ギフト 西のはての年代記Ⅰ
ル・グウィン:作 谷垣暁美:訳
河出書房新社:発行 2006年
タイトルの「ギフト」はそのまま邦訳された。変にいじられなくてよかった。いつの時代なのか、どこの国なのか西の果ての高地に住む人々には、低地に都市を作って生活する人々と違って、先祖から受け継がれる不思議な力を持つ人たちがいた。それがギフトと呼ばれる特別な力。そしてその家系が長となり一族をまとめ、牛や馬とともに日々の暮らしを成り立たせていた。
主人公の少年の家系はギフトをもつ。文字を使う母親の家系にはそうしたことはないが、だれもがいつか少年にそうした特別な能力が現れることを信じて違はなかった。
ヒロインも素敵。彼女は女性だけに伝わるその家系のギフトをもっている。しかし少女はその特別な力に慎重だった。母親に言われても自分のギフトを使うことを拒む。だから友達である悩む少年にも、結論を急ぐようなことはしない。
「ゲド戦記」の作者による38年ぶりの物語だそうだ。装丁は出版社が違うこともあって手に取りやすくなっている。お話もソフトな感じ。でも作者の伝えたいことは、なまやさしいものではない。読むのに支障はないが、構成もちょっと複雑。
1929年アメリカの生まれの作者はこの物語が出版されたとき、すでに75歳。たくさんのSFやファンタジーを書いてきたという経歴を読んだが、年齢からしてもすばらしいことである。