※作品評価は

◎=おもしろい ○=ふつう △=う~む ×=よくない 珍=珍作

 

6月前半の民放は8本。基準の10本にはならなかったものの、FNSドキュメンタリー大賞がいよいよ始まり、後半は本数が増えるため久々に前・後半で区切ることにしました。

面白くとも感じるものは少ない作品が多い…というのが正直なところですが、一番の注目作は久々にJNN系列から。“解放区”の『取り壊された追悼碑』

 

 

今年1月29日、群馬県立公園“群馬の森”にあった朝鮮人労働者追悼碑(2004年建立)が行政代執行によって強制撤去された事件の背景を、日下部正樹氏のルポルタージュ形式で映し出す。

 

近隣の強制労働の跡を訪ねつつ、最初は設置に積極的だった県と議会がどのように変節してきたか。そして政府の見解による近年の歴史教科書の表現変更や、“徴用”の実態など各所で細かい取材を行い、山本一太知事や維新の会・馬場伸幸議員へのインタビューなども行うなどかなり力の入った作品でした。

 

この顛末を見ていると“そもそも慰霊碑をブルドーザーで破壊するなんて、あまりにバチアタリじゃないか?”と問いたくなるのだけど、テレビでそれはできないのか…

 

ちなみに、作中には出ませんでしたが、山本知事は国会議員時代に韓国でコンサートをやったりCDを発売したりするなど、実は“日韓友好”を自身のアピールポイントにして知名度を上げてきた人でもあり。

 

この1999年の記事(実家で保管していました)で語った“未来志向”の、25年後の結果がこれなのか…と。

“日本のチカラ”からは、山形放送の“小町ちゃん”シリーズ5年ぶりの最新作『ぶちかませ!小町』

 

 

女子相撲の選手として、小学生のころから山形では有名な小町さん。今回は半分が前作のダイジェストで、後半は中学卒業までの小町さんを映す。

 

女子相撲に関しては映画『菊とギロチン』がありましたが、なかなか奥が深い世界で、小学生でもとんでもない体格の選手がいたりと…ニッチな世界と甘く見てはいけない。そんな強敵に、恐怖心を持ちつつも立ち向かう小町さんにこちらもハラハラしてしまう。

 

石川の相撲強豪校からの誘いを断り、酒田に残って幼少時から通っている相撲教室で学び続けることを決意するラストシーンは、さらなる続編を予感させてくれてワクワクしました

 

2022年のGW直前、全国に戦慄・衝撃を与えながらも実はまだ何も解決していない、知床沈没船事故の様々な影響を追った、北海道テレビの『沈没の波紋』

 

 

そのKAZU-1沈没事故の余波で廃業を余儀なくされた知床の同業者の社長。“遺族”にならなければ賠償請求裁判に参加できないジレンマに苦しむ“行方不明者”家族の葛藤。そして説明を拒み続けるKAZU-1の桂田社長。

 

当時の海保長官だった奥島高弘氏が語る海保と自衛隊の連携体制の不備。JCI(日本小型船舶検査機構)の検査厳格化による事業者の負担増大。更にはJCIの検査員減員による検査遅延…などなど、タイトル通りに事故と拙速な制度変更がさまざまな影響を与えたことを伝える。

 

琵琶湖の沖島にまで行って、救命いかだ設置義務化の影響を取材するほど徹底した検証の姿勢には驚くしかなく、スタッフの“本気”を強く感じる作品でした。

 

九州のみで放送されるホークスのドキュメンタリー番組“One Heart 鷹よ強くあれ”。出来自体はふつうだったのですが、興味深かったのは今年から先発として活躍する大津亮介の特集。

 

 

大津を見て驚くのは、とにかくその細い体躯。(公称)174cm64kgは一般的な成人男性よりスマートなくらいで、僕とほぼ同じ体格(=178cm64kg)。それでも150km/hの速球に多彩な変化球を投げて、先発ローテーションに入って100球以上投げる体力と技術がある。

 

無理に体を大きくせずとも、適切なトレーニングで筋肉の質を高め、投球技術を磨けば十分にプロの一線で活躍できることを証明した…という事実はもっと広く知られていいと思います。彼がどれだけ細いか、ぜひ映像で確認してみてください。

 

肘・肩・膝の酷使だけでなく、無理な“食トレ”をさせられて体を壊す中高の選手もいるというし、野球関係者にはほんと大津や山岡(オリックス)を見て考えてほしいものです…

 

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