こだわらない、気にしない、迷わない
前回のブログ、真理には【霊の真理】と【肉体の真理】があるでは、食の面での禁欲についてお話ししました。
真理を悟った人は、自分の健康とか肉体にこだわらず、毒となるようなものであっても平気で食べる、ということでしたね。
ただしそれは一般人とちがって、『おいしいから』、『好きだから』という自分の欲望を満たすために食べるのではなく、まわりの人やその場の状況に応じて提供されたものを食べるというだけであり、自分だけで食事を決められる場合は、わざわざ毒となるようなものを食べることはありません。
だから、自然に病気とは無縁の健康体になるということでしたね。
一般の人からすると、おいしいものを食べないとか、欲しくないといったようなことは信じられないかもしれません。
たぶん
『ぜったい、やせ我慢してるんだろ』
と思われている人が多いでしょう。
でも、本当にやせ我慢でもなんでもないんですね。
まわりの人がおいしそうにケーキやラーメンなんかを食べていても、ぜんぜん欲しくはならないものなのです。
もちろん、悟ったからといって身体機能がマヒするわけではなく、むしろ肉体的には常人以上に健康な状態にあるわけなので、ふつうに空腹は感じます。
そんなときは、もちろんそのときにあるものを食べますけどね。
だから、ぜんぜん禁欲とはほど遠い生活をおくっているわけなのですが、それではなぜ世間一般には、悟りにいたるには禁欲が必要だとか、きびしい禁欲生活をしている人ほどえらい宗教指導者であると誤解されているのでしょうか。
それは、悟りの境地を目指す人たちが、悟った人のマネをすることでそこに近づけるとかん違いして、ムリして禁欲生活をおくっていたり、宗教、宗派自体がそれを教義としているところもあるから、というのがおおきな理由だと思います。
というわけで、今回はそんな禁欲生活の教義、教条がいかに的はずれなものであるかということについて、むかしのお坊さんのあるエピソードをもとにお話ししていきたいと思います。
女性に触れた師に幻滅
むかし、ある寺の老僧とその弟子である若い僧が遠方の寺まで所用があって旅をしていました。
むかしの仏教ですから基本的にはどの宗派も肉食妻帯は禁止だったのですが、その師弟の僧が属している宗派は女性に触れることも禁止されていて、禁を破ると破門というきびしいものでした。
そんな二人が川にさしかかったとき、ひとりの若い女性が川を渡れずに困っていました。
それを見かけた弟子の僧は女性を助けてあげたい気持ちはあったのですが、寺の掟で女性に触れてしまうと破門になりかねないし、それ以上にせっかくここまで積んできた修行が水の泡になってしまうと恐れてどうすることもできませんでした。
そんな若僧をしり目に老僧は、
『お嬢さん、わたしの背中に乗りなさい』
と言って、女性を背負ってさっさと川を渡ってしまいました。
それから若僧は
『なんで師は禁を破って女性に触れたんだろう。破門にならないんだろうか』
『悟りを得たはずなのにカンタンに女性に触れてしまうなんて、本当にこの人を信用していいんだろうか』
などと半日もあれこれと考え、思い悩んでいたのですが、夕食の後、ついにこらえきれずに師匠に尋ねました。
『なぜあのとき女性に触れたのですか』
すると老僧は笑って言いました。
『なんだ。ずっと静かだなと思ったら、お前はまだあの女性を背負っていたのか』
そう。女性を背負っていた、つまり女性に執着していたのは若僧のほうだったんですね。
老僧のほうは、女性を背負ったものの川をわたり終えて女性をおろすと、さっさと女性のことは忘れてしまっていたのです。
要するに、執着心がゼロなんですね。
これが悟った人の意識であり、精神状態なのです。
おいしいものであろうが、酒やドラッグであろうが、異性であろうが、金や地位、名誉であろうが、なにものに触れても、それにとらわれず、執着せず、自然のながれで手放していく。
このように行雲流水のごとく生きていけるのが悟った人なのです。
言うまでもないことですが、解脱というのは一切の執着をなくした人だけがたどりつける境地であり、それが極楽とか天国と呼ばれる世界になります。
そしてそれは、おいしいものや肉体的・精神的快楽などをがまんした対価として与えられるものではありません。
すべてのものに対する執着をすてて、自然や宇宙と一体化した人間だけがはいれる世界なのです。
だから、かたちだけまねてがまんして禁欲生活みたいなことをやっていると、さきの話にでてきた若僧のように、よけいに執着心がおこったりして逆効果になるので注意が必要です。
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