リサイクル本で手に入れた乙骨淑子:作
乙骨淑子全集第2巻「8月の太陽を」
理論社:発行 1985年 初版は1965年
舞台はフランス革命の頃の西インド諸島のハイチ。物語はその地の多数を占める黒人が、奴隷制を打ち破るために戦った話。1942年、コロンブスの発見により北海道より小さいカリブ海に浮かぶ島ハイチ島は、スペインの支配を受けることになる。その最初の50年の間にもともとハイチ島に住んでた人たちは、殺されてしまい、そのかわりの労働力として連れてこられ奴隷にされたのがアフリカの人たち。物語の始まる時代支配層の白人は、4万人。混血が6万人、そして黒人が50万人あまり。人口の約6分の5であったという。
1790年から12年間にわたる黒人たちの物語は、すでにフランス領だっためにフランス革命により自由・平等・平和の精神が植民地にもおよび、いったんは奴隷制度廃止の命令を受けるのですが、ナポレオンの出現によりその道を閉ざされます。しかし戦いは、トウセンというリーダーに率いられ続けられます。トウセンがナポレオン軍に捕まり亡くなるまでが語られます。その2年後、ハイチは世界で始めて黒人の独立国となるのです。
元のお話が明治時代の子どもの本にあったそうです。それを読んだ作者は、独立のためにはたらいた主人公を描き、子どもたちに伝えようとした明治の人たちの心意気を感じたそうです。「白人への怒りだけで戦ってはけない」「自分たちを惨めにしている制度と戦うのだ」「今は勝っている。しかしこのあと、どうやって勝つのだ」
こういうタイプの子ども向けの本が少なくなっているように感じます。まして全集でしかお目にかかれなくなってくると手にとる子どもには、お導きが必要でしょう。ほとんどが戦いのシーンなのですが、大人を視野にいれて書かれているようにも感じられます。YAではないのですが、充分おもしろく読めます。閉架書庫からみんなでリクエストして出してあげたい1冊です。
