対のお話。はなさかGさん
昔々あるところに
おGさんがひとり村はずれの小さな小屋に住んでいました。
おGさんはいつも孤独でした。
ある日のこと
1人だけでは寂しかろうと、
村の親切なおJさんが
一匹の子犬を連れてやってきました。
おJさんは言います。
「おGさん、この子を育ててみんか?」
おGさんは大喜び。
おJさんにお礼を言い、子犬を育てる事にしました。
子犬は真っ白な犬だったのでシロと名付けられ、
おGさんの愛情の元、すくすくとと育ちます。
ある日のこと
シロは畑を指します。
『ここ掘れワンワン』
『ここ掘れワンワン』
おGさんは不思議に思いながらも
掘り起こしてみる事にしました。
なんと
大判小判が
ザクザクザクザク。
それからというもの最初は戸惑ったいたおGさんも欲に目がくらみ
シロに土を掘る事を仕込みました。
シロも育ててくれたおGさんの喜ぶ顔を見るため一生懸命に掘ります。
掘れば一杯出てくるかもしれない。
人間欲が出てくるものです。
あちらこちらで掘りました。
ですが、自分の畑で掘るところのなくなったおGさんは
村人達の畑も掘ってしまったのです。
村人達はカンカンです。
責任を取ってこのおGさんに子犬をあげたおJさんが
おGさんの元へ行きます。
「おGさんや村人が困ってとる。畑を荒らすのはやめてもらえんかのぉ?
それに、シロのヤツも一日中掘らされて手がボロボロで弱ってとるではないか。」
おGさんは小判を眺めていておJさんの話は聞こえません。
一向に畑を掘る事を辞めようとはしませんでした。
おJさんは少し手荒な気もしましたが、
村人の代表としての責任もあります。
シロを無理やりもらいました。
「ちゃんとしつけたら返すからな。」
おJさんがシロを保護した時
シロはもうすっかり弱っていました。
それでも、掘る事を辞めようとはしません。
「そんなに、おGさんが好きなのか?」
「おい、そこは肥溜めじゃぞ?」
ボロボロの手から、
掘れるのはやわらかい土だけになっていたのです。
しつけのため、おJさんは厳しくシロを叱ります。
「ダメじゃないか、シロ!」
毎日毎日、厳しくしつけました。
でも、シロは掘る事をやめません。
足がボロボロで、
そこから病気にかかりシロは死んでしまいました。
悲しみにくれ、いつまでも泣いているおJさん。
そうです。おJさんは子犬の頃からシロの事を知っているのですから。
「ごめんな・・・ごめんな・・・あの家に渡したから・・・」
「でも、お前はおGさんが好きだったんだな。」
おJさんはシロの気持ちを汲み
せめて生前、シロが大好きだったおGさんの元にそのなきがらを返します。
相変わらず、小判ばかり眺めているおGさん。
おJさんは不快に思いながらもおGさんにシロの亡骸をわたしました。
「ひとりじゃ寂しいだろうからコレも一緒に植えてくれないか?」
そう言いおJさんはおGさんに一本の木を手渡します。
犬の死体を返してもらったおGさんは
もう小判は手に出来ないと泣きながら
庭に墓をつくりシロを埋めその隣に木を植えました。
時がたち・・・木はドンドン大きくなります。
おGさんは気がつきます。
もうすぐ年末だ。
あの大きな木から臼をつくり餅を売れば儲かるのではないかと。
すぐさまシロの元へ植えた木を切り倒し臼を作りました。
この臼でつくった餅は
少しかわった色をしていて小判のように光り輝いていました。
味の方もたいそう評判でたくさん売れます。
おGさんの元にお金が舞い込んで来ます。おGさんの笑いは止まりません。
しかし、おGさんは考えました。
もう年末年始も終わり。いつか餅は売れなくなる。
「じゃあ、まだ臼が必要とされている間に売ればいい。」
と、そう思い立ったのです。
おGさんはシロのお礼にとおJさんに臼を買わないか?
