(過去記事1)で、2000年4月27日に韓国で塾禁止令の違憲判決が出た。
 塾禁止令が出てから20年経ってからの違憲判決だ。
 
 その根拠はこうである。
 

 

### 韓国憲法第31

1. **31条第1**: 「すべての国民はその能力に応じて等しく教育を受ける権利を有する。」

2. **31条第6**: 「法律の定めるところにより、教育の自主性、専門性、政治的中立性及び大学の自治は保障される。」

 

### 違憲と判断された理由

 

1. **教育の自由の侵害**:

   教育を受ける自由には、個人や保護者が自ら選択する教育の内容や方法、場所を決定する権利が含まれます。塾禁止令は、この自由を不当に制限するものと判断された。

 

2. **平等権の侵害**:

   -経済的に余裕がある家庭が私的に個別指導を受けるなどの手段を選べる一方で、経済的に厳しい家庭が公共の教育機関以外の教育を受ける機会が減少するため、平等権に反するとされた。

 

3. **憲法第31条第1項の教育権**:

   すべての国民がその能力に応じて教育を受ける権利を保障するものであり、塾禁止令はこの権利を制限するものとして違憲と判断された。

 

これらの点を考慮し、韓国の憲法裁判所は塾禁止令が憲法第31条に違反するとして違憲判断を下した。

 

 この1,3に関しては説得力に欠けるきがする.だからこそ20年間も法的効力があったわけだが,2(平等権の侵害)が一番重要だと思う.塾禁止令は,抜け道があって,それが富裕層だけが使える抜け道だったりすると,塾禁止令の目的そのものが揺らいでしまう.実際韓国では1980年禁止してから10年して1990年代はなし崩し的に抜け道が多く用意されてしまい,取り締まりがなされていなかった.

 

日本

 

では、日本で塾禁止令が出た場合には憲法に抵触するであろうか?

 

日本で塾禁止令が出た場合、その違憲性は主に以下の憲法の条項に照らして議論される可能性がある。

 

1. **憲法第13条(幸福追求権・個人の尊重)**

   すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

2. **憲法第14条(平等権)**

   すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

3. **憲法第26条(教育を受ける権利・義務教育)**

   すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

   すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とする。

 

これらの条項に基づき、塾禁止令が違憲となる可能性がある理由は以下の通り。

 

1. **教育の自由の侵害**:憲法第13条の幸福追求権に基づき、個人や保護者が子どもにどのような教育を受けさせるかを自由に選択する権利を侵害することになる可能性がある。

 

2. **平等権の侵害**:憲法第14条の平等権に基づき、経済的に余裕がある家庭が他の手段で補習を受けさせる一方で、経済的に厳しい家庭が塾に依存することができなくなるため、教育機会の不平等を助長する可能性がある。

 

3. **教育を受ける権利の侵害**:憲法第26条の教育を受ける権利に基づき、子どもがその能力に応じた適切な教育を受ける機会を制限することになる可能性がある。

 
 日本と韓国は抵触しそうな憲法の状況は変わらないようだ.おそらく2(平等権)が一番ネックになる.取り締まるなら厳しく取り締まらないと,平等性をねらったはずの塾禁止令が平等性を阻害することになる.
 
 
 韓国では違憲判決が出てから、塾の深夜授業を禁止したり、通常の高校内で放課後授業をするなどして営利主義塾を潰す方向であるようだ。最近では,塾に行かないと解けないような難問を出すなというおたっしがあったようだ.
 
 
(過去記事1)