あるところにどじな神様がいました。
大切な後光を落としシャクを落とした上、
着物まで虫に食われてしまったのです。
困った神様は
とりあえずまず新しい後光を探そうと
人間の世界に降り立ちました。
「くれそうな人のところに行くわぁ。」
そして、ついに落としたものの代わりになりそうなものを
持っている人間に会えたのです。
それは町で杖を売っている商人の息子でした。
息子はとても性格のいい男でしたが最近とても悩んでいました。
顔のしゃくれも悩みだったのですが、一番の悩みは
父が、とても有名な商人でどこに行こうとも「あぁ、あの商人の。」と言われることだったのです。
「神様、どう神様、周りの人が私の名前を覚えてもらうにはどうすればいいでしょうか?」
そんなある晩、神様が息子の枕元に現れたのです。
男はびっくり仰天です。
何せ、枕元に素っ裸のお爺さんがいるのですから。
「あの、ど、どちらさまでしょうか?」
「あんなぁ、わし、神様やねん。」
と言います。しかし男はどうも信じられませんでした。
「後光落としてしもてん。あんさん七光やんか?一色でいいから分けてくれへん?」
と言うのです。
男は言いました。
「こんな七光りなんていりません。持って行けるものならすべて持って行ってください。」
「ほんまに?わし、うれしいわぁ。」
そう言うと、男の七光を持って姿を消してしまいました。
「見てみ、わし輝やいとるで。」
男は唖然としていましたが夢だろうと気にしなかったのです。
後日、男の様子が変わりました。
だれも、偉大な商人の息子と言わなくなったのです。
それどころか、息子がしていた商売が大成功し、父の名前が薄くなったのです。
ある日、それをよく思わない意地悪な男が、この息子に聞いたのです。
「おい、しゃく屋。お前なんで、こんなに商売がうまくなったんだ?」
すると、男はあの晩の神様のことを話しました。
「何い?そんな光をもって行く神様がいるのか?じゃあ、わしの家にも来るはずじゃ!」
男の風貌は髪の毛がべっとりしていて黒く光っていたのです。
「神様、神様、どうかおいらの黒光りを。」
すると、その晩。彼の枕元に何かが現れ、こう言いました。
「あんなぁ、わし、神様みたいに光りたいんや。だからなお前の黒光りもらってくわ。」
そして男の黒光りを持ち去ったのです。
男は喜びました。すっかり黒光りは消えていたのです。
「どうじゃ、わしの黒光りが消えたぞ!」
そう町の人に自慢しましたが、町の人はよく思いませんでした。
「あんあだな、ゴキブリに黒光りあげた奴は。」
「え?」
町では黒光りする気持ち悪いゴキブリが繁栄してしまったのです。
「あんたさえ我慢してればよかったのに。」
男は街の人に非難されてしまいました。
さて、商売に成功した商人の息子はと言うと、神様に感謝しっぱなしです。
ある晩。
また神様があわられたのです。
その風貌は背中が輝くだけでやっぱり素っ裸でした。
「あんなぁ、わしのシャク、見つからんのよ。」
すると、男は言いました。
「先日はありがとうございました。では私が。とても良いシャクを準備いたします。」
と言うと。神様は言ったのです。
「ホンマにぃ?ありがとう。じゃぁ、さっそくもろてくわ。」
男は、どのシャクをもって行くのか?と尋ねると神様は男を指差したのです。
「あんなぁ、わし、ドジやんか?だからな、落さんシャクが欲しいんよ。あんさん顔、しゃくれとるやろ?少しでいいからもろてくわ。」
と言うと、神様は男のしゃくれを少しだけもらって行ってしまいました。
次の日の朝、男が目覚めると、
今までに見たことのない様ないい顔をした男の姿があったのです。
そこ顔のおかげか。
縁があったのか、素敵なお嫁さんをもらい男は幸せに暮らしました。
それをよく思わないのが意地悪な男。
その話を聞くと大声で叫びました。
「わしも。シャクあげるわ~」
と、叫んでいると、とても怖いお兄さんにぶつかったのです。
「お前、そんなに酌注ぎたいなら恋や、おごられたるわ。」
こうして男は無一文になりました。
さて、神様によくしてもらったしゃくれがなおった男。
ある日、とうとう子どもが生まれることになったのです。
男は子どもの着物を準備すると同時に、ある着物を準備していました。
お嫁さんが「これは何?」と聞くと、男は恩人に差し上げるげるものさと言いました。
ある晩。七光りにしゃくれた素っ裸の神様が現れました。
「あんなぁ、わし、そろそろ着る物が欲しいねんわ。」
「はい、ぜひ、こちらに用意したお召物をお持ちください。」
「ほんまに?ありがとう。」
そう言って男のもとを去って行ったのです。
神様の世界への帰り道。
神様は、ある男に会ったのです。
ぼろぼろの着物をきたとても意地悪な男です。
「か、神様、わ、私のなけなしのフクを差し上げましから、どうかわたしを幸せにしてください!」
と。
すると神様は言いました。
「ホンマにぃ?わしに、フクくれるん?ありがとう。」
そう言うと、男のなけなしの福をもってすんなり帰ってしまったのです。
「神様、ひどいではないですか。私の福を~~~」
それを見ていた、商人の息子はいいました。
「おぉ、あなたのすべてを投げ打ってでも神様を助けようとする姿に感動しました。どうか、私の元で働いてくれませんか?」
と。
こうして、みんな幸せになりましたとさ。
おしまい。
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*物語はフィクションです。*