暗闇なら、人目は気にならない?

暗闇フィットネスの体験レッスンに行ってきました。といっても、スタジオが真っ暗というわけではありません。でも、近眼で、しかも夜目が利かない私には、かなり見えない。トレーナーは優しくて、「無理しないでくださいね」と声をかけてくれるので間違っても大丈夫。

でも、私が気になったのは、自分のフォームがまったく見えないこと。これって、鏡なしでヒゲを剃っているようなものじゃないですか?


鏡と向き合うのが、最初の一歩

よく「人に見られないと上達しない」と言いますが、体型や運動のように「見た目」が大切なものは、なおさらだと思います。


ダイエットしたいなら、筋肉をつけたいなら、まず鏡と向き合う。自分がフォームから目をそらさない。そらしたいけど。ピアノだって「もっと自分の音を聴いて!」と言われるのと同じ。自分の状態を確認しないことには、どこを直せばいいのか分かりません。

 

それに、明るいスタジオなら、周りのみんなの動きを見ながら一緒にテンションが上がっていくのも楽しい。「あの人上手いな、真似しよう」なんていうのも、グループレッスンの楽しさです。

私には、暗闇よりダメ出し

もちろん、「人に見られず、密かに隠れてやりたい」という人には、暗闇フィットネスはすごくいいと思います。でも、私にはちょっと向いていなかった。明るいスタジオで、鏡を見ながら、ツッコミを入れられながらレッスンするほうが好き。

「そこ違う!」
「諦めるの早すぎ!」
「全然できてない!」

……こういうの、むしろ好きなんですよね。物心ついたころから、ピアノでダメ出しされ続けてきたからでしょうか。

ダメ出しに慣れすぎて、今では……いじられるのが快感になっているのかもしれません。

 

楽器選びの終盤で、必ず出てくる問題

楽器選びも、いよいよ終盤。ここで必ず出てくるのが、「新品がいいのか、中古でもいいのか」という問題です。

そして、だいたいこうなります。
新品 → 安心だけど高い
中古 → 安いけど不安
はい、無限ループ。

「中古のほうが安いし……でも、何かあったら怖い」
「新品なら安心だけど、そこまで予算をかける必要ある?」

このあたりで、また悩み始めます。なので今回は、新品と中古、それぞれの特徴をちゃんと整理してみます。

まず結論。中古は「分かる人と選ぶ」のが基本

シンプルに言います。分かる人と一緒に選べるなら、中古は大いにアリ。逆に、何も分からない状態で、一人で中古を選ぶのはおすすめしません。これが基本です。

ただし、これは「新品なら絶対安心、中古なら危険」という意味ではありません。特にピアノの場合、話はもう少し複雑です。なぜならピアノは、「新しいものほど良い」とは限らないからです。


中古=危ない、は半分ウソ中古と聞くと、

「壊れてそう」
「古そう」
「ハズレを引きそう」

そんなイメージがありますよね。でも実際には、ちゃんと選べばかなり良い個体に出会えることがあります。新品では、もう手に入らないようなモデル。今では作られていない仕様。その年代だからこその素材や製造技術。長い年月を経たからこそ出る音。そういう「今はもう作れない楽器」に出会えるのも、中古の大きな魅力です。中古には、中古にしかないロマンがあります。

ピアノは「新品=一番いい」とは限りません

特にピアノは、ここを覚えておいたほうがいいと思います。新しい機種だから、一番いい。とは限りません。ピアノは年代によって使われている素材が違ったり、製造時期によって音の傾向が違ったりします。「この年代のピアノが好き」という人がいるのも、決して珍しいことではありません。そして、新品のピアノには新品ならではの良さがある一方で、まだ楽器として落ち着いていない部分もあります。

一方、きちんとメンテナンスされてきた中古ピアノは、長い年月を経ることで音がいい具合に馴染み、いわば「熟成した状態」になっていることもあります。

だからピアノ選びでは、

新品だから上。
中古だから下。
という考え方は、あまり当てはまりません。

「中古だけど、むしろこっちが良いんですよ」

実際、ベヒシュタインのようなピアノを扱う専門店に行くと「こちらは中古なんですが、むしろこっちのほうが良いんですよ」と言われることがあります。これ、最初はちょっと意外ですよね。「え? 新品のほうが新しくて良いんじゃないの?」と思ってしまうでしょ。

でも、何台もピアノを弾き比べていくと、だんだん分かってきます。「新しいから好き」ではなく、「このピアノの音が好き」という世界なんです。そして、その「好きな音」が新品にあるとは限りません。むしろ、何年も大切に弾かれて、きちんと調整されてきた中古ピアノのほうが、自分の好みにぴったり来ることだってあります。ちなみにヴァイオリンなんてほぼ中古です。

ただし、「中古なら何でもいい」は絶対に違います

ここは強調しておきたいところです。中古ピアノには、本当に状態の悪いものもあります。「中古だから音が熟成している」というのは、きちんと手入れされてきた中古ピアノの話です。長年放置されていたり、調律や整備が十分に行われていなかったり、消耗した部品をそのまま使い続けていたりするピアノは、当然ですが別の話です。


古いから味があるのではありません。良い状態で年月を重ねてきたからこそ、味が出る。ここは大きな違いです。私自身、普段利用しているピアノスタジオで、「どうしてこんな状態のピアノばかり買ってくるんだろう……」と、残念に思うことがあります。

もちろん、スタジオのピアノはコンサート用の最高級品を揃える必要はありません。たくさんの人が使う場所ですから、多少の傷や使用感があるのも当然です。でも、そういう問題とは別に、「このピアノ、本当に楽器として大切にされているのかな」と感じてしまう状態のものもあります。

