がかかる子だけど、それが海ちゃんの魅力だもんな。」
「・・・・・。」
 
「さあ、今日はお尻どうしようか?叩いてほしいなら叩いてあげるよ。」
まさかの展開に動揺を隠せず、オロオロする海に、
「じゃあ、昨日の学校の分、3発だけペンペンしとこうか?お尻の状態も診ておきたいしね。」
海が返事をする前に、
「はい、ここ。」
と言ってひざを叩いた。
「自分でパンツ下ろしてね。」
今日は逆らわないと決めていたので、自らお尻を出すと恒のひざに横になった。
「素直でよろしい。」
と言われ、お尻に手を当てられた。
 
「海ちゃん、まだだいぶ痛いでしょ?真っ赤っかだよ。もしかして今日、悠一にも叩かれてきた?」
「うん。怒るのやめて、ってお願いしてきた。」
「許してもらえたの?」
「いつものお兄ちゃんに戻ってくれた。」
「じゃあ先生も3つ叩いたら、今回のことは海ちゃんを信じるってことでおしまいにするからね。」
「はい。」
海は強烈な3発を覚悟して、目をギュッと閉じてお尻に力を入れた。
 
しかしそれは、右、左、真ん中にパン、パン、パンと全然痛くない、この前と比べたら1/100ぐらいのおしおきだった。
 
ソファに2人で並んで座ると、
「先生、1つ聞いてもいい?」
「ん?」
「何で昨日、海だけお尻叩かないで帰っちゃったの?すごく怒ってて顔も見たくなかったから?」
「あー海ちゃん、そのこと気にしてたの?あれはブレークタイムだよ。だって竹刀で1発目叩かれたとき、この世のものとは思えないような悲鳴を上げていたから、続けてもう1発はヤバイかなと思って。」
「そうだったんだ。助けてくれたんだ。海、あの後悲しくて、涙が止まらなかったんだよ・・・。」
 
「先生からも1つ聞いていいかな?昨日の部活の帰りと、今日来る前に、病院のぞいてたよね?先生と夕菜ちゃんが話しているのを見て、海ちゃんやきもち焼いたでしょ?」
「えっ・・・。」
「うそついたら、お尻だよ!」
優しい目で優しくにらまれ、
「・・・うん。」
と答えると、
「ハハハ、素直でよろしい。」
またまたそう言われて、優しく頭をなでられた。
 
 
後日、今回の件は、夕菜とお母さんから、
「これからも部活で皆さんにお世話になるので、あまり大きく取り上げないで、すんなり溶け込めるようにしてください。」ということで、学校挙げての問題とはならず、各家庭で厳重注意という結論に至った。
そして夕菜は持ち前の明るさで、過去にとらわれず、チームメイトと共に部活に打ち込む生活を楽しむことができた。
 
 
おわり
ペタしてね