マキシム・ヴェンゲーロフ ストラディヴァリウス リサイタル2018@サントリーホール | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 ピアノの詩人はショパンだけれど、ヴァイオリンの詩人はブラームスですよね~。オケでもソロでも悩殺されます。プログラムは渋いけれど、ブラームスならではの弦のうねりが最高です。

 

 ヴェンゲーロフはザハール・ブロンに師事しているので、梶本大進君や庄司紗矢香ちゃんの兄弟弟子。パワフルにバリバリ弾くタイプかと思いきや、非常に繊細なヴァイオリニスト。ブラームスなのに、力でねじ伏せるのではなく、まるでドビュッシーを弾くかのようにデリケートでやわらかい響き。今日は2つのストラディヴァリウスを曲に合わせてとっかえひっかえという贅沢版なんですが、反応の良いヴァイオリンのようで、音で戯れているのを楽しんでいる演奏。おまけに会場がこれまたソフトな響きのサントリーホール。楽器とホールと演奏が三つ巴になって存分に遊んでくれました。ピアノとヴァイオリンだけなのに「何、今の音!?」という瞬間が何度もあって、ピアノの脱力感と合わせて、室内楽的な演奏でした。フライング・ブラボーの人もいなくて、客席も一緒に最後の残響が消えるのを待ってじわじわと拍手。

 

 それが、アンコールになると一転してヴィルトゥオーゾの世界。それまで観客が音楽に吸い込まれる演奏だったのが、アピール満点でディズニーランドのおじさんみたいな演奏。カデンツァ入れ込んだり、超速弾きでピアノとずれちゃったり、これはこれで楽しい。

 

【演奏】

ヴァイオリン:マキシム・ヴェンゲーロフ

ピアノ:ルスタム・サイトクーロフ

 

【プログラム】

ブラームス:ヴァイオリンソナタ 第1番

ブラームス:ヴァイオリンソナタ 第2番

ブラームス:ヴァイオリンソナタ F.A.Eより『3楽章 スケルツォ』

ブラームス:ヴァイオリンソナタ 第3番

(アンコール)

ブラームス:ハンガリー舞曲 第2番

ブラームス:ハンガリー舞曲 第5番