山本一力:作 「いすず鳴る」文藝春秋:発行 2008年

クマノミ 「いすず」ってなんだろうと思って読み進んでいった。 半分以上過ぎたところで、固有名詞ということが分かった。タイトルに使われるくらいだから物語の中では、要に当たる。表紙は、褌ひとつの男たちが鯨を追う絵がら。打ち込まれた銛のせいか、鯨は尾を振り上げ大きな波が立っている。波頭は金色。描かれている船のひとつはあきらかにひっくり返っているのに、他の船の男たちは銛を撃ち続けている。「ず」は違う文字が当てられているのが出せないのでごめんなさい。

クマノミ 時代は安政の大地震のあと。豪快で心豊かな土佐の鯨漁にたずさわる人々と江戸の庶民と能登の御陣乗太鼓の一行と。日本各地で生きてきた人たちがひとつの場所で出会い運命を切り開いていく。元が新聞小説だけに、だれることなくぐいぐい読者を引っ張っていく。

クマノミ 取材が行き届ている感じで、好感が持てた。江戸の物語は実際には知らなくとも、なんとなく想像できるが鯨漁はもう、作者に体を預けてお任せ状態で読んでた。御陣乗太鼓は見たことがあるので、あの興奮を思い出していた。能登半島の一番先っぽの地区で見せてもらったと記憶している。町内の少し広い角地みたいなところだった。舞台もなかった。夕食後ぐらいの時間帯に太鼓が鳴り出す。おちおち家になんかいられないような響きであった。一度みるといい。舞台ではないのが、直に伝わってきてよかった。そして地区の人総出で遺していこうとする気持ちが感じられた。

クマノミ 本の紹介で話の筋をかく人が多いが、それでは読む楽しみも半減してしまうような気がする。それできままに個人的なのことを入れて行用数を増やしている。中途半端なだなぁ。