萩原規子:作 角川書店  2008年

「RDG レッドデータガール

はじめてのお使い」  

作者の名前を見ただけで借りていた。他の作者だったら借りないかも。こんなひどいタイトルでは。

ねこへび 「空色勾玉」以来のおつきあいである。20年前、産休で家にいたとき中学生が「絶対面白いですから」と、書名を教えて薦めてくれた。ファンタジーなど手に取ることもなかったが、すっかりその一冊で若かった萩原規子のファンになってしまった。つまり安心して空想の世界に身を任かす楽しさを知ってしまったのだ。

ねこへび 山奥の神社に祖父と暮らす主人公は、引っ込み思案の劣等感のかたまりみたいなさえない女の子。生まれてこのかた気がついたときにはもう三つ編みで、それは中学生3年生になった今も変わらない。それぞれその道のエリートらしい母親も父親もいるにはいるが、一人娘の気持ちなど考えず、唐突にやってきてはまたいなくなる。少女のささやかな夢は、みんなと同じ高校に行って同じように暮らすこと。それだって今の彼女には大変な勇気のいることなのだ。それがレッドデータガールつまり絶滅危惧種の女の子という意味ではないのは、最後のお楽しみ。

ねこへび さてもうひとりの主人公は、超エリート校から山奥の学校に転校させられたヒロインとは正反対のかっこいい男の子。「なんで俺が、おまえみたいな奴を守らなきゃならないんだ。」と平然と見下して言い放つ。彼はヒロインの後見人の息子だった。これだけだったら、どこにでもある。漫画からテレビドラマになる学園ものみたいだ。どうも少女の血筋に関わることが問題のよう。ううふ。

ねこへび 物語の展開が速くなってくると、もう一気に読むしかない。しっかりした日本のファンタジー。山にかかる霧も、降る雨も、どこか皮膚が覚えている。そしてかなり具多的な地名は、よけいに私をドキドキさせた。ふたりは、あの駅のあの細い通りを走り抜けているの!

ねこへび 清浄とでいおうか、山の透き通った空気を胸いっぱい吸い込んだような気持ちになってこの本を閉じた。分類は「ヤングアダルト913オギ」。これからも期待しています。子供と大人のために、極上な日本のファンタジーを書き続けて下さい。

このブログに紹介はないけれどおすすめは

「空色勾玉」(福武書店・徳間書店)

「白鳥異伝」」(徳間書店)

「薄紅天女」(徳間書店)

ロングセラーという感じで大きな書店は必ずあるし、図書館でもすぐみつかります。ないときはぜひリクエストして購入してももらいましょう。結構今日は強気ですねぇ。