チョコレート・アンダーグラウンド 

 著:アレックス・シアラー  訳:金原瑞人 求龍堂 2004年


 先日、古本屋で見つけた。チョコレート色で本棚でもよく目立つ。求龍堂は美術関係の本が専門だったからか、装丁がこの本もいい。ギャングのように中折れソフト帽を斜めにかぶり、トレンチコートにネクタイという少年はいたずらっ子のような笑顔。口には何かくわえている。よほど気に入ったのか、丸いシールのおまけにもなって本についていた。全部読み終わると絵の意図がよくわかる。

 日本では3冊目?の登場。「青空の向こう」「13ヶ月と13週と13日と満月の夜」に続く第3弾と訳者のあとがきあった。これもまた新しいテーマ。シアラーはそのたびにテーマをかえて書いてくれる。

 お話しはというと。選挙権のある人達が政治に無関心になったとき政権を取った健全健康党、彼らが作った法律は、チョコレート禁止条例。この法律ができて、取り締まりの部隊が出て国中から甘い物がなくなってしまう。これが物語の始まり。

 それはそれは徹底したやり方だった。そこでチョコレートが大好きなふたりの少年と子どもが大好きな雑貨屋のおばあちゃんが、地下に潜って動き出す。国を相手に子ども達が、禁酒法時代のギャングのように密造を始めるんだ。えっ、それってチョコレートの密造? 相手は容赦ない独裁者の指揮する国家権力。なんだ~、それぇ~。互いに監視しあう生活。反対する人は、出てきたときには人格が変わってしまう制収容所へ。親たちも、学校の先生も、みんなだまってしまう。大好きな甘い物がなくなって変な代用食しかなくなっても。でも子供達は、秘密の暗号を作って堅い結束で結ばれる。だって食べたいものね。チョコレート。言えば嘘をつくことになるけど、言わなければ嘘をついたことにはならない。確かに。

 読んでみてください。ピンチを切り抜ける勇気とユーモア、そしてチョコレートを食べたいという少年達に、大人達は命がけでまともな道を示してくれます。子どもにとって大人ってそういう役目だよね。

 ではまた。読んでくださってありがとう。