ザ・ワールド。
それは、私の肉体が経験する三次元的なフィールドと、私の脳内で認識される異次元の接点で形成される
独自の世界である。
よって、ここに綴られた記録は、私にとっての真実であるが、史実と反することもある。




 白山

白山は、富士山、立山と並び日本三霊山の一つと数えられる。
奈良時代の僧、泰澄によって開かれた信仰の山である。

私は、白山のことを知ったのは、1,2年前のことであり、それまではあまり他県の霊域、神域には興味がなかった。というかそれらのことに接する余裕がなかった。
しかしながら、昨年は、縁あって石川県の白山比咩神社には、3度お参りする機会に恵まれ、岐阜県の長滝白山神社と白山中居神社、福井県の平泉寺白山神社にもそれぞれ1回づつ。いわゆる三馬場にお参りすることができた。


白山神社は、神を祀りながらも泰澄という僧が開いたこともあり、仏教色の濃い神社である。
717年に、泰澄が白山で修行されていたおり、十一面観音の垂迹である九頭龍王が出現して、自らを伊弉冊尊の化身で白山明神・妙理大菩薩と名乗って顕現したのが起源である。
続けて、泰澄の前に大行事権現と大汝権現が現れて白山三所権現と称されるようになった。
泰澄のいう白山の神とは、白山妙理権現、大行事権現、大汝権現の三権現である。

白山妙理は、イザナミであり、十一面観音であり九頭龍王だという。
大行事は、白山の地主神であり、垂迹が菊理姫神だ。
大汝は、オオナムチということであり、イザナミを補佐しているという。

現在は、白山姫神と菊理姫神は、同一だとされているが、これは江戸時代以降とも言われているらしい。
スタート時は、白山姫神は、イザナミだったのであろう。
そして、白山の神は、龍蛇神だといえる。


元々、白山には、ククリヒメ神が地主神としておられた。
このククリヒメとは、日本書紀にわずかに姿を現す謎の女神である。
イザナギが黄泉から帰るときに、イザナミと争い、そこに仲介をした女神であるが、
ククリヒメの謎の一言で、場は納まった。

ククリヒメは、イザナギとイザナミの仲直りさした女神だとされるが・・・
イザナギは、黄泉の国のイザナミと再び、生産をするために行ったのだが、イザナミの姿に恐れ逃げたわけである。
イザナギは、イザナミと再び合一したかったのだができなかった。
そこで、ククリヒメは、イザナギに、「今度は、私と生産しましょう。」と提案したのではないか?
あくまで、勝手な想像ではあるが・・・

その結果、イザナギは、禊の際に水の中で神々を生み、アマテラスや、スサノオなどの三貴神も生む。
そこで誕生した神々は、男と女の結合からでなく、男の単体から生まれた。
しかし、そこで水中に潜り、神々を取り出したのが、潜り女(クグリメ)である、ククリ姫なのだろうか・・・

ククリ姫は、イザナギの女性の部分であり、一部なのかもしれない。


ハクサン姫はイザナミであり、
ククリ姫はイザナギである。
白山比咩神とは、イザナギとイザナミである。
白山神社には、イザナギとイザナミを祀っている。



・・・・菊理姫が消えた。
白山の地主神である大行事、菊理姫。
それは、ある意味、埋没神なのかもしれない。

埋没神・・・・
どうしてもアラハバキの姿が重なる。
伊勢内宮の荒祭宮に、祀られているというアラハバキ。
伊勢は、白山と祭祀線を一直線で結ぶ。
また、日吉大社には、七社のうちに白山宮があり、ここに客人神として菊理姫が祀られている。
その由来は、山王信仰の中で、白山信仰を客人神として認めているということであるが、
アラハバキは、門客神、客人神として祀られるケースが多いという。


アラハバキ神は、女神であり蛇神である。
どこか、イザナミとも重なってくる。



話は、変わるのだが、昨年愛知県の岡崎市に訪れたさい、矢作神社に連れていってもらった。
ここに秋葉神社があるのだが、なぜか気になった。
そこで感じたのは、スサノオだったのだが、秋葉神社を調べてみると、火伏せの神、多くは、カグツチを祀っているらしい。
各地に広まっている神社であるが、その起源は不明な神社も多いという。

岡崎市の真福寺には、白山神社があり、ここの祭神は、白山ヒメ神ではなく、カグツチであった。
ある方によると、白山がカグツチになっている箇所は、けっこうあるようだ。
国道を挟んではっきり、分れている場所もあるらしい。


火の神カグツチは、一つのキーだと考える。
イザナミは、カグツチを生んだために死んでしまう。
世に火を送り出すために・・・
これが、イザナギとイザナミの悲劇の始まりであった。

イザナミの排泄物からは、鉱山や鍛冶、それに水の神が生まれ、
死体からは、八雷神が生まれる。
また、イザナギによって切り殺されたカグツチからは、また様々な興味深い神々も生まれる。
元は、カグツチの火であった。


ギリシャ神話では、エピメテウスがゼウスから火を盗み人類に与えた。
その結果、ゼウスは、パンドラを送り、パンドラの箱から世界の厄災がばら撒かれた。


火の神、カグツチは、秋葉神社と共に、愛宕神社の祭神でもある。
京都の愛宕神社は、白山と同じ泰澄が開いた。

火伏せの神として祀る、火の神。
五行でいうなら、水剋火。
火の力は、水によって抑えるのじゃないのだろうか・・・
水では、消えてしまうからか・・・
白山ヒメ神は、水の女神でもある。


逆に菊理姫を火によって封じているのだろうか?
白山は、秋葉によって上書きされた・・・
土剋水。水は、土によって封じられる。
そして、火生土。土は、火によって生じる。
ある方の感覚であるが、カグツチの白山社は、どこか土や苔ぽく感じるという。



本来は、火と水は、相反するものではなく、
火水と書いて、カミ(神)を意味する。
それは、和合するものなのだろう。
そして、それが火水(ヒミツ)の奥義なのかもしれない。



【追記】
真福寺の白山神社(八所神社)は、カグツチのみを祭神にしているわけではなく、元々、白山姫神を祀っていた祠にカグツチ他を合祀したものです。
当時、神社の由来書の表記を誤解しておりました。
詳細は、三河巡礼の旅1を参照ください。