闇の女王にささげる歌

ローズマリー・サトクリフ:作 乾侑美子:訳

評論社:発行 2002年


いて座 原題がなんというのかしらないが、この日本語のタイトルは不適当だろうと思う。サトクリフは、史実をヒントに物語を書くことが多い。このお話の主人公もまた実際にいた人物であり、ブリテン島を征服したローマ軍に対して各先住民族をまとめ最後の大規模な戦いを指揮した女王である。闇の女王というイメージは、本編からも歴史書からも湧いてこない。

いて座 物語の多くは女王の成長と生活と戦さと供にあった竪琴弾きの語りであるが、ローマ軍団の兵士の母親への手紙というのふたつの視点から描かれる。最後の戦いは人数の上で援軍を待つローマ軍に比べて、女王の軍が有利であった。行軍の合間に書く手紙は、悲壮でさえある。サトクリフは後書きで「聖戦と言われる戦いが一番残酷な戦いであるとった意味の言葉を書いている。

いて座 情報が多いローマの側からみてしまうことが多いが、丁寧に描かれたあまりは馴染みのない紀元60年頃のブリテン島に暮らしていた人々の営み。そして誇り高い一人の女性の物語。どちらが勝利したか、答えは読んで見つけてください。結構、おすすめ。