今回の「男のコンサート」、何が凄いって
「スタインウェイとベヒシュタインとペドロフを揃えたので、好きなピアノを選んでください」
という、にわかには信じがたい一言から始まったこと。
スタインウェイ、ベヒシュタイン、ペドロフ。
いずれもアヤメかカキツバタ。
……とはいえ、リハーサル時間は一人わずか5分。
もはやリハーサルというより、ピアノ選定会です。
YAMAHAの発表会ならYAMAHA、KAWAIならシゲルさんがお決まり。
こんな贅沢、正直慣れていません。
気分はすっかりアゲアゲですが、どれもかなり個性的なピアノたち。
参加者の皆さん、自分の持ち曲に合わせてピアノを選び、
中には曲ごとにピアノをチェンジするという、まるで何様待遇。
会場がコンパクトなのでフルコンではありませんが、
スタインウェイはB型、
ベヒシュタインは165cm、
ペドロフは159cm。
それでも、豊かな鳴りと個性は健在でした。
柔らかく丸い、チェコの響き ― ペドロフ
チェコの老舗ピアノメーカー、ペドロフ。
今や数少ない「ペドロフさん本人」が、まだ現役で関わっているピアノです。
柔らかく、丸みのある響きがとても魅力的。
内部には黒檀が使われているそうで、
ペダルと本体を繋ぐ金属棒が鋭角なのも特徴的です。
金属板の穴が四角く、
香炉なのか灰皿なのか分からないようなプレートがはめ込まれているのも面白いところ。
こういう細部を見るのも、ピアノ好きの楽しみですね。
弱音の美学 ― ベヒシュタイン
そして、私が愛してやまないベヒシュタイン。
今回はソステヌートペダルなしのタイプでしたが、
そもそも使ったことがないので問題なし。
内部には白ブナが使われているそうです。
相変わらず弱音がとにかく美しい。
例えるなら、コロラチューラ・ソプラノのようなピアノ。
天板を支える支柱も独特で、
多くのピアノが段階調整式なのに対し、
ベヒシュタインは細くて杖のような支柱が一本だけ。
潔いほどシンプルです。
結局、王者を選ぶ ― スタインウェイ
ベヒシュタインか、スタインウェイか。
散々悩みましたが、今回弾くのはショパンの「大洋」
(※太陽じゃありません!)。
ショパンがどこの海をイメージしたのかは分かりませんが、
私の中では
「ザッブーン! バッシャーン!」
と、日本海の荒波のような激しい曲。
となると、やはりパワフルなスタインウェイ。
なんだかんだ言って、ピアノの王者です。
弾きやすさも抜群。
内部には楓が使われているそうですが、
それ以上に、金属フレームが他社よりも頑丈そうに見えるのが印象的。
ちなみにピアニストの友人曰く、
「その曲なら、どれでもあまり変わらないかな。どれも良い楽器なら。」
……チーン。
現実は厳しい
さて、肝心の演奏ですが――
録画を見返してみると、
あまりのひどさに正視できないレベル。
実力に不相応なピアノ、演奏順、
そして何より、弾き込めていない曲を人前で披露するのはやっぱりダメですね。
大トリのプレッシャーに見事に敗北。
完全に不完全燃焼。
満足いく演奏なんて、そもそもできたためしがありませんが、
今回はあまりのヘタッピぶりに、
終了早々、そそくさと帰路についたのでした。
……どこかで、必ずリベンジです。













