昔々あるところに

微妙におGさんと地味なおBさんが2人で住んでいました。

2人には子どもがいなく、2人がやっと生活していけるだけの貧しい生活でした。

 

ある日、おGさんが畑に行こうとすると

ひとりの若い娘さんが横たわっています。

 

「おやおや?どうなされたのです?」

 

おじいさんは紳士に娘さんに尋ねました。

 

「あの、そこで足をくじいてしまいまして・・・」

 

よく見ると娘さんはたいそうなベッピンさんでした。

横たわる娘さんの着物の裾から見える白い足首は少し腫れていました。

 

かわいそうに思ったおGさんは

足が治るまで娘さんの面倒を見ることにしたのです。

 

ウチに連れ帰ったとき

おBさんは言います。

「若い娘だよ?あんた、なに考えているんだい?」

「でも、おBさんや。あの娘さんの足首を見てごらん。きれいな足なのにものすごく怪我しているではないですか」

「そんな娘にやる薬はないよ!ウチはぎりぎりなんだ!誰が御飯をつくっていると思ってるんだい!」

 

それでもおGさん

 

「かわいそうじゃないか。」

 

一向にひきません。

どうやらおBさんが何を言いたいのか伝わらない様子。おGさんが女性に優しいのは何年も一緒に

住んでいるおBさんがよく知っております。

あきれてしまったおBさん、

『かわいそうじゃないか』

そう言われおBさんもしぶしぶ了解します。

 

そして数日後。

 

おGさんの看病のおかげで娘はだいぶ元気になりました。

 

子どものいなかった

おGさんは娘さんをたいそう可愛がります。

でも、それを見ていておもしろく思わないのはおBさん。

 

「全く、ウチの旦那は。。。アンタも治ったんなら早くどっか行っちまいな!」

 

おBさんはチクチクおGさんにも愚痴を言います。

 

「Bさんや、うちには子どもも、おらん。どうじゃ?この子を育ててみんか?」

 

「バカ言ってるんじゃないよ!ウチのどこにそんな余裕があるのさ!米粒ひとつたりとももったいない!」

 

たしかにおBさんの言うとおり生活はぎりぎりです。

それでもおGさんは娘を可愛がり、

娘も一向に出て行きませんでした。

 

ある日、

娘が風邪をこじらせて寝込んでいました。

 

それでも、おBさんは娘の面倒なんてみず、家のことに一生懸命。

その日はおBさん障子の張替えのため

おコメをすりつぶし糊をつくっていました。

 

「これでよし!じゃあ乾くまで洗濯でもしていようかね」

 

糊の近くには娘がいます。

 

「まぁ、おBさん私のためにおかゆをつくってくれたのね!」

 

お腹がすいていたのか

おBさんが少し目を離した隙に、

娘は、糊を食べてしまいました。

 

「あんれぇ!?糊がない!アンタァ!!」

 

「この口か!この口が食ったんか!?」

 

怒ったおBさんは娘の舌を鋏で切って、

追い出してしまいました。

 

 

「ひほひへふは~」

 

そこへ

 

「ただいま、Bさんや」

 

おGさんが帰ってきました。

 

「あれ?娘は?娘はどうしたんじゃ?」

 

「あんな娘なんて知るもんか!舌を切って追い出してやったよ!今頃の山にでもいるんでないのかい?」

 

「なんてことを・・・。山には恐ろしい化け物が出るというのに・・・。ワシは娘を探してくるからな。」

 
その話を聞いたおGさんは娘を探しに出かけます。

 

「ワシは間違っていない。間違っておらん・・・。そもそも、よその美しい娘を連れてくる人が悪いんじゃ。」

 

 

野を越え山を越え、

いつの間にか

竹林に迷い込んだおGさんはそこで娘を呼びました。

 

「舌切り娘のお宿はどこじゃ」

 

「舌切り娘のお宿はどこじゃ」

 

すると声が聞こえてきたのです。

 

「舌切り娘のお宿はここじゃ」

 

おじいさんは若い娘達に会いました。
 

「娘さんや、舌を切られて娘がここにおるんかいな。」

 

と、おじいさんが聞くと、娘達は

 
「娘のお宿にいます。」

 

