中1の第6話 秘密の女子会《1.お泊り会と花火》 | あまめま*じゅんのスパンキング・ブログ                        

あまめま*じゅんのスパンキング・ブログ                        

第1弾 『海の中のアタシ・空の中のアイツ』
双子の海と空のハラハラ・ドキドキの物語♪
第2弾 『星と月美のいい関係』
星と家庭教師の月美&トレーニングの日々!

    愛情たっぷりのおしおき満載(*'▽')

1.お泊り会と花火
 
放課後、教室で女子3人集まって、ヒソヒソ話に夢中になっている。明日から夏休み。
綾が2人に話を持ちかけた。
「ねえねえ、うちの両親、今度の週末、旅行に行くんだー。それでね、私、おばあちゃんちに泊まりに行くことになったんだけど・・・。」
莉子と海は、「うん、うん」と楽しそうに話を聞いている。
「でも、友達と宿題やるから行けなくなったってことにして、うちで3人だけでお泊りパーティーしない?」
「えー、いいのー?親いなくて遊べるなんて、最高じゃん!」
と海は手を叩いて喜び、
「オールで恋バナできるね。」
と莉子はニコニコしている。
 
「海で花火できるかな?」
「お菓子いっぱい買い込んで、宴会しよう!」
「お酒もちょっぴり飲んじゃう?」
「じゃあみんなでいろいろ持ち寄って、その日はとことん楽しもうね!」
 
“こうやって、楽しい計画を立てているときって、もしバレたらってことまで考えないんだよね。絶対に大丈夫っていう根拠のない自信を持って、アドレナリン出まくってる感じ。”
 
「海と莉子は、うちの親が旅行でいないってことは家の人には言わないで、“お泊り会”って言えば大丈夫だよね?」
「うん。うちは大丈夫だと思うけど、海のとこ、お兄さん厳しいんでしょ?」
「うーん・・・。でも、絶対何とかする!」
 
木曜日、海は悠一に話を切り出した。
「お兄ちゃん、今度の土曜日、綾の家にお泊りに行ってもいい?綾と莉子と3人でお泊り会しよう、って言ってるんだけど。」
悠一は2人の顔を思い浮かべた。


「星野綾ちゃんだよね?綾ちゃんは、お母さんとうちの病院に何回か来てるからよく知ってる。莉子ちゃんは白石莉子ちゃん?会ったことはないけど・・・。あっ、4月の内科検診で会ったかな?一緒に住んでいるおじいさんがうちの患者さんだ。綾ちゃんの家の人は、いいって言ってるの?」


「うん。お母さんが、夏休みだしぜひ来てねって。あっ、それから、花火してくれるって。」
「そうか、楽しそうだな。空は合宿でいないし、オレも仕事だし、じゃあ、そうさせてもらえ。ギャーギャー騒ぎすぎて迷惑かけるなよ。」
「うん。お兄ちゃんありがとう。」
 
“やったあ、楽勝、楽勝!花火のことも一応伝えたし。子供だけで海に行って・・・とは言ってないけど、バレなきゃ大丈夫だよね。”
 


土曜日の朝、
「お兄ちゃん、今日、綾んち泊まるから、夜1人で寂しいだろうけど我慢してね。」
「バーカ、全然寂しくなんかない。うるさいのがいなくて、せいせいするなー。後でケツひっぱたかれるような悪さするなよ。」
「な、何言ってるの。いい子にしてますよーだ。」
と言って、あっかんベーと舌を出した。
“お兄ちゃん、何か勘づいてる?大丈夫だよね、何もボロ出してないよね・・・。お兄ちゃんの勘って、本当に怖いから・・・。”
 
悠一が勤務している市立病院は、土曜日は午前中で診察が終了する。
「佐藤さん、調子はどう?今日はいつものお薬出せば大丈夫かな?」
「はい、先生。お願いします。実はね、娘夫婦が旅行に行くもんで、今日孫を預かることになってたんだけど、やっぱりお友達の家に泊まって宿題やるからって、断られちゃったのよー。楽しみにしてたのに・・・。」


「それは残念だったね。確か佐藤さんのお孫さんて、あおいろ中学の1年生だったよね?」
「そうそう、綾っていうのよ。休みの日は部活漬けで、ちっとも会いに来てくれないし・・・。」
「部活、何やってるの?」
「バスケだよ。」
「あー、星野綾ちゃんかぁ。お母さんとたまにここに来るよ。」
 
“ん?海、今日、綾ちゃんの家に泊まるって言ってたよな?ご両親が旅行に行くなんて、ひとことも言ってなかったぞ。ってことは・・・。まさか、あいつ・・・。”
「先生?」
「あーすみません。じゃあまた、お薬がなくなるころ来て下さいね。」
「はい。ありがとうございました。」
 
