(過去記事1)の続き.
(4)まとめと感想・ちゃぶ台返し!
いかがでしたでしょうか.遺伝率を計算するために,相当無理な仮定,単純化が行われています.
ですから,身長の遺伝率86%と言っても,どれだけ信用できるか怪しいです.
むしろ知能の遺伝率70-80%とか,他の特性と比べて比較したほうが意味があると思われます.
遺伝率の絶対的値はあまり意味が無い.
数学的準備をして長々と証明してきましたが,これで分かったオチとしては,
そうとう無理で強引な仮定が強いられている,よって遺伝率の計算値には意味はないという話でした.
上のサイトなど一説によるとIQなどで測られる知能の遺伝率は80%,学力は70%などと言われる.
(今,ふたたびB+CをBと書いて)
X,A,Bを平均0,標準偏差1として,
身長の場合,X=(0.86)^(1/2)A+(0.14)^(1/2)B=0.927A+0.374B=1.30(0.713A+0.287B)
IQ知能の場合,X=(0.8)^(1/2)A+(0.2)^(1/2)B=0.894A+0.447B=1.34(0.667A+0.333B)
学力の場合, X=(0.7)^(1/2)A+(0.3)^(1/2)B=0.837A+0.548B=1.38(0.604A+0.396B)
こんなものですね.(過去記事2)で書いたことを再度繰り返しますが,遺伝率は,受精卵が決まった後の特性発現貢献度のことなので,親から子へ遺伝する率のことではありません.受精卵が出来たときに決まる先天的な要因のことです.
日本人三十代の身長は1950年から半世紀で男女とも平均10cmのびた.だから遺伝的な要因より非遺伝的・後天的要因の方が大きいはずである.しかし現代は食糧事情で個人間格差が(健康度に貢献する範囲では)小さくなったということだろう.
今でも3割ほど,身長を伸ばす後天的な要因があるはずだが,ランダムネスもあり,意図的な身長を伸ばすメソッドは無い.
学力に関しては4割ほど後天的な要因があるはずだ.身長よりは学力の方が環境格差がいくらか大きい.でも後天的要因4割のうち3割は身長と同じで意図的にはどうすることもできないのではないかな。出来ることにしておくとビジネスにはなるけど。
(過去記事1)
(過去記事2)