「怪我の様子はどうじゃ?わしゃ、心配で心配で」
 

「元気にしていますよ。おGさんに会いたがったおりました。あの子はあちらにいます。さぁ・・・」

 

と、おじいさんを娘のお宿に案内してくれました。
 

 

お宿に辿り着いたおじいさん。

 

「おぉ!!」

 

「おじいさん」

 

「すまなかったな」

 

「いいえ、それよりみんな歓迎してくれていますよ。どうぞこちらへ」

 

娘のお宿でおGさんは歌や踊りにおいしい料理と、

娘たちの歓迎をうけます。

いつの間に屋夜も更け、おGさんも帰り支度を始めます。

 

「おぉ。そうじゃ。そろそろ帰らんと。」

 

「もう帰りなさるのですか?それではお土産をお持ちします。」

 

そう言うと2つのつづらを差し出しました。
 

「おGさん、どちらかを持って帰ってくださいな。ウチの店で今やっているお土産くじです。」

 

おGさんは腰がいたいということで

軽そうな小さなつづらを持って帰りました。
 

つづらには『街酒場雀』と書いてあります。

家に帰ってつづらを開けるとびっくり。

大判小判、色とりどりの錦や着物がつづらいっぱい入っています。

そして一番上には酒場の割引券が。

 

それを見たおBさん。

怒りたい事が他にもあったみたいですが

「どうして大きい方を持って帰ってこなかったんだ!」

と、かんかんです。

 

「腰が・・・。」


「情けないね・・・じゃ、ワシが大きい方をもらってくる。今までの世話代だよ。」

 

そう言い、娘のお宿に行きました。

 

「困ります困ります!」

周囲の娘たちが止めるものの

 

「ワシだってあの子のために飯をつくってあげたんじゃ!布団の用意や選択は誰がしたと思っとる?

お礼をくれるのは当然じゃろ?」 

 

そう言われしぶしぶ娘たちは宿に通します。

 

娘たちが歓迎の宴会の準備をはじめようとすると

おBさん

「歓迎はいいんじゃ、お土産だけもらったら帰るからな。お土産およこし」

 

そう言われると、娘は2つのつづらを差し出しました。
 

「おBさん、どちらかを持って帰ってくださいな。」

 

そして、おBさんは大きなつづらをもらってきました。
 

「おやまぁ、重いね。」

 

帰り道、おBさんはどうしてもつづらの中身が気になり、出します。


「小さなつづらでアレだけの宝だ。この大きなつづらだと・・・」

 

道の途中でつづらを開けてみました。

すると中からはたくさんのお化けがあらわれ、

おBさんを脅します。

 

「ぎゃ~~~」

 

腰を抜かしたおBさんは命からがら逃げ帰ったそうです。

 

そのせいで、おBさんの声はがらがらになり腰も痛くなったのだそうです。

 

「ワシはあの子に何したというんじゃ!!

あの子に御飯を与えたり、住むとこに住まわせてやったのに

恩をあだで売りおって!」

香奈と隆平はキャンプに行った。

もうじき冬が来ようとしている10月後半の空は透き通っていて星がよく見える。

2人は自然と火のそばで語り合っていた。

 

「自然って雄大だよね。」

 

多くの星々の中に時折見える流れ星は恋人達の心を透かし

ほうき星は心の中にまで、濁りきったよどんだ水を掃除をして行ってくれる。

 

「ねぇ、隆平?今年の誕生日プレゼント何がいい?」

 

香奈は空になったマグカップを横に置き

まっすぐに火を見つめながら隆平に尋ねた。


「誕生日?」

「もうじき付き合って3年になるでしょ?だから、たまにはいいモンをあげようかなって思ってさ。」

 

隆平は「そう。」と一言だけつぶやいて少しだけカップを傾かせ中を覗いている。

 

「もう一杯いる?」

 

隆平は、火にかけてあるミルクが入った鍋のフタを開いた。香奈は顔を横に振った。

 

「ミルキークラウンってステキだよね。」

「ん?見るイークラウン?」

 

そう言って隆平は彼のカップにまだうっすらと湯気の残る暖かいミルクを見せた。

 

「一滴たらしたら王冠みたいになるアレ。」

「あぁ、ミルククラウンね。何?突然。」

 

すると、隆平はうっすらと笑みを浮べ意地悪そうに言った。

「それが欲しい・・・かな?」

 

