沢木耕太郎:作 第1便黄金宮殿
新潮社:発行 1986年
装丁が平野甲賀、外国の列車の図柄から、何よりタイトルからユーラシア大陸を走り抜ける特急列車に乗って旅する物語と思いこんでいた。表紙はかなりいいデザインで気になっていたのに、初めて読む。
「ミッドナイト・エクスプレス」とは、トルコの刑務所で使われる隠語で脱獄を意味する言葉なのだそうだ。それも外国人受刑者の間で使われた言葉とか。
1970年代、今よりずっと海外旅行が一般的でなかった時代、香港からローマをそれも、バスで目指した放浪に近い旅をした若者の紀行文っていう感じ。だから今の卒業旅行と称して業者が作った予定通りのコースを、らくちんで安全な旅をするのとは違う。もちろん作者のような旅をする人もいるのだろうが。
さて、思い立ってとりあえず旅に出たと、そんなはじまりだったから初めからコース変更の連続である。しかし旅人のペースに巻き込まれ、もう少しもうちょっと先へなんて感じで、読者もいい気なものっだ旅のお相伴をさせてもらっている。
NHKの何という番組だか忘れたが、どこかの町をひたすら歩き回るというのがあった。作り手は地図は持っているようだが、カメラを回しながらあちらからいいにおい、こちらから面白そうな音、誰か手を振っているなって感じで歩き回る。そんな番組を思い出す場面もあったが、やはり人との絡みが面白い。その辺は読んで貰って。黄金宮殿というタイトルの曰くもわかる。
目次の地名だけ紹介
第1便 香港 マカオ マレー半島 シンガポール
第2便 インド シルクロード
第3便 トルコ ギリシャ 地中海 南ヨーロッパ
第○便というのは、巻ということ。つまり目的地に着くまでの全行程を読者が行くには、3巻読み終えてということになる。いってらっしゃい。