【観劇日記】宝塚歌劇団雪組『ひかりふる路』『SUPER VOYAGER!』@東京宝塚劇場 | てるみん ~エンターテインメントな日々~

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 望海風斗のトップお披露目公演。プレお披露目公演があったわけじゃないのに、既にエロエロ&オラオラなトップ様。なぜか、芝居もショーもサヨナラ公演みたいな作りでした。(追記:プレお披露目として地方公演がありました。未見なので忘れてました)

 

 お芝居は 『ベルばら』のルイ16世の処刑で話が始まり、『1789』で仲良しだったロベスピエールとダントンが仲間割れ、『スカーレット・ピンパーネル』でラスボス的存在だったロベスピエールの恐怖政治が登場、『眠らない男』でナポレオンを持ち上げておいて裏切るタレーランが、それ以前にもロベスピエールを失脚させてた、というお話。宝塚ファンにとって、この時代はすっかりお馴染み。立場を変え、国を変え、様々な角度から勉強してます。そして、これらの作品を観ているからついていけますが、他作品は一本立て上演なのに対し、『ひかりふる路』は1時間40分作品なので、「知ってるよね?」前提で進められるせわしない箇所も。

 正直、主役として魅力的な人物じゃないですよ、ロベスピエールは。理想と現実で矛盾は多いし、清く・正しく・美しい宝塚のトップスターの役としては異質。でも、フランク・ワイルドホーンの旋律を朗々と歌われちゃ、観客は「アンタが主役」とひれ伏すしかないんです。歌が売りのトップさんは多々いましたが、音域によって女声になることもなく、低音から高音まで太い声で歌いきった望海風斗がとにかくご立派。ストーリーなんてどうでも良くなります。

 役として充実していたのは、ダントン。豪快さは彩風 咲奈の得意な芸風(他ができるかと問われると困っちゃうけど)なのと、ロベスピエールに拒絶されても熱く語り掛ける男っぷりで、見事な「二番手お披露目」でした。若手男役たちの活躍が新鮮(新二番手ですら、ちょっと前まで絶対的三番手ではなかった方なので)。

 ショーは望海風斗の羞恥プレイショー。「ようこそ オレの海へ」って、加山雄三かよ! さらに「寒いだろ、俺がギュッて暖めてあげるから」からの「嫌なことは俺が忘れさせてあげるから」、さらには「俺とお前のシークレットクルーズ」と続く歌詞たちに悶絶。「恥ずかしがらずに!」と臆面もなく歌いきる宝塚ならではのナルシストっぷり。後半では、若い頃の日記まで歌詞にされちゃってるし、望海風斗まる裸。


  同じくお披露目なのに割を食ったのがトップ娘役の真彩希帆。娘役が目立つであろう場面はことごとく女装の男役たちに奪われてました。ロケットの中心は綾凰華、「風のささやき」では朝美絢(女性歌手役も沙央 くらま)、中詰めでは永久輝せあが望海風斗の相手役。フィナーレの「悲愴」でようやくデュエットかと思いきや、あっという間にほとんど歩くだけで場面終了。録音なのがアリアリしている&スタイルに違和感のあるJ-POPたちはそもそも宝塚の子たちにあってないから(ダンス後の決め台詞が「お雑煮食べた?」ってセンスもなければ格好も良くない!)、バッサリカットして、『国境のない地図』の「悲愴」の再演だったら良いのに。


 娘役は浮かばれない芝居とショーだったけれど、二番手お披露目&若手男役の売り出しとしては良くできていて、何よりもツッコミどころ満載というのが楽しい公演でした。(宝塚の場合、ツッコミどころがあるのは個人的に大事なポイント)。

【スタッフ】
ミュージカル
『ひかりふる路 ~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~
  作・演出:生田 大和
  作曲:フランク・ワイルドホーン

レヴュー・スペクタキュラー
『SUPER VOYAGER!』-希望の海へ-
  作・演出:野口 幸作

【キャスト】
マクシミリアン・ロベスピエール:望海 風斗
  (フランス革命における中心人物の一人)
マリー=アンヌ:真彩 希帆
  (ある目的のためマクシミリアンに近づく)
ジョルジュ・ジャック・ダントン:彩風 咲奈
  (フランス共和国司法大臣であり、マクシミリアンの友人)
タレーラン・ペリゴール:夏美 よう
  (フランスの政治家)
カミーユ・デムーラン:沙央 くらま
  (革命家でありジャーナリスト。マクシミリアンの友人)
ルノー夫人:梨花 ますみ
オランプ(女性運動家):舞咲 りん
ルノー(印刷工房の経営者):奏乃 はると
ジャン=マリー・ロラン(ジロンド派議員):透真 かずき
マノン・ロラン夫人(ロランの妻。通称「ジロンド派の女王」):彩凪 翔
ルイ・アントワーヌ・ド・サン=ジュスト(ジャコバン派議員):朝美 絢