自宅を担保にする老後ローン | 司法書士事務所尼崎リーガルオフィスのブログ

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自宅を担保にして、老後の資金を借りることができるローン商品(リバースモーゲージ)が話題になっているそうです。


担保不動産を自分の死後に売却して一括返済します。
今年の3月に三井住友銀行が新たに参入して、大手銀行の商品が出そろい、取扱い件数も急増しています。


55歳や60歳など一定年齢以上の人を対象に、銀行が融資する商品で、利用者ははじめに自宅の土地や建物を担保として銀行に差し入れます。
現金が必要になったら、銀行が定めた金額の範囲内で借り入れることができます。



このローンの最大の特徴は、返済のしくみです。


生きている間には返済する義務がありません。
利用者本人が亡くなったあと、遺族などが手続きをして担保不動産を売却し、その代金で一括返済します。
子供がいない夫婦など、死後に家はいらないという人が、ゆとりある老後生活を送るのに現金を借りるための商品です。



総務省の調査によりますと、60歳以上のリタイア世帯の家計は平均で年71万円の赤字となっているそうで、貯蓄を取り崩してしのいでいます。
貯蓄額は平均で2,000万円足らずで、貯金が尽きることの不安を抱える人は多いようです。
住み続けながら家を現金化することができることが最大のメリットです。


取り扱う金融機関は2年ほど前から急増していて、現在は地方銀行を中心に約30あります。
返済負担が大きい住宅ローンを借り換える人が多いようです。


これまで、不動産を担保にする場合には、高額の不動産に限定されることが多くありました。

しかし最近、老後ローンに参入した地銀では、土地評価額が約1,000万円以上であれば利用できる商品が目立っています
この評価額だと、都市部に戸建住宅を持っている人では大半が利用できるようになります。
金融機関側も、高齢世帯が増える中で新たな収益機会だとして、融資に積極的なようです。



ただし、長い期間で考えると注意点もあります


まず、予想以上に長生きする可能性があります
かさむ生活費に充てるために借り入れを続けていれば、早い時期に借入限度額に達してしまいます。
この借入限度額は土地評価額の50%などに限られることが多いです。
長生きしてもその間の生活費をまかなえるかどうかを最初に考えておく必要があります。


また、地価が大幅に下落する可能性があります
もしも市場の状況が悪化して、銀行が担保不動産の評価額を引き下げると、借入残高を下回る「担保割れ」になってしまいます。
そうなったときには、銀行から担保不動産の売却によってまかなえなかった差額分の返済を求められることになります。


さらに、金利上昇リスクもあります

リバースモーゲージの適用金利は、変動型が一般的です。

現在3%前後という金利水準が、将来上がれば利息負担はより重くなります
利息は元金と合わせて死後に返済するタイプと、生きている間に毎月支払いを求められるタイプがあります。


利用者本人の死後に配偶者に契約を引き継ぐことができるかもポイントです。
連帯債務者にしたり、不動産を信託財産として配偶者を受益者にしたりといくつか方法がありますが、金融機関によってしくみや条件がさまざまです。



持ち家を活用して老後の資金を確保する手は他にもあります。
子供が独立したあとに、自宅不動産を売却して安価なマンションなどの物件を購入し、差額分を生活費にまわすといった方法もあります。
大きな戸建を手放すと固定資産税や修繕費などのコストも減らせます。
持ち家にこだわらなければ老後の生活のための現金を作ることができます。