弾いていても、本来の音やタッチが分からない。調整されていないから、弾き手が余計な力を使わなければならない。本来ならもっと鳴るはずなのに、楽器の状態のせいで音楽表現まで制限されてしまう。そういうピアノに当たると、私はかなりがっかりします。楽器は、ただ「音が出ればいい」というものではないと思うからです。

特にピアノは、良い楽器を弾くことで初めて分かることがあります。
音の響き。
鍵盤のタッチ。
音色の変化。
ペダルの感覚。
同じ曲を弾いても、楽器が違うだけで、自分の演奏そのものが変わってくる。だからこそ、中古ピアノを選ぶなら、「中古だから安い」ではなく、「中古だけど、ちゃんと良い状態に保たれている」ことが大切なんです。

ただし、中古楽器は、素人には状態をほぼ見抜けません。外見だけなら、ある程度は分かります。でも、
・内部の状態
・部品の消耗具合
・過去にどんな扱いをされてきたか
・どんな環境で保管されていたか
・適切なメンテナンスを受けてきたか
・これからどのくらい使えるのか
こういうところになると、話が変わります。

見た目はピカピカなのに、中身はかなり消耗している。逆に、外見は多少くたびれているけれど、きちんと整備されていて状態が良い。こういうこともあります。だから中古楽器は、「見た目がきれいだから大丈夫」ではないんです。「古い=価値がある」でもありません。中身はまったく違います。価値のあるビンテージと、単に古くなっただけの楽器。この違いを見抜くには、やはり知識や経験が必要です。

新品の最大のメリットは「安心」

一方、新品には新品の良さがあります。基本的には、トラブルが少ない。これが大きい。

・状態が安定している
・購入時点でコンディションが明確
・メーカー保証がある
・これまでの使用履歴を気にしなくていい

そして、もうひとつ地味に大きいのが、悩む要素が少ないこと。

中古の場合、
「この個体は大丈夫?」
「前の持ち主はどう使っていた?」
「今後、修理が必要になる?」
「この価格は本当に安い?」
と、考えることが一気に増えます。

新品なら、少なくとも「前の持ち主がどう使っていたか」という心配はありません。初めて楽器を買う人にとって、この安心感はかなり大きいと思います。

 

もちろん、新品にもデメリットはあります

新品ならすべて完璧、というわけでもありません。当然ですが、
・楽器によっては音がまだ若い
・まだ楽器として落ち着いていない場合がある
・中古ならではの個性的なモデルには出会えない
といったデメリットがあります。


特にピアノの場合は、同じメーカー、同じモデルでも個体差があります。新品を買えば自動的に「最高の一台」が手に入るわけではありません。新品でも、必ず試奏したほうがいい。中古なら、なおさら試奏したほうがいい。

中古が向いている人

では、どんな人なら中古を選んでもいいのでしょうか。
・楽器の状態を見られる人と一緒に選べる
・信頼できる販売店や専門家に相談できる
・多少のリスクを受け入れられる
・個性的な楽器に惹かれる
・「この年代、このモデルが欲しい」という明確な理由がある
・新品にはない音や弾き心地を探している
こういう人なら、中古はかなり面白い選択肢です。むしろ、探す楽しさは新品以上かもしれません。

ピアノの場合は、「中古だから候補から外す」というのは、ちょっともったいない。良い中古ピアノに出会える可能性は、十分にあります。

新品が向いている人

一方で、
・できるだけ失敗したくない
・中古楽器の状態を判断する自信がない
・購入後のトラブルを減らしたい
・保証があるほうが安心
・楽器選びで余計な心配をしたくない
こういう人は、新品を選ぶのももちろんアリです。

特に初めて楽器を買う人なら、無理に中古を選ぶ必要はありません。ただし、「初心者だから絶対に新品」でもありません。初心者でも、信頼できる先生や専門家、楽器に詳しい人と一緒に選べるなら、中古は十分候補になります。

一番危ないのは「安いから」という理由だけで中古を選ぶこと

中古楽器でありがちな失敗が、

「安いから」だけで選ぶこと。

そして「一人で中古を見に行くこと」。

さらに、「見た感じ、大丈夫そう」で決めること。

この3つです。

購入価格は安かった。でも、その後に修理や調整が必要になった。気づいたら、「中古で安く買ったはずなのに、修理費を足したら新品を買うより高くなっていた」なんてこともあります。これは、本当に笑えません。

中古は「安い楽器」ではなく「選ぶ知識が必要な楽器」

 

結局のところ、問題は、「良い中古」と「ただ古い中古」を見分けるのが難しいということです。だからこそ、分かる人と選ぶなら、中古もアリ。ちょっと骨董品の世界観に近いかもしれません。

 

古ければいいわけではない。新しければいいわけでもない。その楽器が、どんな状態で、どんな音をしていて、これからどれくらい付き合っていけるのか。そして何より、自分がその楽器を好きになれるのか。

 

新品か中古かという二択で考えるより、「自分にとって良い楽器を探す」という視点で選んだほうが、きっと後悔は少ないと思います。

 

新品には、新品の安心があります。中古には、中古にしかない魅力があります。ただし、中古を選ぶなら、「安いから」ではなく、「良いから」選んでほしい。そして、その「良い」を自分一人で判断できないなら、分かる人に一緒に見てもらう。これが、楽器選びで中古を選択肢に入れるときの、いちばん大切なポイントだと思います。

 

