とうとう我が家から猫がいなくなった。
昨日、旅立っていった。
一昨年からこの時期に私の身近な存在が旅立ちがちだ。
年を越すことによって安堵したのか、年始に会いたかった人間に会えたことによって気が抜けるのか、思い残すことはなし、と言わんばかりに旅立っていく。
しっかり生ききって旅立っているように見える存在たちなので、喪失感は半端なくともどこか受け入れざるを得ない力が働いてしまう。
それでも時々思い出しては涙ちょちょぎれて、どっぷり寂しさ、悲しさに浸ることはあるのだけど。
そんなこんなでこの家に来て、初めて一人きりで過ごしている。
とりあえず、この家、こんなに寒かったっけ?と防寒防寒で時間をやり過ごす。
無意識に猫のご飯やトイレのチェック、飲み水のチェックをする。
ペットシーツのズレや住処にしていた猫テントの汚れを確認しようとする。
もう、いないんだった。
旅立った翌日だ、そんなもんだろう。
特に起き抜けなんて最悪だ。
ご飯トイレチェックを無意識にし、すぐに自分のことを始めていいのに、いつまでも手が付けられない。
あ、そうだ、もう至急やっちまわないと!なんて案件はないんだった、と気がついて涙がボロボロ出てくる。
突発的に涙がちょちょぎれる回数は他の猫二匹より、いや、実の父親の時よりずっと多い。
ふとした時に、背後に設置している猫テントの様子を伺う。
これを書きながらも、ついやってしまう。
寝てるな、と思うと安心していたが、もうずっと寝たままだ。
猫の看取りも3回目にもなれば、エンゼルケアもお手の物だ。
他二匹の時の後悔を今回はなんとか回避した。
死後硬直する前に口を塞ぐことだ。
口を塞ぐって読んで字の如く、そのまんまの意味だ。
永遠に口を聞けないようにするわけではないし、そもそも、すでに口は聞けなくなってるし。
どんなに穏やかに亡くなった、と言っても抜け殻の口が開いているだけでなんだか苦しそうに喘いでいるように見えてしまうのだ。
父親の時も、私は即座に私物のパンダ柄の手拭いで口を閉じるように固定した。
とってもメルヘンなつるりとしたおっさんが出来上がり、笑うに笑えない空気を作り出してしまったことを思い出す。
今回の猫さんは、なんちゃって五条悟みのある形で固定された。
呪術は未履修だが、確実に五条悟を私は好きになるだろう、などと思った。
固定を外してみると、本当に穏やかにきれいに、ただただ眠っているだけにしか見えない仕上がりになっていた。
こんなスキルはいらんがな、とはいえ、私GJとか自画自賛。
棺用の段ボールなどを用意し、抜け殻を移動しようとした時、なんで動かないんだろう?って脳裏を過ぎる
刹那、涙が止まらなくなった。
口が開いて苦しそうに見えてしまうのも辛いが、あまりに寝ているだけにしか見えないのも、本当に辛いのだな、と思い知った。
私は旅立ちの時にその場にいたから、いかに穏やかだったのかを知っているが、夫は知らない。
だからこそ、静かに穏やかに旅立ったんだよ、と見た目でもわかるようにしたのだ。
どの道辛いし、しんどいし、悲しいし、寂しいし、涙涙でしかない。
長生きした猫だった。
よく生きたし、きっちり命を使い切ったのだ。
悲しいなんてお門違い。
慰めや諦めのためにそう思っているわけではなく、事実としてその通りなのに。
なのにも関わらず、脳みその指示をここまでスルーし、無視し続ける身体の状態って異常事態である。
喪失感の強烈さがこれほどまでか、と驚く。
そして溺愛していた存在を失うことの辛さはこれほどまでか、とも思い知る。
私の想像なんて全く及んでいなかった。
そのことで傷つけてしまったかもしれない存在たちに心の中で謝罪した。
今までは残された猫たちがいたから、そこまで強烈に感じなかったのか、最後に残った猫を三匹のうちで一番可愛がっていたからなのか、分からない。
けど、本当にかわいかったんだ。
ただただ、かわいかった。
それだけだったなぁ、と思う。
旅立つ間際、体を撫でたら前足を交互にふみふみさせていた。
まるで子猫のように。(尾崎豊っぽいな!)
冗談で私は母猫だ、なんて言っていたけど、この子にとって本当に私は母猫のような存在だったのかもしれないな、と思った。
そしてそのふみふみはリラックスして安心している時にすることが多いらしい。
(反面不安な時にする、とも書かれてたけど、撫でるたびに反射的にしているようだったからそうじゃないことを祈りたい)
撫でられて安心してリラックスして旅立っていったなんて、母猫冥利に尽きるわな。
三匹を最期まで面倒見きることができたことに安堵している。
最期まで、しっかり生きていただくことができたな、と思っている。
猫がいることで和んだ家の空気は忘れないし、一方的な愛情を受け止め続けてくれたことに本当に感謝している。
人間の暮らしに付き合ってくれてありがとう。
とても幸せだったよ。
本当にありがとう。