(過去記事1)から何回か続けた1986年1月28日火曜アメリカフロリダ州チャレンジャー号爆破事故.
チャレンジャー事故の詳細
チャレンジャーは10回目の打ち上げだった。
事故の原因はゴム製品Oリングであった.
冬の朝の異常寒波のために想定以上にゴムが冷えていて弾力性がなくなり,パッキンとしての機能がなさなかった.
以下の動画が分かり易く説明している.
断面がOなのでOリングと呼ばれている.
Oリングは主リングと副リングの二つあった.
主リングは寒さによって固くなっていて弾力性が無く,密閉が間に合わなかった.
点火の圧力でSRBの外殻が膨張し,外殻の金属部分が曲がった.
これ以前の発射時にもこの現象は起こっていたが,そのたびに主リングが溝からはずれることで密閉性を確保していた.
もともとの設計通りではなかったが,結果的にうまく機能していた.
押し出された主リングがふさぐまでの間,高温ガスが漏れ続け,その間に主リングが損傷を受ける.
主リングが寒さで硬かったためその,その損傷を受ける時間が長くなり,密閉が間に合わなかった.
副リングは金属部分が曲がったことで正しい位置に収まっていなかった.
これによって主リングと副リングともに5分の1程度(360度のうちの70度)が高圧ガスのために蒸発してしまった.
たまたま固体燃料の燃焼残留物である酸化アルミニウムが損傷した結合部をふさいだので
炎が結合部を襲うまでOリングの機能を代行していた.
ところがだ.
発射から37秒後から27秒間,今日までのシャトル計画中に記録された最大のウインドシア(ジェット気流による強風)を何度かにわたって受けた.
ウインドシアが酸化アルミニウムを痛めつけた.
発射から68秒の段階でも飛行士たちや地上管制官たちには状況は正常に見えていて,
R.Covey(宇宙船通信担当官)が「推力上昇許可」を乗員に指示し,船長が確認し
「(こちら)チャレンジャー,推力上昇を許可」
と応えたのが空中-陸上間の最後の交信となった.
発射後72.284秒で右側SRBが接続部から引きちぎられ,発射後72.525秒で右方向へ突然の加速が生じた.
発射後73秒で,M.J.Smith飛行士が
「Uh, oh.」
と口にして,これが乗員室の会話録音機がとらえた最後の発言となった.
発射後73.124秒で,右側SRBがタンク間構造体と衝突した.
発射後73.162秒で,機体の分解がはじまった.
機体が分解後,2分45秒ほどして乗員室は時速333kmで海面に衝突した.乗員の生存可能レベルをはるかに超えていた.
脱出装置は装備していなかった.
これについて感じることは次回書く.
続く
(過去記事1)