声楽はビギナーです。でも、先生選びまで「初心者だから何もわからない」というわけではありません。

これまでプロの歌をたくさん聴いてきたので、先生の歌を聴けば、
「この声、良き!」
「あ、この発声はちょっと違うな」
くらいはわかるつもりです。

だから、若くてもキャリアが浅くても、「この先生の声!」と思える出会いは大切だと思っています。ビギナーでも、先生は選びたい!! 私にとって「この人みたいに演奏したい」が、先生選びの決め手です。

「この人みたいになりたい」が一番強い

これは声楽に限りません。ピアノなら、先生の演奏を聴いて、「この音、好き。この先生みたいに弾けるようになりたい」と思えるか。フィットネスのインストラクターなら、体型だけでなく、「こんなふうに身体を動かせるようになりたい」と思えるか。

結局、資格や経歴だけではなく、自分が目指したいものを先生自身が見せてくれるかなんですよね。

だから私は「同じ声域」にこだわる

声楽の場合、私がさらにこだわったのが「同じ声域」。バリトンかバス。自分と近い音域の先生なら、声区の変化や響き方も、実際の声を聴きながら学べます。

「この声、いいな。こうなりたい!」そう思える先生に出会えたら、レッスンはきっと楽しくなる。この音域が歌いにくい、とか、こういう声はだせないとかも「わかります」と共感してもらえるし。「この先生に習いたい!」と思えること。ビギナーだからこそ、そこは妥協したくないと思っています。

一人で選ぶと、だいたい迷子になります

楽器選びが進んでくると、次に気になるのが「じゃあ、誰と選びに行けばいいの?」という問題です。もちろん、一人で楽器店に行って、自分で試弾して決めるのも悪くありません。ただ、楽器選びに慣れていない人が一人で選ぶと、かなりの確率でこうなります。

・ネットで調べまくる
・レビューを読み漁る
・ランキングを信じる
・YouTubeを見まくる

そして最終的に「……よく分からなくなってきた」

はい。迷子の完成です。

楽器選びには「通訳」が必要

楽器って、実際に触ってみると意外と難しいんです。


音の違い。
タッチの違い。
鍵盤の重さ。
音の立ち上がり。
響き方。
そして、同じメーカー、同じ機種でも違う「個体差」。

正直、初めて楽器を選ぶ人には、何がどう違うのか分からなくても当然です。

そこで必要になるのが「分かる人の通訳」です。

「この音が好き」
「こっちは弾きやすい」
という自分の感覚を大切にしながら、
「その違いは何なのか」
「自分にとって何が重要なのか」
を整理してくれる人がいると、楽器選びは一気に楽になります。

誰と行けばいい? それぞれ役割が違います

では、具体的に誰と行けばいいのでしょうか。大きく分けると、この3タイプです。

①先生
まず、一番バランスがいいのが先生です。
先生なら、
・演奏する側の目線で見てくれる
・今の自分のレベルとの相性を考えてくれる
・これからの上達を見据えて選んでくれる
というメリットがあります。「今は弾きやすいけれど、上達したら物足りなくなるかも」「このタッチは今のあなたには少し重いかもしれない」といった、自分では気づきにくい視点をもらえるのは大きいです。特に初めて本格的な楽器を買うなら、先生に同行してもらうのはかなり心強い。個人的には、一番おすすめの同行者です(ちゃんとお礼はしましょうね)。

②(ピアノを買い替えようと思っている場合は)調律師
「ピアノ購入される際はぜひ声をかけてください」と言われたことのある方も多いのではないでしょうか。中古のピアノなどを選ぶ場合、強い味方になるのが調律師です。調律師は、

・アナタ好みの音やタッチのピアノを見極める
・楽器の状態を見る
・個体差を見極める
・修理やメンテナンスの必要性を判断する
・この先どのくらい使えそうか考える

といったことができます。見た目がきれいでも、中身はどうなのか。今は問題なくても、これから修理費がかかりそうなのか。そういう部分は、演奏者には分からないことも多いです。特に中古楽器の場合は「弾いてみて好きか」だけではなく、「楽器としてどういう状態なのか」も重要。中古選びでは、調律師の存在はかなり大きいと思います。

③店員さん

そして、もちろん楽器店の店員さん。店員さんは、
・在庫に詳しい
・価格帯を把握している
・メーカーごとの特徴を知っている
・試弾の段取りがスムーズ
・現実的な選択肢を提案してくれる
という強みがあります。何より、毎日たくさんの楽器を見ているので、情報量が豊富です。「この予算なら、このあたりが現実的です」「今お店にある中なら、この3台を弾き比べてみてください」といった、具体的な提案をしてくれるのも店員さんならでは。

ただし、ここは少しだけ注意。店員さんはあくまで販売のプロでもあります。たまに「このピアノは、とっても表現力が豊かで……」と説明されることがあります。でも、こちらが普段からいろいろなピアノを弾いていると「いえ、私、普段はこっちのピアノを弾いているんですが……。それと比べても、正直そこまで表現力が豊かとは思わないですよ」となることも。

結局、誰が正解なの?

