西のはての年代記Ⅲ「パワー」

ル=グウィン:作 谷垣暁美:訳

河出書房新社:発行 2008年


うお座 シリーズの最終巻。各章毎に本が一冊書けるぐらいの濃密さ。長いが飽きることなく、そして物語をすすめるための飛躍もなく、読者を楽しませてくれる。

うお座 主人公は恵まれた家内奴隷の少年。少年は二つの優れて力を持っていた。ひとつは記憶力、もうひとつは幻(ビジョン)を見る力。しかし後者を、賢い姉によって人に知られてはならないと教えられる。

うお座 あまりに小さな頃、二人は奴隷狩りに合い都市国家の元老員という豊かな家の奴隷となる。教育はその家の子も、家内奴隷も一緒にその家の教育を任された奴隷によって行われていた。そこで主人公は狭い一家の中ではあるが、自分の能力を伸ばすことを認められ、教師を目指して暮らしていた。しかし姉を失うことで奴隷という身分のあやうさを思い知った主人公は逃亡を図る。

うお座 その先で出会った一人森で暮らすクーガ。逃亡奴隷たちを集め強烈なカリスマ性で国を作ろうとするバーナ。そして平安な水郷地方のふるさとを見つける主人公。しかし・・・。

うお座 最後にはなつかしい人々との出会いが待っている。主人公ではなく、シリーズを読んできた人にとって。もちろん主人公にとってもそれは最高の幸せであったろう。自由があることで学びもまた人を自由にする。


うお座 作者は1929年生まれ、御年80歳。この作品の後もアメリカで大人向けの小説を発行したそうだ。すごいパワー。シリーズ2作は隣の県の図書館で借りて読んだが、つい本書を見つけたらたまにはご褒美とかこじつけて購入してしまった。週1回勤務している図書館でも買ってもらおうっと。そこには1巻はある。「ゲド戦記」とこの「西のはての物語」シリーズを並べて、特集として紹介してみたい。


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2008/4/7  西の年代記Ⅰ「ギフト」

2008/4/10・14      Ⅱ「ヴォィス」

2008/10/6 「ゲド戦記」