新国立劇場バレエ団『コッペリア』オペラパレス | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 公演日の朝に渡邊峻郁の休演が発表されました。バレエダンサーはアスリート的な面もあるので、急な配役変更は珍しくないのですが、最近の新国バレエ団は所属メンバーによる公演だし、何よりも小野×福岡コンビということもあって安心して観ていました。

 

 プティ版の『コッペリア』はオーケストラではなくオルゴールの演奏でスタート。一気におとぎ話の世界へいざなわれます。コールドの面々は派手にぬったくったメイクや付け髭でダンサーの素顔が見えないのですが、実はコールドだけでなく、スワニルダは女の子集団の中の一人の扱い。「主役はどこ?」な場面も多かったし、フランツはダメンズ丸出しで人間的魅力がないキャラクターとあって、人物描写の深さといい、役としての面白さといい、主役はコッペリウスだと思っています。この役を元プリンシパルの山本隆之が肩の力が抜けたダンディズムで魅せてくれました。ダンサーとしての主役は譲っても、スター性はまだまだ負けていません。主役ってある意味型が決まっているけれど、別格のポジションになってから、多彩な表現が可能となり、より踊りを楽しんでいる、そんな風に見えました。超絶技巧は登場しなくても、粋に踊ることで客席を魅了できるお手本。この手の役を見事に演じられる日本人男性ダンサーが出てきたことがとっても嬉しい。とはいえ、福岡雄大は最後の最後に迫力ある(軽やかなタイプじゃない💦)テクニックを存分に魅せてくれましたし、タイトルこそ「コッペリア」ですが、新旧プリンシパルの共演による、男性ダンサーの魅力あふれる公演でした。

 

【スタッフ】
振付:ローラン・プティ
芸術アドヴァイザー/ステージング:ルイジ・ボニーノ
音楽:レオ・ドリーブ
美術・衣裳:エツィオ・フリジェーリオ
照明:ジャン=ミッシェル・デジレ

【キャスト】
スワニルダ:小野絢子
フランツ:(変更前)渡邊峻郁→(変更後)福岡雄大
コッペリウス:山本隆之

指揮:マルク・ルホワ=カラタユード
管弦楽:東京交響楽団