これ、答えはひとつではありません。むしろ、組み合わせが最強です。
理想を言えば、先生+店員さん
そして中古なら、先生+店員さん+調律師
まで揃えば、かなり安心です。

ただ、そんなに都合よく全員に同行してもらえる人ばかりではありません。だから現実的には「信頼できる人を一人連れて行く」
でも十分です。大切なのは「わからない人が全部判断しようとしない」こと。分からないことは、分かる人に聞けばいいんです。

ただし、最後に決めるのは自分

ここは、ものすごく大事です。どれだけ先生にすすめられても。どれだけ店員さんが絶賛しても。どれだけ調律師が「状態がいい」と言っても。最終的に、その楽器を弾くのは自分です。

だから「なんか好き」という感覚を無視しないでください。「理由はうまく説明できないけど、この音が好き」「こっちの鍵盤のほうが、なんとなく気持ちいい」「このピアノを弾いていると楽しい」こういう感覚、実はかなり大事です。楽器は、スペックだけで弾くものではありませんから。

こんな選び方は危険

逆に、よくある失敗もあります。たとえば、楽器を弾かないスポンサー(=家族)とだけ行くと「こっちのほうが安いじゃん」
「家で使うだけなら、これで十分でしょ」となりがちです。もちろん予算は大切。でも、毎日弾く人の意見が置き去りになると、あとから後悔することがあります。服を買いに行って、安さだけでは選ばないのと一緒。

店員さんに押されて、その場の勢いで決める。これも危険。不動産屋と同じです。高い買い物ほど「今日は決めなくてもいい」くらいの気持ちで大丈夫です。慌てない、慌てない。

自分の好みを後回しにする。「キラキラした音が好き」「柔らかい音が好き」「重厚な音が好き」「鍵盤は軽めが好き」人によって、好みは違います。他人の「良い楽器」と、自分の「好きな楽器」は、必ずしも一致しません。

そして「これにしなさいよ」と、弾けない親に決められる。これも、よくある話です。もちろん、親が費用を負担してくれるなら、意見を聞くことは大切です。仕事用パソコンを購入するのに、ネットサーフィンしかしてない人の意見を採用しますか? 実際に毎日弾くのは誰なのか。そこは忘れないでください。

さらに怖いのが素人が素人に相談すること。「友達がこのメーカーがいいって言ってた」「ネットでこの機種が一番人気だった」「知り合いが、これを買えば間違いないって」……その情報、本当にあなたに合っていますか?

クラシックを弾きたいのに、普段POPSしか弾かない人に相談する。電子ピアノを選ぶのに、アコースティックピアノしか弾かない人の意見だけを信じる。これも、ちょっと違います。ジャンルが違えば、楽器に求めるものも違います。

だからこそ「誰に相談するか」は、とても重要なんです。

楽器は「買った瞬間」より、その後が大事

そして、これが一番怖いところです。いろいろな人の意見を聞いて「これが一番おすすめらしい」「みんなが良いと言っている」
「一番人気だから間違いない」という理由だけで選んだ楽器。

もちろん、それで満足できることもあります。でも、自分の好みを置き去りにして選んでしまうと、なんとなく愛着がわかない。
これ、じわじわ効いてきます。

毎日見る。
毎日触る。
何年も使う。
場合によっては、何十年も付き合う。

だから楽器選びは、「一番良いものを選ぶ」だけではなく、「自分が好きになれるものを選ぶ」ことも大切なんです。先生には演奏の視点を。調律師には楽器そのものの視点を。店員さんには市場や在庫、価格の視点を。そして最後は、自分の耳と手と感覚で決める。このくらいが、ちょうどいいのではないでしょうか。

楽器選びは、誰か一人の正解を買うことではありません。自分の「好き」を、プロの知識で補強していく。そのくらいの気持ちで選ぶと、買った後もきっと、その楽器を大切にできると思います。



楽器選びが進むと、次は「メーカー」で悩み始める

 

楽器選びが進んでくると、だいたいここに行き着きます。

「やっぱり○○がいいらしい」
「プロは△△を使っている」
「有名メーカーが安心でしょ?」

はい、出ました。ブランドで悩み始めるフェーズです。分かります。急に「ちょっとピアノに詳しい人っぽい悩み」になってきます。でも、ピアノを選ぶなら、ここは意外と大事なポイントです。なぜなら、メーカーによって、ピアノの「性格」がかなり違うからです。

メーカーが違うと、何が変わるの?

シンプルに言うと、音の“性格”が変わります。これはスペックの話ではありません。キャラクターの話です。ざっくりイメージすると、
・明るくて華やか
・柔らかくて丸い
・重厚で深い
・クリアで輪郭がくっきり
などなど。

同じ「ド」の音を弾いても、メーカーが違えば、まったく違う表情になります。もちろん、ピアノは個体差もありますし、調整状態によっても変わります。それでも、メーカーごとに「こういう音が好き」という方向性は、確かにあります。

最初は「そんなに違うもの?」と思うかもしれません。でも、いろいろなピアノを弾き比べていると「あ、これは好き」「こっちはちょっと違う」という感覚が、少しずつ分かってきます。そして一度分かるようになると……これが沼です。もう、抜け出せません。

高級メーカー=正解、ではありません

ここは、けっこう大事です。「高級だから安心」「プロが使っているから間違いない」もちろん、それも一理あります。

世界的に評価されているメーカーには、それだけの理由があります。でも、「それが自分に合うか」は、また別の話です。いきなりハイブランドのドレスを着ても、ドレスに負けてる人っているでしょ。でも、子供であってもハイブランドが似合ってしまう子もいる。。。

プロの好みが、そのまま自分の好みとは限りません。有名なピアノだから弾きやすいとも限りません。「なんだか弾きにくい……」「この音、あまり好きじゃない……」ということだって、普通にあります。

例えばベヒシュタイン。個人的には、とても弾きやすいピアノだと思います。でも、その弾きやすさゆえに、自分の演奏の粗さや弱点が、思った以上に音に出てしまうこともあります。「あ、今の雑な弾き方、全部聞こえてますね」となる。これはこれで、なかなか怖いピアノです。

