アン・ローレンス:作 金原瑞人:訳 佐竹美保:絵
「幽霊の恋人たち ~サマーズエンド~」
偕成社:発行 1995年
夏の終わりと聞くと、物語の終わりという感じがする。でも昔から物語が語られるのは、長い冬の夜と相場が決まっている。この物語は、寒い期間の仕事を求めて農家にやってきた流れ者が、3人の姉妹に語る8つの物語。お話の中の語り手が語るお話。こういう物語の形式は、古今東西結構、多い。
金原・佐竹コンビにもそうした作品がいくつかある。古道具にまつわる話を聞かせることで繁盛した骨董屋の話、自分で撮った写真にまつわる不思議な話でつづった物語。どれもハリーポッターが読めるなら、充分それ以上に物語りとして楽しめるお薦めの作品たち。
「不思議を売る男」 2007/11/7
「空から落ちてきた男」2007/11/12
流れ者はレイノルズサンと名前で呼ばれているから、ある程度の尊敬を持って雇われている人という設定なのだろう。舞台はイギリス。少女たちは長いドレスを着ているし、まだ貴族階級や裕福な階層以外の娘たちは、結婚までは外に出て働くのが一般的なようだ。汽車もあったようだが、アングロサクソン人が住み着く前の古い文化やキリスト教以前のこともうっすら出てくる。娘たちの母親が「幽霊や魔女の話はごめんだよ」といった意味のことを言うが、話のおもしろさに引きつけられてる読者と娘たちは聞き流す。
春を迎え次の仕事を求めて去って行くレイノルズさんを見送りながら娘は「何もかも変わってしまうのね」とつぶやく。「けれど、ベッキーはもう、いつまでもおなじでいたいとは思っていなかった」という一文が最後。
国際子ども図書館では、ヤングアダルト作品の棚を「読みごたえのある本」と紹介していた。分類がむずかしいところであるが、皆様小学校高学年あたりものぞいてみて下さい。興味深い楽しいお話が静かにたたずんでいます。そういうところでは、訳した人の名前も先導になります。いろいろな本の探し方をしてみて下さい。今日は午後から出勤します。では。
