『あんたさぁ、
お母さんが、心配しちょったとよ。
電話もいーっちょん出ん、とか言って。
正月も帰らんかったし、
ゴールデンウィークも、帰らんとか。』
「えぇ〜…いや、別に、
心配せんでいいって。
それに正月は、仕事やったから。」
『私の方に、こないだから、
何っ回も電話あるっちゃけん!』
「それは知らんけど(笑)
お母さんは、平日に掛けてくるけん、
電話出れんとって。
それに、後からちゃんと、
LINEは送っとっちゃけん、いいやん。」
『LINEじゃなくて、電話したげなさい。』
「はいはい、分かった分かった。」
『返事は1回!』
「はいはい。」
『また2回…
あと、"孫の顔はいつ見れるんやろか"
やってさ(笑)』
「え…いや、孫もうおるやん(笑)
姉ちゃんが、
子ども連れて、帰ったげな。」
『私は、しょっちゅう帰っとるって。
それに、そーゆー問題じゃないでしょ。』
「もー、分かっとー分かっとー。
姉ちゃんは近いき、
すーぐ帰れていーね」
『あんたも、そげん変わらんでしょ!』
『で、ちなみに、
ゴールデンウィークって、
何か予定あるとね?』
「え? ん〜、まぁ…
あると言えば、あるし。
無いと言えば、無いし。」
『もー、相変わらずはっきりせんねぇ。
じゃあ、ゴールデンウィーク、
迎え行っちゃるけ、一緒帰るよ。』
「え…いやいや、いいっていいって!
大丈夫大丈夫!
だいたい姉ちゃん、遠回りなるし。」
『お母さんが、うるさいとって。
それにね…
"そろそろ嫁探しも、私らがやらなかぁ"
だってさー』
「はぁ!?
いや、なんで、そんな…はぁ!?」
『やけん、可愛い可愛い弟の為なら、
遠回りしてでも、私が迎え行っちゃる』
「いやいやいやいやいや!」
『どーせ、部屋も散らかっとるやろし、
ついでに片付けちゃーけ。』
「それは…まぁ助かるけど…
じゃなくて!」
『良いやん、予定無いなら。
お嫁ちゃんが、見つかるかも、よ』
「姉ちゃんさ…
何か…楽しんでない?」
『あら、そーんなことな〜いわよ』
「…はぁ〜〜。」
『ま、田舎の長男に生まれた、宿命よ」
「…はぁ〜〜〜。」
『じゃ、そゆことで。
また近くなったら、連絡するきー。』
「…はいはい。」
『返事は1回』
((よく鳴るのは、
社用の方だけで、良いんだけどなぁ。))
まったく、いくつになっても、
姉の強引さには、敵わない。
携帯を机に置き、
大きく伸びをし、コーヒーを淹れる。
これからまた、
色々と、忙しくなりそうだ。
雨蛙