浅田次郎:著 講談社 2007年
このシリーズ(蒼穹の昴・珍妃の井戸)はまってしまうと、この四巻も見逃せない。
清朝末期、主人公は変わっても大きな歴史の大河は、同じうねり。
同じ場所で一度に4つの年号が併用されるという混乱をみてもそのことがわかる。
絶対なかはらのにじと読まないように。
長城から南を中原と呼ぶ。
虹はだれにどのように見えたのだろう。
張作霖や春児の兄、馬賊となった春雷が大活躍。
ときどき、東北部をまとめ上げた太宗の一族が出てきて壮大な物語をさらに大きくしている。
おしまいの方、初めて長城を越えようとする張作霖と、同じく長城を越える太宗が交互に出てくのがおもしろい。
あらすじ
「汝、満州の王者となれ」と老占い師から予言を受けた馬賊の長、張作霖は、天命を持つ物だけに許される龍玉を手に入れる。
それは6代乾隆帝がかくし、以後の皇帝たちが手にすることのないものだった。
予言通り、民に慕われ馬賊の統領となり名実ともに「東北王」となる張作霖。
長城を越え中原に入る理由は、単なる勢力拡大ではなかった。
3歳の清朝最後の皇帝溥儀。
諸国列強から民を守るため、自分の手で清朝を滅ぼそう画策する西太后と幽閉された光緒帝。
二人の意志は小さな皇帝にも天の声として伝わる。
孫文や袁世凱などが新しい国を建てようとするが失敗。
幼い皇帝は? 宦官の春児は? 日本へ脱出した梁文秀、妻で春児の妹の玲玲、張作霖の配下になった馬賊の兄の春雷は?
物語の中で同じ場面にいることがない主な登場人物たちは、その激しく過酷な人生の中でお互いを知り合うことがあるのだろうか。
おまけ ![]()
作者は文治国家としての中国の歴史になみなみならぬ敬意を払っているのだろう。
張作霖のその後は書いていない。
最後、どうしても長城を越えなければ気持ちをにおわせて終わる。
ふ~む。
物語はおもしろい。
しかし、春児の兄弟は高潔な人々だった。
馬賊に、宦官、政変の亡命者の妻が?
まぁ、読んでみてください。
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毎朝、NHKのハイビジョンで漢詩をとりあげた番組をやっている。
中国の映像が流れ、作者やその背景が語られる。
いつか科挙の制度や都を追われるということが、この物語と重なった。
まだぽーっとしている。