一方、シゲルカワイは、中低音の色っぽさに惹かれることがあります。ただ、個性がしっかりしているので、その魅力に慣れてしまうと、別のメーカーのピアノを弾いたときに「あれ? いつもの感じと違う」と戸惑うこともあります。だからこそ、ブランドだけで決めるのは難しいのです。

同じメーカーでも、1台1台違います

さらに、ややこしい話があります。同じメーカーでも1台1台、普通に違います。
・個体差
・製造された時期
・設置されている場所
・調整状態
これだけでも、弾いたときの印象は変わります。ですから「私はこのメーカーが好き!」と思っていても、そのメーカーならどのピアノでも同じ、というわけではありません。

同じ型番でも「こっちは好き」「これはちょっと違う」ということが、普通にあります。ピアノは、工業製品でありながら、どこか生き物のようなところがある。そこもまた、面白いところです。

ブランド信仰だけで選ばない

ピアノを選ぶとき「とりあえず有名なメーカー」「みんなが良いと言っているメーカー」「名前を聞いたことがあるメーカー」
という選び方をするのも、もちろん悪くありません。高い買い物ですから、ブランドの安心感は大切です。ただ、それだけで選んでしまうと「なんとなく満足している。でも、なんとなくしっくりこない」ということが起こります。せっかくピアノを買うのなら、これはもったいない。

だって、ピアノは自分の指先から出した音を、楽器全体で受け止めて、返してくれるものです。だからこそ「このピアノを弾いていると気持ちいい」という感覚を、私は大切にしてほしいと思います。

結局、どう選べばいい?

答えは、かなりシンプルです。実際に触って、自分が好きかどうか。これが一番強いです。
・弾きやすい
・音が気持ちいい
・鍵盤を触っているだけで楽しい
・もっと弾きたくなる
この感覚は、意外と裏切りません。もちろん、専門家に相談するのも大切です。でも、最後にそのピアノを弾くのは自分です。毎日触るのも自分です。だったら「有名だから」ではなく「私はこのピアノが好き」で選んでもいいと思うのです。

ピアノは、できるだけ弾き比べてください

そして、ピアノは決して安い買い物ではありません。だからこそ、できるだけ時間をかけて選んでほしいと思います。例えば、同じYAMAHAでも、同じ型番を3台くらい弾き比べてみる。「同じメーカー、同じ型番なのに、こんなに違うの?」という発見があるかもしれません。

さらに、銀座でYAMAHAを弾いて、日比谷でベヒシュタインを弾いて、青山でスタインウェイを弾いて、表参道でカワイを弾く。そんな「ピアノ弾き歩き」をしてみるのも楽しいと思います。メーカーごとのショールームやサロンを利用して、ある程度まとまった時間、じっくり弾いてみるのもおすすめです。1台を数分弾いて「はい、こっち!」ではなく、何度も弾いてみる。翌日にまた弾いてみる。時間を置いて、別のピアノを弾いてみる。そうすると「やっぱり、あのピアノが好きだった」と気づくことがあります。

最後に残るのは「ブランド名」ではなく「この音が好き」

YAMAHAだから。スタインウェイだから。ベヒシュタインだから。カワイだから。もちろん、メーカーの個性を知ることは、ピアノ選びの大きな手がかりになります。でも、最後に決めるのはブランド名ではありません。「このピアノの音が好き」そして「このピアノを、もっと弾きたい」その気持ちだと思います。

 

ピアノ選びは、スペック表を見て決めるものではありません。音を聴いて、鍵盤に触れて、自分の手で弾いてみる。そして「この音、好きだな」と思える1台を探す。それは、ちょっとした恋愛に似ているのかもしれません。

有名だから好きになるとは限らない。評判がいいから、自分にも合うとは限らない。実際に会ってみたら「あ、この人好きだ」と思うことがある。ピアノも、そんなところがあります。だから、ブランドで悩み始めたら、まずは弾きに行きましょう。ピアノは、カタログの中ではなく、目の前で鳴っているときが一番魅力的です。

グランド・アップライト・電子ピアノ、それぞれの「向いている人」を考えてみた

楽器選び、だいたいここで止まります。

「グランドピアノがいいのは分かる」
「でも置けない」
「電子ピアノでもいい気がする」
「でも、なんか不安……」

そして調べれば調べるほど、よく分からなくなる。しかも、「初心者だから電子ピアノ」「上級者だからグランドピアノ」というほど、単純な話でもありません。結局のところ、ピアノはレベルではなく、自分の目的と環境で選ぶものだと思います。

では、それぞれどんな人におすすめなのか。

私なりに考えてみます。

①グランドピアノ――おすすめ度は文句なし。でもクセも強い

グランドピアノの特徴を一言で言うなら、
「全部できる」
です。

・タッチのコントロール
・ペダルの反応
・音の幅
・表現力

どれを取っても、やはりトップです。
特にペダルの反応は、アップライトピアノとはかなり違います。

そして、グランドピアノのすごいところは、単純に「大きな音が出る」ことではありません。
小さな音から大きな音まで、幅広い音量をコントロールできる。
これが大きいのです。

「大きな音が得意な楽器」ではなく、
小さい音も、大きい音も、その間の微妙な音量も、弾く人がコントロールできる楽器
なんですね。

ただし。
・デカい
・高い
・音もデカい
という三重苦。

もちろん、グランドピアノは小さな音も出せます。でも、楽器そのものが大きいので、住宅事情や近隣への音の問題はどうしてもついて回ります。そして、地味に怖いのが、ちょっとしたミスも全部バレる。ということ。タッチの雑さも、音のつながりも、ペダルの踏み方も。良くも悪くも、弾いた人の技術がそのまま出ます。

