ちょっと夢想してみた.

 

私の英語力はTOEICで900ぐらいだ.

理系の専門書を英語で読むくらいはわけはない.

外国人留学生同士で日常会話をするのもまあ問題はない.

英米で日常生活を送るのにもまあ問題はない.というか問題の無い範囲内で暮らせる.

 

でも,英語ネイティブの複数人がリラックスして馬鹿話をしているところに割り込んで入って行けるかというと,

私が彼らの上司だとか教師だとか,彼らに特別に愛されているとか,そうでなければ難しい.

これは英語ネイティブの中でも同郷どうしとか,気の合う同士とかあるから,まあ仕方ない.

 

でも,私が日本で生まれ育った人間で,外国人として英米の土地にいるという前提を周囲が知っているから,そういう目で見てくれている.

 

仮想実験.

 

もし,仮に私が,今の英語力のまま,実は英語が母語だったらどうだろう.

英米生まれの英米そだちで英米に住んでいて,私の英語力のままだと想定してみよう.

確実に言語障害の診断を受けるだろう.

 

Wisc,Waisの言語以外の分野は高得点のはずだから知的障害の診断までは出ないかもしれない.

しかし,仮に言語以外の分野でも低得点で総合得点として知的障害の診断を受けたらどうだろう?

 

そして,さらに私が子どもだったら?

 

どういう人生を歩んでいくのだろう.

 

いや,繰り返すが,TOEIC800-900あれば,いやもう少し低くても,日常生活はできるのだ.

でも英語ネイティブの中に入って友達ができるだろうか?

 

むしろ一対一ならできるかもしれない.

 

集団の中に入ったら大変ではないか?

 

それでも,英会話は難しくても,メールやチャットなら英米人も相手にしてくれると思う.

英会話は音を瞬時に理解して瞬時に音声でニュアンスも込めて返さなければならない.高度なのだ.

何度も聞き返せないし,早く返事しないと去って行ってしまう.

 

英会話なら数秒で返答しなければならないところ,

チャットなら返信に1分かかっても付き合ってもらえるだろう.

メールなら(内容にもよるが)返信に30分から1日かかっても付き合ってもらえるだろう.

 

私に特別な価値が無ければ,英会話だと,相手は苦痛で去ってしまうだろう.

チャットやメールならハードルが低い.

チャットやメールなら,一二往復で私が英語ネイティブでないことくらいは相手は気が付くだろうが,内容は通じるし、とくに嫌がられることは無いだろう.

特にChatGPTやAIを使って添削すれば,おそらくほとんど気づかれないか,実質上問題にならない.

 英会話で楽しい中身のない馬鹿話するなら英語ネイティブは英語ネイティブを選ぶだろうが、専門的な仕事の話をメールでするなら、平均的な若い英語ネイティブよりも私とのやりとりの方をこころち良いと思うケースは多いと思う。

(日本人が専門書読む時だって、日本一分かりやすい日本語の本より世界一分かりやすい英語の本の方が分かりやすい)

 

もし,私が英米生まれ英米育ち英米在住で母語が英語で,いまの英語力のままだったら.

 

道は二つか.

 

(1)自分と似たような人(言語障碍者)とだけ付き合う.

 

(2)いろんな人たちとテキストベースやAI補助などで付き合う.

 

 今の障害福祉は,(1)しか見ていないような気がする.

知的障害児は小学校支援級へ入学させ,そのまま中学校支援級,特別支援学校高等部.

そして就職支援施設を経て,作業所勤務.そこでは生活保護とあまり変わらない給与(月12-13万円).でも働く喜びが生きがいになると信じる(過去記事1).お金じゃなくて働くこと,人に役に立つことが障害者の心の支えになるとのことだが,それを高等特別支援学校の校長が言うのには違和感を感じた(過去記事2).

 ちなみに,一定以下ならだれでも入れる特別支援学校高等部とは違い,難関入試のある高等特別支援学校でこのレベルだ.

 

 小学校支援級・支援学校小学部へ入れるという事は,そのままエレベーター式に月12-13万円作業所勤務を目指すことになる.しかし生活保護と変わらないのであれば,小学校支援級・支援学校小学部へ入れる意味はなんだろう?

 鍛えれば何とかなるというのは嘘では無いのか.

 18年間,学校など行かずに自分なりに有意義に過ごし,それで18才とか20才とかで,心身が健康であって人の役に立つことがあれば,働けばよいし,無ければ生活保護でも良いのではないだろうか?

 

 うちの末っ子は言葉ははっきり遅れている.この言語力で友人をつくることは難しいだろう.ヒトはグルーピングを行う.自分を優秀に見せるために付き合う人間群を選ぶわけだ.とくに忖度希求型はこの傾向が強い.自閉スペクトラムはこの傾向が無い.

 

 私の英語力は一生,英語ネイティブのレベルにはならない.4才までにはじめないとアクセントが残るという.5才すぎてこの言語レベルだということは,成人後も普通の人とははっきり異なると思う.英米ネイティブと私の英語力と同じである.

 

 特別支援教育の二つの道(1)(2)のうち,(1)ならば現状では行政が導く先は月給12-13万円の作業所労働しかない.

今の5才が20才ー65才というと,2038-2083年だが,本当にその頃に,今の学校で訓練しているようなことが役に立つだろうか?

 小学校で習っている筆算や漢字の書き取りなどはもう意味はない.漢字テストやるなら,ワープロの漢字変換ができるレベルで良いから,ひらがなに対して漢字を4択だして選ばせる方式で充分だ.

 

 (2)の充実がこれから目指すべきことではないだろうか.行政では従来,この路線の支援は想定していなかった.

 

 あとは,働くことの重要性を意識しすぎなのではないだろうか.これほど個人が働くことを強制されてきたのは明治以降でありまだ150年ほどの歴史しかない.勝海舟の父小吉は生涯無役で37才で隠居して15才の息子へ家督を譲った.

 高知能の親から知的障害児が生まれる頻度とおなじくらい,知的障害者が高知能の子をもつこともあるのではないだろうか.

 

 

(過去記事1)

 

 

 

(過去記事2)