※ この項目は期間限定で公開。7月以降はアメンバー限定です。
【ブータンをサンプルとした国家と文化、産業と伝統、
~グローバリゼーションとドメスティズム~】
埼玉大学教養教育 音楽学 坪野和子
水曜日3-4限
音楽学で、一体なぜ、こんな質問するの??という人がいなかった上に、ブータンの情勢を調べて答えてくれた人もいて、ほとんど知らないなりに自分の考えをしっかり書いてきてくれたので、嬉しかった。たぶん卒業して社会に出ても、自分と社会のありかたをしっかり考えながら生き抜いていく人たちだろうと思えた。
実は、世界中すべての地域が伝統文化の継承・保存とテクノロジー・国際化が対立項目になっているのだ。特に発展途上国においては、かなり深刻な問題となっている。先進国による不公平な搾取に近い貿易や現地労働や人権無視、さらに環境汚染など。しかし、貧困から抜け出すには、産業の発展なしでは先進国に対抗できない。EUで比較的貧しい国が強く変わったのは、アイルランド=EUのITセンター、北欧のノキア席巻。インドは、国内でなく海外相手にIT技術者の進出、アメリカの裏側を生かしたコールセンター請負など、伝統産業ではないカーストの隙間で勝負している。
一方、豊かだ豊かだと言われている中国では、低賃金労働者の健康を害する仕事の強制があり、「中国には人権がないから」などとうそぶく先進国の経営者がいる。私たちが安く買っている100均商品の中には、彼らの低賃金で支えられているモノもある。そして、北京オリンピックのために、日本でも盗賊が来ているが、世界中に出没中なのだ。あの豊かそうに見える上海などの風景の裏には、ものすごい格差が生まれているのだ。
ナイキは、もともと韓国に工場を建てたが、賃金が高くなったので、韓国の経営者がインドネシアに工場を移し、一時は子どもの労働者を使い、世界的な批判を浴び、それでも現在、大人の労働者を安く使っている。