そういう意味では「優しくない楽器No.1」かもしれません。でも、ちゃんと弾けたときの気持ちよさは格別です。もし住宅事情も予算も許すなら、私はやっぱりグランドピアノをおすすめします。「ちゃんとピアノを弾きたい」という人にとっては、一番満足度が高い楽器だと思います。

②アップライトピアノ――現実と理想の間

いわゆる縦型のピアノです。グランドピアノほどではないけれど、

・しっかりしたタッチ
・アコースティックならではの音
・ある程度の表現力
は確保できます。

そして何より、家に置ける現実的なサイズ。

「本当はグランドが欲しい。でも、そんなスペースはない」
「ちゃんとやりたいけど、グランドは無理」
という人にとって、アップライトピアノは王道の選択肢です。

アコースティックピアノの音を自宅で楽しみながら、グランドピアノほどのスペースも必要ない。「本物のピアノを弾きたい」という気持ちと、現実的な住宅事情の間を取るなら、非常にバランスの良い楽器です。ただし、グランドピアノと同じではありません。

グランドピアノは小さな音から大きな音まで、かなり幅広くコントロールできます。一方、アップライトピアノは構造上、グランドピアノほど自由自在に音量やニュアンスを操れるわけではありません。特に「小さな音をどこまで小さく、しかも美しく出せるか」という部分では、グランドピアノに軍配が上がります。

また、ペダルの反応や表現力にも違いがあります。細かなペダリングや、音の重なり、響きの変化まで追求していくと「やっぱりグランドピアノが欲しい」となる人もいるでしょう。とはいえ、アップライトピアノは決して「グランドの廉価版」ではありません。良いアップライトには、良いアップライトならではの魅力があります。「アコースティックピアノを弾きたい。でもグランドは置けない」という人には、私はかなりおすすめです。

③電子ピアノ――便利すぎて、逆に悩む

そして、現代の住宅事情を考えると、電子ピアノも非常に魅力的です。

メリットは分かりやすい。
・音量を調整できる
・ヘッドホンが使える
・夜でも練習できる
・調律が基本的に必要ない
・場所を取らない
・比較的安い

正直、現代の生活に一番フィットしているのは電子ピアノだと思います。マンションでも使いやすい。家族がテレビを見ていても練習できる。夜でもヘッドホンで弾ける。これは、アコースティックピアノにはない大きなメリットです。

ただし。やっぱり、アコースティックピアノとは別物です。タッチは違います。音の響き方も違います。鍵盤を押した瞬間に弦が振動して、楽器全体が響いて、部屋の空気まで音になる。あの「生の楽器を鳴らしている感覚」は、電子ピアノでは完全に同じにはなりません。もちろん、最近の電子ピアノは本当によくできています。昔の電子ピアノとは比べものにならないほど、音もタッチも進化しています。それでも、細かなニュアンスや音の立ち上がり、響きの変化まで追求していくと、やはりアコースティックピアノとの差はあります。

たとえるなら、ゴールドジムではなく、チョコザップで筋トレするような感覚。どちらも運動はできます。むしろ、続けやすさという意味ではチョコザップの方が優れているかもしれません。でも、本格的に筋肉を追い込もうとしたら、設備や環境の違いが出てくる。そんな感じでしょうか。

だから電子ピアノは「本格的なピアノを弾きたいけれど、住宅事情や生活環境が許さない」という人には、非常に良い選択肢です。

逆に「音やタッチ、表現力までこだわって弾きたい」という人には、物足りなくなる可能性があります。

「初心者だから電子でいい」は、半分正解で半分危険

ピアノ選びでよく聞くのが「初心者だから、最初は電子ピアノでいいですよね?」という話です。これは、半分正解で、半分はちょっと危険だと思っています。

たとえば、
・まずは続くか分からない
・気軽に始めたい
・夜しか練習できない
・集合住宅なので音が出せない
という人なら、電子ピアノがベストな選択でしょう。むしろ、練習できないアコースティックピアノを買うより、毎日弾ける電子ピアノの方がずっと良いかもしれません。ピアノは結局、弾かなければ上達しませんから。

一方で、
・ちゃんと上手くなりたい
・クラシックを本格的に弾きたい
・音の表現を大切にしたい
という人なら、初心者の段階からアコースティックピアノを選ぶのも十分ありです。

「初心者だから電子」「音が取れればそれでよい(じゃ、なぜ習うんだ?)」という理由だけで、最初から選択肢を狭める必要はないと思います。むしろ、本気で続けるつもりなら、最初から本物の楽器に触れておいた方が、タッチや音の出し方を覚えやすい面もあります。もちろん、電子ピアノから始めて、後からアコースティックピアノに買い替える人もたくさんいます。

中には、電子ピアノとアコースティックピアノを両方持っている人も珍しくありません。夜は電子ピアノでヘッドホン練習。昼間はアコースティックピアノで音を出して練習。これはこれで、かなり合理的です。つまり、ピアノは「初心者だから電子」「上級者だからグランド」というレベルだけで選ぶものではない。大事なのは「自分は何をしたいのか」です。

「安いものでいい」は、本当にそれでいい?