香奈はマジマジと隆平の顔を見て答えた。

「う~ん。難しいよ。それは。」

「ね?こんな小さな世界の中にも人が扱えない自然があるんだよ。俺が欲しいのはそんな感じのモノさ。」

 

「それって何?」

「内緒。来年にでも教えてあげるよ。」

健一郎は昔からひとつ気になっていたことがあった。

 

「どうしたら、眠る瞬間を体感できるんだろう?」

 

彼はな手いる間、意識がないことが不思議で仕方なかったのだ。

夏休みの研究は、そんな動機からはじまった。

 

まず彼がしているのは、目覚まし時計を夜中にセットしている。

その時刻は彼がいつも眠る時間だ。

 

「健一郎、あなた何してるの?」

 

夏休みの研究課題に興味津々の母親は健一郎に聞く。

そんな母に健一郎はまじめな顔をして答えた。

 

「あのね、お母さん。僕は夢の狭間を見て見たいんだ。」

 

母の顔はどうもピンときていないようで

「あっそう?」と言う。

彼は小学4年生になる。

みんなこうなのかしらというような顔が不安を抱えてしまったように見えなくもない。

 

「夢の狭間って?」

 

健一郎は答える。

 

「寝るときって意識ないでしょ。意識があるところのぎりぎりの体験をしたいんだ!」

 

そう答えた健一郎に母はばっさり

 

「そんなことしてどうするの?」

 

「でも、他に夏休みの自由研究の宿題を思いつかなかったんだ。」

 

母は、健一郎の顔をじっと見てただ一言。

「そう。」

とだけ健一郎に返した。

 

それから健一郎の睡魔との戦いが始まった。

 

「起きてるぞ。起きてるぞ。」

 

そうやって気合を入れつつも、いつの間にか寝てしまう彼。

気がつけば、部屋の電気は消され、り夜は朝へと姿を変えている。

用意しておいた目覚ましもきちんと解除されている。

 

「もう!お母さん。何でこんなことするのさ!」

 

こんなことするのは母しかいない。

健一郎は自分が寝ていた事も忘れ、研究を邪魔された事に腹を立てた。

 

「おかげで寝ちゃったじゃないか!」

 

すると母は、

 

「もう!あなた体壊すわよ。こんな事やめて夏休みの工作でも買ってきましょう?」

 

心配する母をよそに健一郎の研究魂は動かなかった。

 

「今日は邪魔しないでね!」

 

顔を赤らめかなりご立腹だ。

 

「本当に、それでいいの?寝ている間を体験したい・・・って」

 

「いいんだ!僕の決意は固い!」

 

いくら言っても無茶をやめない健一郎に母はひとつだけ条件を出した。

 

「目覚ましのセットはやめなさい。」

 

 

その日の夜は、健一郎は夜遅くまで起きている事ができた。 

眠いんだけど、目が閉じない。

ぼんやりと、天井を眺め、眠りの瞬間を待っていた。

 

「頭がくらくらする。なんだか目がかすむぞ。」

 

すると、どういうわけだろうか健一郎の周りは闇で覆われ始めた。

体の置くまで闇が覆って来る。

 

耳も聞こえない。

 

声も出ない。

 

体を動かしていても見えない。

 

ここにあるはずの手が闇で隠れて見えない。

高まる不安。

ひとり闇へと放り込まれる。

 

「もしかして、今寝ているの?」

 

それは、眠りへの入り口だと健一郎は確信した。

 

「眠るってこんなに怖いものなの?闇が闇が周りを・・・。もしかしたら、寝たら死ぬかもしれないぞ」

 

起きて起きていなきゃ。健一郎は心の声で大きく叫んだ。

 

 

『ブチン』

 

 

何か大きな音が頭の中で聞こえた。

健一郎が目を開けると、そこは彼のベットの上。

 

「夢?」

 

健一郎がほっとした時、左手が何かにぶつかった。

 

「何これ?太いコード?」

手を伸ばすとそれは自分の頭にまで繋がっている。

 

「え?」

 

扉が開いた。

 

「お母さん。これどう言うこと?」

 

「とうとう見てしまったのね。よく見て御覧なさい。」

 

そういうと鏡を見せた。

彼の頭には巨大なコンセントが突き刺さっていた。

 

「今、充電中よ。」