エリコの丘から
E・L・カニグズバーグ:作 小島希里:訳
岩波書店:発行
アメリカでは、トレーラーに住んでいるのは定住する家がないという意味で、つまりその家は、家計がかなり不安定ということになるらしい。それでもそうした人たちのための移動住宅駐車場なるものがあって、そこから学区の学校へ通う子どもたちもいる。主人公のジーンマリーもマルコムもそうしたひとりだった。何かにつけて連む他の子どもたちをクローン人間といい、一人をそれなりに楽しんでいた。
エリコの丘は駐車場にあった。今では平らだが、昔そこは高くなっていて特別な場所だったというのがいつの間にか親しくなった二人の考えだった。実際そこは特別な場所になる。
性格も正反対のような二人だが、いろいろな大人に合い、自分を深く生きるようになる。なんたって各章の頭にあるタルーラの言葉がいい。「ここだけの話だけど、なんて言う人とは、長話しちゃだめよ」。 タルーラって? 気になるのなら探して読んだ方がいい。
「ジョコンダ夫人の肖像」から入った人は、カニグズバーグはアメリカの児童文学者で、現代の子どもが主人公のお話が多いということを思い出して。「スカイラー通り・・」からの人は、こんな設定でも書いてみたかったとあきらめて。わたしは突然、場所や時間が移動してしまうのは好きでないです。でも登場する人たちが、いつものことながらいいので、楽しめます。
ハイジャック防止法とか現代なのに、ひどく昔空気が流れるのもおしろい。解説は、お医者さんでない人の方がよかったかな。そんなこと説明しなくてもわかるよ、もっと違う話題で書いてほしかった。まだまだ彼女の作品は、たくさんあります。読むぞ-。
初めて読む人には、2004年の改版岩波少年文庫がおすすめ。図書館や本屋さんには古いのがあると思うので注意。私は知らなくて作品集で読みました。原文が読めるといいなぁと。