もちろん、何でも高級品を買えばいいという話ではありません。ただ「初心者だから、とりあえず一番安いもので」と決めてしまうのも、少し違う気がします。

たとえば結婚式の披露宴に参列するとき「安売りのスーツでいいじゃん」と言われたら、ちょっと違うなと思いませんか。別に高級ブランドである必要はありません。でも、せっかくの場なら、普段よりちょっと良いものを着る。それくらいの気持ちはあるでしょう。ピアノも同じです。「これから何年も弾きたい」と思っているなら、最初から自分が納得できる楽器を選ぶ。

逆に、
「まずは試してみたい」
「続くかどうか分からない」
という段階なら、無理をしない。

結局は、その人の目的次第です。

妥協ポイントは、ここで決める


楽器選びって、結局ここだと思います。
・環境――音を出せる? 置ける?
・予算――無理なく買える?
・目的――どこまでやりたい?
この3つのバランスです。

全部を完璧に満たすのは、なかなか難しい。だからこそ「自分はどこを妥協するのか」を最初に決めておくことが大切です。

たとえば「グランドは無理だけど、アップライトなら置ける」「アコースティックは無理だけど、電子なら毎日練習できる」「電子にする代わりに、できるだけタッチの良いモデルを選ぶ」など。何を優先して、何を諦めるのか。そこが決まれば、楽器選びはかなり楽になります。

よくある失敗パターンは「とりあえず」

個人的に一番怖いのが「とりあえず」です。
「初心者だから、とりあえず電子」「続くか分からないから、とりあえず安いもの」「家族がそう言うから、とりあえずこれ」

もちろん、それで満足できれば何の問題もありません。でも「本当はもっと良いピアノが欲しかった」という気持ちを抱えたまま弾き続けると、結局あとから買い替えることになります。そして、そのときには「最初から欲しいものを買っておけばよかった……」となることも。

特に、家族が購入費用を出してくれる場合は、いろいろ意見もあるでしょう。「そんな高いもの、初心者には必要ない」「電子で十分でしょ」と言われるかもしれません。

でも、実際に毎日弾くのは誰なのか。そのピアノで何年も練習するのは誰なのか。そこは、ちゃんと考えた方がいいと思います。

結局、ピアノ選びに正解はない

グランドピアノが最強なのは間違いありません。でも、誰もがグランドピアノを置けるわけではありません。アップライトは、アコースティックピアノの魅力を持ちながら、現実的な選択肢になりやすい。電子ピアノは、生活との相性が抜群です。

だから「一番いいピアノは何?」ではなく「自分にとって一番いいピアノは何?」と考えた方がいい。そして何より、買ったピアノを、ちゃんと弾くこと。これが一番大事です。

グランドでも、アップライトでも、電子でも。毎日弾いている人には、弾いていない人は勝てません。だからこそ、自分が「これなら弾きたくなる」と思える一台を選ぶ。それが、結局いちばんの正解なのだと。

「できれば安くて、でも良いやつがいいです」

 

うん、分かる。
めちゃくちゃ分かる。
私もずっとそれ言ってました。

 

楽器、ちょっと奮発しがち問題

楽器選びって、なぜか奮発したくなるんですよね。

・どうせなら良いやつ
・長く使えるやつ
・ちょっとカッコいいやつ

 

分かるんですけど、

その気持ち、だいたい“見栄”です。

(はい、自分に刺さってます)

 

でも、ピアノ屋であれこれ弾き比べると、
そりゃ、お値段が高い楽器の方がたいてい良いです。

上手に弾けちゃう気もするし。

楽器は「車」と同じ!?

近所のコンビニ行くのに、
いきなりスポーツカーいらないですよね。

 

楽器も同じで、

・今の自分が何をしたいのか
・どこまで使いこなせるのか

ここに合ってないと、ただのオーバースペック。

むしろ扱えなくてストレスになります。

高ければいい、は半分ウソ

これもよくある話。

「良い楽器=高い」

間違ってないんですが、

“良い=あなたに合ってる”とは限らない。

ここが落とし穴。

 

高い楽器って、ちゃんと弾ける人には最高なんです。
でも、そうじゃないと

「なんか難しい」
「弾きにくい」
「結局触らなくなる」

という悲しいルートへ。

(はい、通りました)

 

小型車で良いのに大型車買ったら、
狭い住宅地は運転し辛かった、みたいな感じ。

じゃあ何が正解?

結論はシンプルで、

“今の自分にちょうどいい楽器”が正解です。

・無理なく弾ける
・ちゃんと使う
・ストレスがない

これ、地味なんですけど一番伸びます。

身の丈って、悪いことじゃない

「身の丈に合った楽器」って聞くと、

なんか妥協っぽく聞こえるんですが、

実は逆で、

一番ちゃんと上達する選び方です。

動きがどう見ても初参加じゃない

スタジオレッスンで、ときどき出会います。
「今日がはじめてです」と言っていたはずなのに、自然に動いている人。

ターンも迷わない。
リズムも外さない。
立ち位置まで完璧。

……いやいや、絶対どこかでやってましたよね?

未経験者には未経験者の動きがある

経験者だからといって全員が上手とは限りません。でも、本当に未経験の人には独特の動きがあります。

右と左が一瞬わからなくなったり、周りをキョロキョロ見たり、「今どっち向くの?」という表情になったり、重心のかけ方やリズムの取り方がぎこちなかったり。

あの「どうしよう」が全身から伝わってくる感じ。あれは経験者には再現できません。

謙虚なのか、見栄なのか

だから「はじめてです」と言われても、あまりにも自然に動かれると、
「その設定、無理がありません?」
と思ってしまいます。別に経験者だと名乗っても、誰も怒りません。

「昔やってました。」
その一言で済むのに、なぜ「今日が初めてです」と言いたがるのでしょう???

