【観劇日記】新国立劇場『キネマの天地』@小劇場 | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 築地の劇場の舞台上での数時間を切り取ったバックステージ芝居。2時間半、歌もなく、踊りもなく、台詞の魅力をたっぷりとかみしめてきました。いきなり「蒲田行進曲」が流れてくるので、「あれ、今日って銀ちゃん?」と思ったんですが、「キネマの天地」ですものね。

 

 まずは、(実際は)名女優たちによる毒舌合戦と、(芝居上での)大根役者ぶりに大笑い。新劇調、レビューあがり、スクリーン演技、可愛いだけで芝居はさっぱりな新進女優など、思わず「この役はまるで●●さんだ!」なぁんて思いながら、丁々発止の台詞のやりとりにとにかく笑いっぱなし。「先輩がカラスが白いといったら、白いと答えないといけない」とか、「学年順、序列順で、自分の芝居を見てもらったらご意見を伺いに行く」とか、それでいて「私が、私が」とアピールするキャリアも芸風もバラバラな女優たち。まぁ、みごとに「アンサンブル」が成り立たず! それなのに、内輪ではディスりあいながら、いざ女優業を馬鹿にされると、さっきまでの喧嘩はどこへやら、一瞬で一致団結する切り替わりの早さも鮮やか。

 

 そんな女優たちのドタバタ劇かと思いきや、いつの間にか男たちのドラマとなり、最終的には無名の大部屋俳優が場をさらってしまう展開の早さ、どんでん返しの連発に、井上ひさしの天才ぶりが光ります! 最終的には演劇賛歌でジワジワと感動。

 

 

【スタッフ】
作:井上ひさし
演出:小川絵梨子
美術:池宮城直美
照明:榊 美香
音響:加藤 温
衣裳:前田文子
ヘアメイク:高村マドカ
ステージマネージャー:渡邊千穂
テクニカルディレクター:小西弘人
 
【キャスト】
立花かず子:高橋惠子
滝沢菊江:鈴木 杏
田中小春:趣里
徳川駒子:那須佐代子
尾上竹之助:佐藤 誓
島田健二郎:章平
小倉虎吉郎:千葉哲也