読売日本交響楽団 第270回日曜マチネ―シリーズ/東京芸術劇場 | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 設備更新工事を行うため9月30日から休館が発表されている東京芸術劇場(休館明けの貸出開始時期は2025年9月以降を予定とのこと)、本日、9月29日は現・芸劇のラスト公演になります。(工事期間中、読売日響の土曜マチネシリーズ・日曜マチネシリーズは初台のオペラシティにお引越しとのこと。2025年は芸劇だけでなく、東京文化も、帝劇もクローズという、東京のエンタメ界に激震の年になりそうです。

 

 チェロ=エドガー・モローが素晴らしく、ルックスは「POPSの人?」なんだけど、いざ演奏すると王道の風格。ブルッフとコンゴルト、個性の異なる二つのコンチェルトを披露して、その幅広い音楽性をアピール。馴染みのないソリストの場合、あれもこれも聴いてみたいので、このプログラムは嬉しい。それにしても、チェロなのに、ヴァイオリンのような高音も音が全然苦しくならずに美しいのに舌を巻きました。また聴きたいアーティストとして心の閻魔帳にメモしたのでした。そして、コンゴルトにとっても「チェロ協奏曲」だけでなく「シュトラウシアーナ」も披露されることで、方やロマンティックな、方やシステマティックな音の違いを堪能。どちらも知らない曲でしたが、耳馴染みが良いですね。

 

 オペラではちょくちょく観るけれど、組曲で聴く機会はそうそうないのが『ばらの騎士』組曲(『カルメン』組曲もですね)。人気オペラあるあるで、わざわざダイジェストにすることはないってことでしょうか。3時間位(休憩除く)あるオペラを20分ちょっとで演奏するので、かなり強引です。「第1幕」はオープニングのみ、「第2幕」はオクタヴィアンがばらの騎士として登場する場面と幕切れ、「第3幕」はマルシャリン・オクタヴィアン・ゾフィーのソプラノ3人による三重唱と、マルシャリンが抜けての二重唱、そしてこの組曲のための終結句でフィナーレ。組曲という名前ですがメドレーになっています。ちなみに、作ったのはシュトラウスではありません。三重唱、オペラだとウルウル来ること必至なんですが、歌が入らないと、あらら、泣けない。そんなもんですよね。

 

 本日のコンサートをもって、コンサートマスターの長原幸太さんが退団。マエストロからも団員からも、客席からもものすごい拍手が贈られていて、本人も感極まっているようでしたが、客席も思わずもらい泣き。素敵なサヨナラ公演でした。

 

 

第270回日曜マチネーシリーズ
2024 9.29〈日〉 14:00  東京芸術劇場

指揮=セバスティアン・ヴァイグレ
チェロ=エドガー・モロー

ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
ブルッフ:コル・ニドライ 作品47
コルンゴルト:チェロ協奏曲 ハ長調 作品37

 

(アンコール)
バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番 サラバンド


コルンゴルト:シュトラウシアーナ
R.シュトラウス:歌劇「ばらの騎士」組曲