“海のヤツ、とんでもないことをしようとしてるな!”
今日は土曜日だから、pm5:00には病院を出ることができた。
“さて、どうするか・・・。取りあえず、現行犯でやっつけるのが手っ取り早いよな。暗くなるまでにはまだ時間があるから、少しのんびりするかな。”
夜1人でゆっくり観ようと思っていたDVDを前倒しで観て、
“もっと落ち着いた気分で観たかったな・・・。”
と残念に思った。
 


pm8:00を過ぎて、そろそろいい時間だろう、と家を出た。
綾の家の前を通ると、電気が消えていて真っ暗だった。
「うーん、やっぱりな。」
そこから歩いて5分の海岸へ足を運んだ。夏の夜の海は若い男女が大勢いて、危険な臭いがプンプン漂っている。ぐるりと辺りを見渡すと、海辺ではしゃいでいる女の子3人組が目に入った。
 
“まだ花火はしてないな。”
と思って見ていると、3人が海から離れて、花火の袋をガサゴソと開け始めた。
“せっかくだから、少し遊ばせてやるか。”
と15分ぐらい様子を見ていた。キャーキャーと花火を振り回して、無邪気に盛り上がる3人。
“こうやって見ると、中学1年生なんて、まだまだガキだな”と思う。
 
さて、そろそろ・・・。
 
海の携帯の着信音が鳴った。
「あっ、お兄ちゃんから電話!」
2人が海の方を振り返った。
「もしもし、お兄ちゃん。」
「あー、海。どう?問題ないか?」
「うん、大丈夫だよ。」
「今、何してる?」
「みんなで花火してるよ。」
「花火かぁ、いいなー。そうそう、綾ちゃんのおうちの人いるか?ちょっとあいさつしておきたいんだけど。」
「えっと、おじさんはビール飲んでさっさと寝ちゃって、おばさんは今、手が離せないみたい。」
「・・・ふーん。お母さんは旅行に行っちゃってて、手が離せないのか?」
「えっ?えっ?お兄ちゃん、何言ってるの?」 
 
海は明らかに動揺しているようで、その上、後ろの方から悠一の声で、「海ちゃーん」と呼ばれた気がしたので、ますます挙動不審な様子だった。電話の声なのか、実際に呼ばれているのか、いくらかパニックに陥りクルッと振り向くと、そこには仁王立ちした悠一の姿があった。
 
「何でー。何でここにいるのー。信じらんない・・・。」
“これって最高にヤバイじゃん!!”
「綾ちゃん、莉子ちゃん、こんばんは。3人でこんな危ない所で花火やってるの?おうちの人は?」
とわざとらしく、まわりを見回してから、
「いないみたいだね。」
と語尾を強めて言われた。
 
あまりにも突然のことで、言葉が出ずに固まっている3人を横目に、
「オレにも花火やらせてね。」
と言って、1本手に取り火をつけた。
「ほら、君たちも、どうせだから全部やっちゃいなよ。話はその後でゆっくりと聞かせてもらうからさっ。」
そんな恐ろしいこと、さわやかな笑顔で言わないで・・・。この後の展開を考えると、背筋がゾッとする。
 


悠一が決して許さないこと。
うそをつくこと。
自分の体を大切にしないような、危険な行為をすること。
この2つに関してはものすごく怒る。今回、まさにその両方だ・・・。


3人のお尻を叩く?それとも、家に連れ戻されて、海だけおしおき?どっちにしたって海のお尻はかわいそうなことになって、いっぱい叱られる、ということは明らかだった。
 

それから3人+1人で残った花火をやりきった。さっきまでの楽しさとは真逆の、暗い暗い花火。ただ悠一だけが楽しそうなのが妙に不気味だった。片付けが終わると悠一は「さあ」と声をかけ、みんなの顔をグルっと見回し、
「ここじゃあ通報されると困るから、綾ちゃんの家に戻ってからだな。」
“通報”という言葉に友達2人の頭の中には??が浮かんだが、もちろん海には意味が分かってしまうから、ブルブルと震えが止まらない。
“あー、お兄ちゃん、すごく怒ってる。目がキツネみたいにつり上がってるもん・・・”
 
悠一の後を3人でついて行く。綾と莉子がコソコソと話をしている。
「私たちって、これから海のお兄さんに怒られちゃうのかな?」と綾。
「えー、なんかドキドキしちゃう。」と莉子。
「悪いことしちゃダメだよ!って、あの優しい目で言われたら、はぁーいって素直に言うこと聞いちゃうよね。」
「うん。怒られてるのに、嬉しくなっちゃいそう。」


2人の会話を聞きながら、
“あんたら、バカじゃないの。全然分かってない!この人、超、鬼なんだから。それもかなり質の悪い、お尻叩きまくる鬼だよ!”
海は心の中でつぶやいた。
 

 

つづく
ペタしてね