【観劇日記】来日カンパニー『BODYGUARD』@シアターオーブ | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 ホイットニー・ヒューストン×ケビン・コスナー主演で大ヒットした映画の舞台化です。舞台化にあたり特別にアレンジされたことはほとんどなく、ストーリーは映画版を踏襲。それどころか、ホイットニーが歌いまくっていた映画版そのままに、ミュージカル版でもレイチェル役のジェンリー・シャロ―と、ニッキー役のミシャ・リチャードソンがミュージカルナンバーを一手に引き受け、フランクは主役でありながら、ミュージカル・ナンバーが与えられていません。ということで、お馴染みの曲が次々に登場するのは楽しいけれど、芝居はあらすじを追うだけの薄っぺらい展開で、映画版よりもさらに簡略化されていることもあり、まったく盛り上がりません。それどころか、しょっぱなからネタバレ状態なので、スリリング感も皆無。

 

 幕開きはピストル発射の大音量で意表をつき、さらに、しょっぱなのライブシーンではレーザー状態の照明が客席に向かって飛び交い、実は安っぽい舞台装置をごまかしていました。ごまかし上手、もとい、魅せ方上手は舞台演出の華! そして、ヒロインの声はネットリなめらかな黒人発声。この声だけは他人種には逆立ちしても出せません。素晴らしい声。でも、ホイットニーの印象が強すぎるのか、来日ミュージカルにありがちなヒューヒュー盛り上がるはずの客席もおとなしい感じで、ミュージカルナンバーも盛り上がりません。そもそも、ミュージカルナンバーというよりも音楽入り芝居といった作りなので、大画面でホイットニーを堪能できる映画と違い、主役のカリスマ性で観客の視線を集めなくてはならないのですから、演劇って大変!

 

 ということで、歌声は楽しんだけれど、ミュージカルとして楽しかったかと問われるとかなり苦しい。ちなみに、同じ劇場で2020年4月3日(金)~4月19日(日)に日本語版が上演されますが、黒人の声がない舞台、どのように盛り上げてくれるのか、スタッフの腕の見せどころではないでしょうか。そして、日本語版はなんと来日版とほぼ同じ値段(S席のみ500円安いけれど、A席とB席は同料金)。これにもビックリ。

 

【スタッフ】
原作映画:ワーナー・ブラザース映画 「ボディガード」
映画脚本:ローレンス・カスダン
脚本:アレクサンダー・ディネラリス
演出:テア・シャロック
 
【キャスト】
レイチェル・マロン:ジェンリー・シャロー
フランク・ファーマー:ブノワ・マレシャル
ニッキー・マロン:ミシャ・リチャードソン
サイ・スペクター:ゲイリー・ターナー

ビル・デヴァニー:ピーター・ランディ
トニー・シベリ:クレイグ・ベリー

ストーカー:フィル・アトキンソン

レイ・コート:クリス・エジャリ―
フレッチャー:ジェシー・オニーア