中学受験にしろ高校受験にしろ大学受験にしろ、

試験でかなり基礎となるのが計算力だ。

 思考問題もあるが、早くて正確な計算力を前提として成り立っている。


 決まったルールに乗っ取ったルーチンを正確にある程度速く実行する。

 これはできる人にとってはなんて事はない。誰でもある程度訓練すればできると思いがち。


 しかし必ずしもそうでは無いのだ。ADHDなど多動で集中できないとか算数障害などがある。算数障害の原因は分からない。


 試験力の基礎としては計算力のほかに、読み書き能力がある。

 しかしこれに対しても読字障害、書字障害というものがある。これも原因はよく分からない。おそらくいくつもの原因があって複合的な現象として現れるので、書字障害の人が10人いれば10通り違うのだろう。通常の視力検査では測れない視力が問題であることはある。奇跡のメガネという本の作者はそれを指摘する。両目で同じ行に焦点が合わないなどだ。


 学習障害を提唱したのは1963年、Samuel A Kirk(1904.9-1996.7)だとされている。

ミシガン大学で臨床心理学博士号を取得し、障害児教育に携わる心理学者である。

そして障害児親の会の社会的、政治的運動が力となって普及させた。


 算数障害、読字障害、書字障害にしろ、学習障害をよく見てきたはずの人たちは、教員らだったはずである。


 教員や塾講師らは、学習障害を観察していなかったのか?

 日常を回すので精一杯なのである。子供らの特徴を発見して学会発表して知見を高めるということがない。


 単純に叱咤激励してやらせるだけなのである。


 本来なら、知能検査や身体検査などをやらせて本人の能力を多角的に見て指導すべきなのだが、そういうことはまずない。


https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784150504106


 カーネマンの本でもあった。彼が空軍で叱るより褒めて育てよう、と提唱すると、空軍の教官は反対する。例えば飛行機操縦の実習でも、褒めると次はダメになり、叱ると次は良くなる、という。

 それにカーネマンが答えた。サイコロを振らせてみなさい。出た目の数が得点としよう。平均3.5点だ。

 1が出たら叱るだろう。6が出たら褒めるだろう。叱った後も褒めた後も平均3.5点出てるだけなのだ。1よりは向上、6よりは下降する。

それは単なる確率的な現象にすぎない。


 そうなのだ。何年も戦闘機飛行士を訓練していても、結局このレベルなのだ。

 


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