アニメーションの色職人
柴口育子:著 徳間書店・スタジオジブリカンパニー:発行 1997年 1600円
今回は、今までとはつながりがなく古本屋で買ったということだけかな。105円は、そうブックオフ。書名や作者、訳者などはっきりしていると結構、古本屋でもお目当ての本と会う。その本の売れ行きとかいろいろな条件で、新刊書を扱う一般書店より出会える確率が高い場合もある。数年前、話題になった本というのは、その傾向にある。これもそうした一冊。
アニメーションのセル画の色の指定をするのが、本書の主人公スタジオジブリの保田道世さん。仕事はそれだけではないのだが、東映動画の第一期生として入社、そこで出会った高畑 勲監督を「同志」、宮崎 駿監督を「戦友」と呼ぶ女性は、百戦錬磨のアニメの制作者。彼女がいなければ、ジブリの色は出なかったとさえ言われる。ほしい色がなければ絵の具をメーカーに注文して作らせる。外国から取り寄せればすむかもしれないが、日本のメーカーを大事にして無理なお願いをしていく。
著者の第一印象は、ひょうひょうとした人。年一作、長編アニメを制作しつづけたジブリで、現場のリーダーとしてまわりに負担を与えない存在であり続けることは、大変なことだろう。そしてよく遊びよく働く人であった。そして必要とあれば、新しい技術にも挑戦し、若い人たちを育てることも自分の使命と考えているようだ。
彼女は「まだ仕事をした気がしない」という。その時々の理由があって、彼女自身の成長があって、そうした言葉が出る。それこそが本当の意味での職人気質ではないか。制作の裏方の人たちの仕事についてはあまり知らなかった。膨大な作業量と人の手仕事がアニメを作るということが改めてわかった。
話に出てくる新しい色作り、詳しい色の混色については多少美術をかじっていて良かったと思った。なかなか色をイメージするのはむずかしい。
改めて、ジブリ作品を見るとおもしろいかもしれない。ではまた。
追伸 「のっぽのサラ」には続編「草原のサラ」という一冊があります。ことらもどうぞ。