モネ 睡蓮のとき/西洋美術館 | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 モネの晩年の作品を中心とした展覧会。みんなが大好きな「モネ」ということで混雑は想定していましたが、せめて週末だけでも日時指定制を導入していただきたかったというのが正直なところ。5回位チャレンジしたものの、いずれも入場待ちの大行列に恐れをなして、結局、平日に有休を取得して鑑賞してきたのでした。それでも激混み状態。そして、いつもに増して、インバウンドの方たちが目立ち、聴こえてくるのは韓国語だったり英語だったりフランス語だったり。なんだか不思議な感覚でした。

 

 晩年の作品あるあるですが、描くものを研ぎ澄ますことで、だんだんと抽象度が高くなってくるのはモネも例外ではありません。今まで、単体で何かの作品を鑑賞した際、実は「タイトルとは裏腹に何が描かれているのかチンプンカンプン」ということが多々あったのですが、今回は連作が多数。これがすごく面白かったです。モネは同じ場所、同じ角度で、同じ風景を描くので、連作が並ぶことで「これを描いていたのか!」という答え合わせができるのが快感でした。なんでも時間や光の違いを描きわけるため、14枚もの作品制作を同時進行ということもあったんだとか。「3分クッキング」の助手の方が「こちらが5分に煮込んだ状態です」と次々にお料理を変えていくでしょ。あの感覚です!

 

 そして「モネって”睡蓮”ばかりでしょ。面白いの?」と言われることもありますが、同じ曲でも、違うホール、違うピアノ、いえいえ、同じレッスン室でも季節や気分で「今日はこう弾こう!」となるのは、ピアノブーム世代の方にはわかってもらえると思います。ピアノじゃなくて観劇だって、初日から千秋楽にかけて変化していくからみんなリピートするわけで、そりゃ画家だってそうだよね、と。モネも若い頃描いたセーヌ川を晩年改めて手掛けてみたりしてて、「学生の頃に弾いた曲を大人になってひっぱりだすと面白いもんね」とジャンルは違えどお友達になれた気がします。

 

 モネの”睡蓮”関連の作品の多くは、水面に浮かぶ睡蓮、水面に移りこむ周囲の植物、水中で揺らぐ様子と三層構造になっているんですが、これだって、メロディと内声部と通奏音みたいな感じで、鑑賞しながら脳内で勝手に「水の戯れ」やら「ベルガマスク組曲」やらが再生されていました。輪郭を失って空気だけを扱ったような作品だと「ダフニスとクロエ」のそれこそ「夜明け」がピッタリだし。あらためて、フランスの印象派って、音楽と美術で共通の世界観の上で成り立ってるんだなと羨ましくなりました。モネの連作=変奏曲です。一つのモティーフがあれこれ変容していくのが楽しかったなぁ!

 

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モネ 睡蓮のとき

 

【展示構成】

第1章:セーヌ河から睡蓮の池へ

第2章:水と花々の装飾

第3章:大装飾画への道

第4章:交響する色彩

エピローグ:さかさまの世界

 

【会期】
2024年10月5日[土]-2025年2月11日[火・祝]

【開館時間】
9:30~17:30(会期中、金・土曜日は~21:00)
※入館は閉館の30分前まで

【休館日】
月曜日、10月15日[火]、11月5日[火]、12月28日[土]-2025年1月1日[水・祝]、1月14日[火]
(ただし、10月14日[月・祝]、11月4日[月・休]、2025年1月13日[月・祝]、2月10日[月]、2月11日[火・祝]は開館)

【会場】
国立西洋美術館 企画展示室

【観覧料】
一般2,300円、大学生1,400円、高校生1,000円

【前売券】
一般2,100円、大学生1,300円、高校生900円

【主催】
国立西洋美術館、マルモッタン・モネ美術館、日本テレビ放送網、読売新聞社、BS日テレ

【後援】
在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ

【特別協賛】
大成建設

【協賛】
第一生命グループ、光村印刷、SOMPOホールディングス

【協力】
日本貨物航空、NX 日本通運、TOKYO MX、TOKYO FM、ニッポン放送、西洋美術振興財団

【企画協力】
NTVヨーロッパ

【巡回】
京都市京セラ美術館 2025年3月7日[金]-6月8日[日]
豊田市美術館 2025年6月21日[土]-9月15日[月・祝]

【公式サイト】
https://www.ntv.co.jp/monet2024/