(過去記事1)に引き続き,「あ,これ私も前から考えていた」シリーズ第二弾.
まあ私だけでなく先を行く起業家の多くは同じこと考えていると思うけど.
ロボットとその社会的影響の話.
【恐怖】蹴り飛ばした直後、ロボットがとった行動に現場騒然…【ホリエモン 堀江貴文】
堀江貴文ですよ.
千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター fuRo https://www.furo.org/index.html
上の切り抜き動画見た.面白かった.ロボットに関する動画.
動画の概要を話すと,
ロボット自体は,この千葉工大の研究所が作ったものでは無くて,中国製の市販されている犬型ロボット.
定価88万円だって.
アマゾンでも買えるらしい.
ただし本気で買うなら,毎月支払う料金(hidden cost)とか開発可能版とかいろいろ調べないといけないらしい.
で,この千葉工大の古田貴之氏は何をしているかというと,
計算機上でソフトウェア的にバーチャルに4096台を訓練させて2万世代,世代交代させる.
ハードウェアだと価格的時間的にコスト膨大でできないがソフトウェア上なら5時間で出来る.
そうして仕上げたソフトウェア上の犬ロボットの脳データを先の中国製ハードウェアにインストールする.
すると,犬型ロボットはまるで生き物のように上手に歩いたり走ったり障害物をよけたりするという事.
ここで注目したいのは,このロボットには目(カメラ)も耳(マイク)も無いという事.
ここがテスラのやっている自動運転とは異なる開発思想.
眼・耳など良いセンサーを付けて,そのセンサーから得るインプットをもとにどんなアウトプットを出したら最適かを研究する,
のではない.
特定のセンサーに頼るのではなく,体全体を使っていろいろ試してみてトライアンドエラーで最適解を探す.
自動運転でもカメラだけに頼っていれば西日が差した時点で運動不可能になる.
でも人間が運転する時は光・音・振動・温度・風,ありとあらゆるものをつかっている.
自分の持っている体(ハード)をもとに自動で訓練するという事.
だから開発者もどう訓練されるかは予測できない.
そうやって訓練された犬型ロボットは生き物的な動きをするという.
昔のロボットのようにウィーン・ガッシャンみたいな単純な等速的運動ではない.
段差なんかも探りながら乗り越えていく.
私が昔から思っていたものというのは,「ロボットというハードの標準化」である.
それが実現すれば,ロボットの進化は加速する.
昔は計算機もバラバラだった.CPUごとに機械語が違っていて,それぞれのCPUごとにソフトウェアを記述していた.
そこにOS(オペレーティングシステム)というものが登場した.OSがハードを隠す.IBM,NEC,富士通,シャープいろんな会社がPCを発売するが,おなじOSが走っているのであれば,基本的に同じソフトが使えるし,例えばExcelやWordで作業したファイルは,メールで他人に送っても,その人がどこの会社のPCを使うかなどは気にせずに済む.
各人が持っているPCのディスプレイの大きさはそれぞれ違うだろうし,キーボードのメーカーも違うだろうが,そういうことは気にしなくてよい.
入力装置(キーボード,マウス,カメラ)と出力装置(ディスプレイ,スピーカー)とCPUをつなげることをOSがやってくれているわけだ.OSが標準化されていれば,ソフト・アプリの開発社はそのOSをターゲットに開発して発売すればよい.
ロボットは,PCの入力装置と出力装置を拡大したものだ.
その入力装置(カメラ,触覚)と出力装置(手足)を考慮に入れたOSが標準化すれば,そのロボットがプラットフォームになる.
その汎用ロボットOSプラットフォームで各社がいろいろなソフト・アプリ開発をするようになるだよう。それこそ生成AIが直ちにロボットプラットフォーム上のアプリを瞬時に開発するだろう。
例えば,ロボットは夜はレストランで床掃除をして充電する.朝になったら店の開店準備をして,店長を家まで迎えに行って自動運転で乗せてレストランまでやってくる.昼はレストラン店内で料理運びをし,注文を取ったり会計をしたりする.店外へ料理の出前もするし,料理もすれば,足りない食材を発注したりもする.天候やニュースを見て当日の料理のメニューを開発したりもする.
そして災害にでもなれば,人々を避難路へ誘導したり,消火活動をしたり,瓦礫の下に倒れている人を救助する.店内で人が倒れれば救急車を呼ぶかまたは救急病院に電話して連れて行く.店長が年を取って店を閉めて介護が必要になれば介護ロボットになって買い物でも風呂に入れるのでも何でもできる.もしかしたらその店の他人への売り時も交渉もロボットがやるだろう.店長がやるのは最後のサインだけだ.ロボット自身が故障したらだいたいは自分の故障を検知して,ロボット修理所へ自分で行って治してもらって帰宅するでしょう.
つまりはだ,人間がやることは全部,人間以上に優秀にやる.
「あれやれ,これやれ」言わなくても,ロボットが気を利かして自主的にやるだろう.割引クーポンを思いついたり,無銭飲食があったらカメラで証拠写真を撮ってカラーボールを投げて警察に通報することまでやるだろう.そのカラーボールもロボットが自ら思いついて買いに行くのだ.
そうしたら,もう人間なんていらないと思うんだよね.
人間を幸せにするために仕事があって,その仕事を人々に分配してきたけれど,ほとんどロボットに分配できる.
そしたら人間は20代から60代まで途切れなく働く必要なんかない.一生の内に一年間でも流行歌手としてブレークしたり,人類に貢献できることに挑戦したらよいのではないかな.100人の内一人がそれに成功すれば良しとする.
みんながみんなほぼ毎日働くなんて言うのは古い発想だし,そのために6才春から20才過ぎまで訓練するなんて馬鹿げている気がする.
作業所で働くことが本当に社会貢献なのだろうか.長い目で見て.
歴史や科学を学ぶことそれ自体は喜びだが,それは一生かけてやっていけばよい.
あと,もうひとつ気になったのが,この研究者・古田貴之氏がベースとして使っているロボットは中国製なんだよね.
ロボットプラットフォームは中国にとられてしまうのだろうか.IT業界を担ってきた米国から,世界をリードする国が,中国へ移っていくのだろうか.米国が一強になったのは,AppleOS,MS-DOS, WindowsOS, GoogleChrome, iOS, AndroidOSなどプラットフォーマーの力が大きい.
プラットフォームをにぎった国は強いよね.
だから,上の古田貴之氏の研究は現時点では凄いけど,その凄さは成果物ではなくてアイデアにある.ハードを前提とした実験をソフトで行って,最適化した頭脳をハードにインストールするということ.まあ特段新しいというわけでなく発想自体は同時多発的にいろいろなところで出てきているものだろうとは思うんだけど.
だから,何年か先,汎用ロボットの標準化がなされたとき,古いロボットで作った古田さんの成果物は無視されて,一から新たな開発競争が激化するだろう.表計算ソフトではAppleII版VisiCalc(1979),Lotus1-2-3(1983)は初期は流行ったが,結局Excel(1985-)が生き残った.
グーグルは自動運転開発を諦めたらしいが,テスラかソフトバンクかどこかがヒト型汎用ロボットを作って業界スタンダードを打ち立てれば凄いことになると思う.犬型ロボットと違って手もあれば物も持てる.
(過去記事1)