石丸伸二候補が
2020年7月安芸高田市市長選で使用した
ポスター代の件で,裁判になって敗訴したわけ.
下の動画を見て納得した.
あー,そういうことだったのね.
石丸氏反対派が”ポスター代を踏み倒した悪い奴”のように簡単に言うから”なんだ?”と思っていたら,経緯が分かった.
これだけの経緯をすっとばして,踏み倒したとか敗訴とかで批判する批判者は信用ならないなと思った.
石丸氏のwikiにもポスター訴訟のことは1487字かけて説明してあるが,要点が分からなかった.
上の動画を見たら理解できた.
石丸氏も言っているが,これは民事裁判で,どっちが良かった悪かったという話ではない.
単に,契約の齟齬の話.
初めて選挙に出るドタバタの時期に,金額について合意がとれていなかったというだけの話.
問題は,
・選挙ポスター・ビラの公費負担制度のシステムの問題
・見積もりを出さずに納品後に初めて請求金額を出す業者側の商習慣の問題
・それらに絡む政治家と業者の癒着の温床となる危険性.
地裁と高裁の判決では,石丸氏敗訴になったが,
私の理解では,
選挙ポスター・ビラの公費負担に対しての詳しいルールの理解は,
立候補者(石丸氏)と印刷業者双方に責任があり,
印刷業者もルールを理解していたうえで悪意をもって高額請求したとは言えない.
実際には相場から大きくずれてはいないようだ.
なので石丸氏が払え
と,そういうこと.
公費負担に上限があることまでは知っていたが,それ以上詳しいことは知らなかった石丸氏
石丸氏は,より詳しいことを教えてくれと業者にメールしたが,業者は曖昧に返答.
ああ業者はルールに詳しくないんだな,ともっと詳細に調べて問いただすべきだったのかもしれないが,
石丸氏が公費上限のことを切り出したのは遅かった.もう印刷作業は開始している.最初の会合時に聞けば,
公費に含まれないもの(新聞折込,チャーター代,休日稼働特別増額など)の話が出てきたかもしれない.
しかし,業者の方も,誠実な対応としては,初めて立候補する素人に対して,公費負担を超える金額については
事前に説明すべきだった.実際には全作業完了後に見積書を出した.
上のサイトでは,裁判所の判決に異議が書かれている.
「個人vs事業者」の場合、事業者は消費者に対して事前に契約条件を明示しなければならないわけです。これは、感情論や個人的な経験論ではなく、法律論です。
消費者契約法
第三条1
消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ、消費者にとって平易なものになるよう配慮すること。
業者vs個人の場合は対等ではなく,業者の方に努力義務があるということだ.
最高裁までいくらしい.
まあ私が石丸氏の立場なら月給86万円もらっているし,74万円なら面倒なので払ってしまうでしょう.
おそらくそういう政治家は多いのではないだろうか.
個人的最適解としてはそうなるが,それでこういった悪しき商習慣がまかり通ってしまう.
個人が利己的判断をすることで全体的には悪しき慣行が残る例だ.
そう言えば、石丸氏も部分最適解が全体最適解にならないという話をしていたな。
というわけで,
これは結構複雑な話だ.
どちらかが一方的に悪いとかいう話ではない.
ただ今回のように事業者が従業員数91名を誇る創業80年以上の会社となれば,消費者は信用して頼ってしまいがちだ.
まあ今回の事で
・公費負担制度
・消費者契約法にそった商習慣
・政治家との癒着の可能性
に問題があることが認識されたと思う.
どこかに誰か悪人がいた,とかいう話では無くて,システムの問題だと思う.
システムに不備があっても,誰かが我慢することで不備が温存し続けてしまう.
今回はその問題点がはっきりした.
もしかしたら今回の事で,大手印刷業者は,契約時にちゃんと消費者に説明する努力義務を守るようになったのかもしれない.これは私の希望的観測.
ただ私はいつもこういう時思うのだけど,
石丸氏と業者のどちらかが聖人君子的完璧な対応をしていれば,今回の問題は防げた.
両者がそうでなかったということだ.
であれば,金額については74万円全額ではなく,半額払え
とか,そういう判決が出ても良さそうなのだが,全額払えまたは0円のどちらかに振れるのではなくて.
<法と経済学>という発想ね.
続き.
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