経験は隠せない

昔、ヴァイオリンの体験レッスンで、楽譜を見ながら「このフレーズが……」と、ピアノでメロディを弾いて質問したことがありました。すると先生がひと言。「ピアノ、かなりやってるでしょ?」

弾いたのは、ヴァイオリン初心者向け教本の単音のメロディだけです。長く続けたことは隠せません( ̄ー ̄)ニヤリ スタジオレッスンでも、「今日が初めてです」と言われても、経験者だということは、たぶんみんな気づいています。未経験者のフリだけは、経験者にはできないんですよね。

 

なぜトレーナーに質問しない?

ジムに入会すると、多くの施設では最初にカウンセリングや目標の確認、マシンの使い方を教えてもらえる時間があります。この時にトレーナーと少し顔見知りになっておくと、その後のジム生活がぐっと快適になります。

トレーナーは身近な存在

ジムにはいつもトレーナーがいます。

「あのマシンって何に効くの?」
「新しいマシンの使い方を教えてください」
「次はどんなメニューをやればいいですか?」

こんな質問なら、たいてい快く教えてくれます。

入会時に「目標は?」と聞かれても、「それが分からないから来たんですけど……」という人も多いはず。最初から完璧なトレーニングプランなんてなくても、相談しながら少しずつ変えていけば大丈夫です。


アドバイスを貫通する人

それなのに、ときどき見かけます。

マシンの使い方は自己流。
フォームも自己流。
それでもトレーナーには絶対に話しかけない。

たまにトレーナーから声をかけられたりもすれば、すぐ横で正しい使い方をパーソナルレッスンしていることがあります。「これでフォームが変わるかな」と思って見ていると……次の一回目から、きれいに元のフォーム。

『聞いたら負け』というルールでもあるのでしょうか。

 

緊張の部より、緩和の部のほうが凄かった

男のコンサート、無事終了。
今回は舞台の上にピアノが3台。

しかも、この3台が斜めに配置されています。普通なら、舞台下手側の人しか手元が見えにくいところですが、今回はこの絶妙な配置のおかげで、どの席からも演奏者の手元がよく見える。

ピアノ3台が並ぶだけでも壮観なのに、手元までしっかり見える。これは客席からするとかなり嬉しい。

 


曲ごとにピアノを選べる贅沢

今回も、曲によってピアノを選ぶという贅沢。

シューマン=リストの「献呈」は、派手な音かなと思ってスタインウェイ。
ブラームスの「インテルメッツォ」は、家庭内の仲直りの曲なので、古い方のベヒシュタイン。
そして湯山昭の「マロン・グラッセ」は、夏休みの終わりを感じさせるノスタルジックな響きの、新しい方のベヒシュタイン。

同じピアノでも、曲によって楽器を選べるなんて……贅沢♪

 

すっかりお馴染みの並行弦ベヒシュタイン



終演後の「緩和の部」が神回

そして本編終了後は、おなじみの「緩和の部」。
別名「リベンジの部」です。

ところが今回は、リベンジというより完全に神回でした。

初見でブラームスのコンチェルトのデュオ。
スコアを見ながら、一人でラフマニノフのピアノ協奏曲第2番をコンチェルト弾き。
さらに、ショパンのエチュードを「右手の人」と「左手の人」に分かれて弾くという、謎すぎる連弾まで登場。

いやぁ、凄かった。
そして何より面白かったのが、緊張の部より、こちらの拍手のほうが大きかったこと。
本番では、きちんと練習して「これが今の精一杯」という演奏をする。
ところが緩和の部になると、なぜか皆さん余裕綽々。

初見でコンチェルトをやったり、スコアを見ながらラフマニノフを弾いたり、右手と左手に分かれてショパンを弾いたり。
……その余裕、どこに隠していたんですか。

「本番」だからこその面白さもある

もちろん緊張の部も刺激的でした。
一見すると有名曲なのに、実はちょっと珍しい版での演奏だったりして、こういうところも、このコンサートの面白さ。

ちゃんと準備した本番ならではの緊張感と、終演後の「じゃあ、これ弾いてみようか」という自由さ。
同じ一日の中に、この両方があるのがいいのです。

お盆休みだからこその、こじんまり感

今回はお盆休みということで、帰省組が欠席。
いつもよりちょっとこじんまりしたコンサートでした。
でも、その分、一般のお客さんはむしろいつもより多く、一人ひとりがじっくり時間をいただける一日になりました。

11時からリハーサル開始。
13時から本編。
そして緩和の部が終わったのが20時。

長丁場です。
それなのに、あっという間でした。
1時間以内には必ず休憩が入るので、ちゃんとメリハリがあるのも◎。

誰も批評しない、誰も忖度しない

この会の好きなところは、誰も批評しないこと。
そして、誰もが良い意味で自己中なこと。

「これ弾きたい」
「これやってみたい」
「じゃあ一緒にやろう」

それで成立してしまう。

ここでは私は一番ヘタッピ組ですが、それでもみなさん褒め上手ww

でも、誰かの演奏を評価するのではなく、自分が弾きたい音楽を、自分のやり方で楽しむ。
だからこそ、本編では見られないような無茶な遊びが、終演後になると次々と飛び出してくる。
緊張の部で「これが今の精一杯」を出したあと、緩和の部で「じゃあ、遊びますか」となる。
この落差がたまらない。

今日の閑話の部、いや、緩和の部は、本当に神回でした。