欧米には塾は無い。塾は英語でjukuと言う。日本韓国などアジアの一部の仕組みだからだ。

一発入試が無いもしくはウェートが低い、履修範囲が地域で不統一、など理由がある。

 だがむしろ政策としては受験熱を冷ます方向で進んでいるのが世界的な流れだ。

 欧州では宿題禁止とか教材の量の制限とか。

 中国では2021年7月に塾・宿題禁止令が出て民間の塾は潰れている。2023年9月12日には罰則を家庭教師・オンライン教室にまで広げ,罰金も科して強化した.

 世界で日韓の受験塾のメソッドや仕組みを真似ようと動く国は無い。

 韓国の大学受験も高校の内申点のウェートが大きくなった。

 

 

 日本もAO入試が広がり,大学入試では受験熱は一時期よりはおさまってきていると言える.中学入試にしても都内では実数で微減となり,塾業界の未来は厳しいだろう.

 

 しかしだ,今,行政が塾に通う受験生へ公的補助するという動きがある.

 

 

 上は東京都で,高校受験生・大学受験生への無利子貸し付けだ.合格して入学したら返済免除だそうだ.

 

 これは歴史に逆行している.

 少子化対策なら,中国のように塾を禁止する方向へ動くべきだ.

 都立中高一貫校は適性検査型入試という塾での対策ができない方式をとっている.

 

 このようなことを高校入試,大学入試でもとり,塾での対策がしにくいように配慮すべきである.

 

 東京都だけでは無理なので,国がやる必要がある.

 

 そもそも塾に受験で有利にさせるようなメソッドは無い.

 あるとすれば,それは公立学校でも出来ることだ.

 能力別クラス編成,成績別席順,入試問題の分析,

 

 公立学校の教員は教員免許をもって正規職員としてやっているわけで,

塾で教えている学生バイトや人生で挫折して流れた安月給教員よりも良い指導はできるはずなのだ.

できないのではなく,しないだけなのだ.

 

 富裕層が塾の営業に騙されている分にはあまり実害はないだろうが,

 効果の無い塾の営業に騙されて経済的に困窮している家庭にさらに塾へと煽るのはまずいのではないか.

ある意味子育てに金はかからない.金を積むことで他人の子より優位に立てようと思えば,その額は青天井だ.限度は無い.中学受検の次は私立小受験,海外留学,高級楽器・習い事などいくらでも出てくる.産んだ子供の数とかかる費用は比例しない.子供が少ないからかえって不安でかけちゃうだけだ.そしてそのほとんどは(合法的な)詐欺師の手へいくだけである.

 

 塾の指導にエビデンスなどない.あるのであればそれを回避するような入試形式にはできるはずだ.

 

 公的な自習室を拡充するのであれば意味がある.

 

 代ゼミは芸能プロダクションに経営手法を学んだという.アイドル講師を祭り上げ,参考書を書かせて代ゼミ出版から出させて講義で宣伝させる.講師用エレベータ前には職員が並んで敬礼する.そうしてアイドル歌手に若者が群がるように,予備校に若者を群がらせていた.

 

 

 日本の受験戦争はインドのカースト制度とたいへんよく似ている構造だと思う.

 あほな大衆で儲ける塾ビジネスとそれに乗っかる行政.

 欧米と中国は日本の受験戦争をどうみているか.インドのカースト制度は表向きには憲法で否定されている.受験戦争も行政が規制すべきである.補助金で煽っては良くないのではないか.

 

 エビデンスがないものを売ることは,薬や医療では違法である.教育では詐欺が横行しているのが現状である.

 

追記:上の東京都の助成は,塾受講料だけでなく,受験料(中3は27400円,高3は8万円)も出すそうだ.受験料補助は賛成.

 

(関連記事)