鉄を削る 町工場の技術

小関智弘:著 ちくま文庫 2000年


 文庫になる15年前に上梓されたのが本書である。前作をもっと具体的に技術面から広げた内容になっている。旋盤という実際に触れたことのない現場の話であるのでやはりわかりにくいが、ずっとその世界は広く深くなり、おもしろくなった。

  日本の最先端の技術を支えるのは、著者が働くような町工場である。はじめての材料、形は新しい工夫や発想でその形を得る。時には忘れられていたような古い技術がヒントになったり、逆の発想が不可能を可能にしたりする。それはどきどき、わくわくするうなドラマであった。

  そして著者は書く。「よい工場というのは、よい道具を作る工場だし、よりすぐれた工場は、機械の能力をひき出すことを知っている工場だと思う。そしてそうした工場は、結果として゛人゛を作る工場でもある」と。


オバケ 正月3日、また蓮堀りのモーターの音があたりに響くようになった。晴れてはいるが、寒風の中水につかって仕事をしている人の横を犬の散歩に歩くのは、のんきそうで心苦しい感じがする。でも蓮田の人たちは、6時間半休憩なしで、ポットに湯を入れている間ぐらいしか動くことを止められなかった今日の私の労働を知らない。明日は多くの職場で初出勤。