乙骨淑子:作 理論社:発行 1986年

「合い言葉は手ぶくろの片っぽ」

乙骨淑子全集6

わんわん タイトルから秘密結社に匂い? 合い言葉なんてね。このお話の分類は、海洋冒険少年物語。舞台は少し前の現代の貨物船。カナダのバンクーバーに行くのだそうだ。主人公は初めて船員として船に乗る少年。出航は13日の金曜日、誰もそのことをなんとも思ってないが、突然の困難や難題が生じてくるとそのせいにしたくなってしまうのが人の気持ちの弱さか。仲間といっても主人公は新米だから、この場合の仲間は捨てられた犬。こいつを船に乗せてしまう。

わんわん そして船の中ではいろいろなことが起こる。お決まりの大嵐とか、エンジントラブルとか。それぞれの職種や階級による人のかき分けが面白い。作者は船のことにも詳しいらしく、船内のようすや作業のようすも物語の進行と深まりに合ってわかりやすい。これがこの物語の魅力にひとつになっている。

わんわん そして合い言葉まで作って、主人公たちは何をしようとしたのか。1巻からみると文章が読みやすくなったように感じる。しかし貫いているものは同じ。51歳で亡くなったそうだ。長生きしていたらどんな児童文学を書いたのだろう。言ってもしようがないことだが。

わんわん 同じ船室で3人までが賛成して、ひとり反対する立場だったら。まして反対することの方が正論なのだ。でも主人公たちは合い言葉を作って・・・。