と、持ちかけます。
「それは、シロに渡したものではないのか?」
と、木がなくなっていたことに気がついたおJさんは
おGさんに文句を言うのですが、おGさんはこう答えました。
「シロが夢に出てきて、臼をつくって餅をつけと言うんじゃ」
「そうか・・・シロがか。じゃあ、お前さんが今までどおり持っておればいいだろ?おGさん」
「ワシはもう年だから、きねが重いんじゃ。生前シロが世話になったお前さんなら許してくれるじゃろ?」
じゃあ譲り受けるよ。とおJさんはおGさんから臼を譲り受けました。
この頃、村では奇怪な病気が流行りだします。
みんなお腹がいたいと訴えるんです。
原因はおGさんの変わった餅。
つくったときは金色なのにしばらく経つと真っ黒になり
まるで糞のようになるのです。
ですが、現在、餅を作っているのはおJさんです。
コレに腹を立てた村人はおJさんに言います。
「こんなものをつくりやがって!」
「ご、ごめんなさい」
おJさんはこれ以上病気を増やせないと、
臼を燃やしてしまう事にしたのです。
おJさんは、燃やした臼の灰を持って
このことをおGさんに 報告しに行きました。
「せっかくつくった臼を・・・申し訳ない」
「いや、いや、いいのですよ。それにしても本当に運が悪い。生きていればこんな事もあるだろうから気を落とすんじゃないよ。」
おGさんは優しくおJさんを励ましました。
すると、おJさんは本当に申し訳なさそうに
「これ、シロの供養に」
そう言い、おJさんはせめて残った欠片くらいは渡そうと、
おGさんに臼の灰を渡します。
灰を手渡し太後のおJさん。
肩を落としとぼとぼ、村へ帰りました。
「こんな灰どうすればいいんじゃ?」
おGさんは困ります。
「とりあえず、その辺に撒いてみるか?」
こともあろうにおGさんはおJさんが一生懸命に集めた灰を撒き始めました。
灰を撒くと・・・
なんと枯れていた桜の木に花が咲くではないですか。
「こりゃおもしろい。それ~」
『おGさんは枯れ木に花を咲かせられる。』
村の人にもそのことが耳に入ります。
おGさんは枯れた木に花を咲かせる事が出来るのだと。
「それ~」
おGさんは花を咲かせます。
おGさんのことを避けていた村人達も大喜び。
春でもないのに桜が見られるのです。
それをたまたま見ていた大名様。
「コレ、そちはおもしろいものを見せてくれたな。褒美をやろう」
おGさんは、たくさんの褒美をもらいました。
たくさんの褒美をもらったおGさん。
「一芸は飽きられるからな・・・。」
と、この先余った灰をどうしようか考えていました。
そこへ、おJさんが乗り込んできたのです。
「おGさん!灰を撒くとはどういうことじゃ?」
「おや、おJさんではないですか?シロが夢に出てきて・・・」
「そんなウソをつくんじゃない!!」
おJさんは、供養の灰を撒かれた事に腹が立って仕方がありません。
「ウソじゃないよ?ほら、見て見なさいこの大名様の褒美。シロの御礼だと思わないか?」
「そうか・・・。シロが・・・。」
納得してしまったおJさん。
「そうだ。お前さんも灰を撒いて大名様から褒美をもらえばいい。まだ近くにいるはずじゃ。」
言われるがまま、灰を持ち出し灰を撒いてみます。
なんと本当にきれいな花が咲くではないですか。
コレはシロのお礼なんだと、おJさんも大名様のところへ向かいます。
少し、楽しくなってきたおJさん。
「はなさかJ。枯れ木に花を咲かせましょう」
大名様をはじめ、みんなの前で花を咲かせます。
でも・・・
「もう、それみたぞ~」
散々おGさんが見せていたので飽きられてしまいました。
それどころか
「他に、何かないのか~?」
と、言われる始末。
大名様は沈黙を守っていました。
困ったおJさんはやけになり、少し多めに灰を撒きます。
何度も見ている大名様は、花が咲く瞬間ではなく
どんな種があるのかを凝視していました。
そのことが災いして・・・
「あいたたたた」
灰が目に入ってしまったのです。
「こら!そこのはなさかJ!」
灰を大名様の目に入れてしまったおJさんはたんまりと大名様に叱られましたとさ。