7月の民放は13本。あろうことか、地元局がANN系の

「テレメンタリー」とFNN系「FNSドキュメンタリー大賞」の時間を

丸かぶりさせたせいで、実家やネット配信を頼っての

視聴も増えました。

 ファイターズは苦戦する一方、活躍が目立ったのは北海道勢。

 

 内田有紀がナレーションを担当したHTBの『たたかう 生命の

守り人』はタイトルがいけすかなくて食傷気味だったのが、

実際観ると意外や良く。

 

 去る冬の時期、札幌にあるCOVID-19患者受け入れ先の

病院で、「ここまで入り込んで撮らせてくれたの?」というくらい、

実際に何が起きて、どんな状態になっていたのかが文字通り

ドキュメントされている。かつ普段なら余計に感じそうな、

終わり近くに挿まれるお医者さん本人の家族とのプライベートが

やけに効いているという妙も。

 

 UHBの『りんごのまちで育つ子へ 親子を支える「みんな食堂」』。

これもテクニックや洗練よりも、ディレクター・取材者、そして

出てくる人たちの誠実さが結実した秀作だった。

 

 最初は運営者のFMアップル・塚本さんにスポットが当たり、

そこから「みんな食堂」で子どもたちに勉強を教える、自身も

厳しい環境で育った大学生の深堀麻菜香さん、更には

深堀さんから教わった子へ…と広く、しかし深く進んで行き、

すぐ傍にある「貧困」の本質も浮かび上がってくる…。

 

 にしても、その深堀さんが本当に素晴らしい方で…。

深堀さんが書いた文章を読むと、想像がつくと思います。https://note.com/manaca_a3/n/ndca6661f9099

 

 そして最大の注目作は、HBCの『ヤジと民主主義』。

これも本当に、ディレクターの危機感とやる気がビンビンに

伝わる力作です…。

 

 白石和彌監督が映画化した『日本で一番悪い奴ら』でも

おなじみ、道警裏金事件の告発者、原田宏二氏も登場。

今まで数多の組織犯罪をやってきた北海道警が、たかだか

政治家へのヤジを集団で取り締まるというのは、

もう滑稽というしかなくて…。

 

 HBCのサイトで全編を視聴できます。ぜひご覧ください。

 https://www.hbc.co.jp/monsuketv/tv/yaji_democracy2.html

 

 九州からは、北九州(東八幡キリスト教会、NPO抱撲)で

活動する奥田知志牧師が出てくる『コロナ禍の貧困』が

タイムリー。奥田牧師はETV「こころの時代」でも特集され、

空き家を活用した生活困窮者向け「支援付き住宅」プロジェクト

でも注目を集めている。カメラが奥田牧師を追うのではなく、

奥田牧師の目から北九州の現状を見つめるような作りの

上手さはさすがRKB!と唸らされた。

 

 静かながらも粘り強い取材、映像の力がよく出ていたのは

テレビ金沢の『野犬と飼い犬』。多数あるペットの遺棄・殺処分に

関するドキュメントの中でも出色。野犬に餌をあげる、

一人暮らしのおじいさんの姿、そして農道からカメラを見つめる

野犬の目が心に強く残る。

 

 漁師になりたい孫、彼を鍛える祖父の姿を瀬戸内の海上で追う、

テレビ新広島の『漁火のゆくえ じいの背中とボクの夢』。

もう安心保証付きで観られるタイプの作品ですが、やっぱり

いいんですよ…。

 

 「あ、こういう生き方をしてもいいんだ…」「いいじいちゃんだ」

「彼はきっといい漁師になる…」と感じさせてくれ、裏切られずに

心が洗われます(笑)「父と子」より、「祖父と孫」のタッグの方が

魅力的に感じるのはなぜだろう…。