ケルトとローマの息子

ロ-ズマリー・サトクリフ:作  灰島かり:訳

ほるぷ出版:発行 2004年


いて座 この作品の主人公は、とりわけ過酷な運命を背負わされている。赤ん坊をなくしたばかりの土着の民に拾われ、氏族の一員として育ったのにもかかわらず、少年は異民族の血をもつ災いものとして村を追放されてしまう。少年には父も母も兄弟もその世界のすべてが氏族、つまりケルトであったのに関わらず。それでタイトルの「ケルトとローマ人の息子」となる。このあたりは「大地の子エイラ」の設定に似ているが、自由になったエイラのようには、少年の自由は保障されない。ローマ人の下で暮らすようになるが、それは奴隷としてであった。他の作品のように友人や愛情あふれる人たちの出会いがあるわけでもなく。ぬれぎぬでガレー船に送り込まれ・・・。

いて座 ローマ軍団は優れた兵士の集団であったが、もう一つ土木建築に大変な力を持つ集団でもあった。ローマ軍は進軍しながら街道を造り、橋を架け、水道を整備し町を作っていった。今のイギリスの主要な道路はローマ人の造った物、ローマが引き上げてからできた道は曲がりくねっていてすぐわかるとか。そんな人たちだから、主に干拓事業に関わる軍団もあった。主人公に人間らしさを取り戻せるのは、そうした土木技師である百人隊長。でも彼が出てくるのは本当に最後。読み続けてください。

最後まで。泣けます。